悩みの原因や解決方法

境界例、難治性うつ病、人格障害などの意外な原因~甲状腺、など

[悩みの原因や解決方法「うつ・気分障害」の原因と治し方「パーソナリティ障害」の原因と治し方]


 “心身相関”といいますが、心理的な症状には、身体的な不調も影響します。
特に境界例や、難治性の悩み・精神障害の原因が実は身体の不調からくるケースが多くあります。「精神障害=脳の病気」と考えていると本当の原因を見誤ってしまいます。

 

 それぞれの不調を改善することももちろんですが、心理療法を行う際も不調を理解した上で行うのとそうでないのとでは効果が大きく異なります。
 今回は、心理的な症状に影響する身体的な不調の中でも主要なものをまとめてみました。

 

<作成日2016.2.26/最終更新日2020.5.9>

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この記事の執筆者

みき いちたろう 心理カウンセラー

大阪大学卒 大阪大学大学院修了 日本心理学会会員 など

シンクタンクの調査研究ディレクターなどを経て、約20年にわたりカウンセリング、心理臨床にたずさわっています。 プロフィールの詳細はこちら

飯島慶郎医師  

この記事の医療監修

飯島 慶郎 医師(心療内科、など)

心療内科のみならず、臨床心理士、漢方医、総合診療医でもあり、各分野に精通。特に不定愁訴、自律神経失調症治療を専門としています。プロフィールの詳細はこちら

<記事執筆ポリシー>

 管見の限り専門の書籍や客観的なデータを参考に記述しています。

 可能な限り最新の知見の更新に努めています。

 

もくじ

1.甲状腺の不調

2.発達障害
3.医原病(薬の影響など)

4.その他(高齢者、女性などに影響するもの)

 

 

 

境界例

 

 

 

1.甲状腺機能の不調

・甲状腺の役割~「代謝」をコントロールする

 甲状腺は、喉仏の下にあります。大きさは親指2本くらい(縦4~5センチ、横2~3センチ)で、蝶のような形をしています。甲状腺は、身体の「代謝」をコントロールする役割をはたしています。そのために必要なホルモンを分泌しています。甲状腺ホルモンは、タンパク質、炭水化物、脂肪、ビタミン、水分などがうまく利用されるように働きかけます。また、子どもの発育、成長にも重要な役割をはたしています。代謝のアクセルペダルに例えられます。
 甲状腺は、脳の視床下部-脳下垂体からの司令で甲状腺ホルモンを放出しています。

 

 

・甲状腺機能の不調とその特徴

 日本では約500万人が甲状腺になんらかの問題があるとされ、特に女性に多いとされます。ただ、すぐに対処が必要と見なさらなかったり、心臓病や糖尿病、高血圧、更年期障害、うつ病、認知症など他の病気と間違われたりということがあります。

 

 甲状腺機能の不調には大きく2種類あります。

・甲状腺機能こう進症(バセドウ病など)

 一つは、甲状腺の機能がこう進してしまうものです。原因は不明ですが、自己免疫疾患によって甲状腺が働き過ぎて生じるとされます。背景として遺伝や、誘因としてストレスやウイルスの影響も指摘されています。バセドウ病が9割で、他に過機能性結節無痛性甲状腺炎亜急性甲状腺炎などがあります。

 

<心理的な症状>
 ・イライラ
 ・神経質
 ・他人とのトラブルが多い
 ・うつっぽい
 ・集中力の低下
 ・兄弟げんかが多い(子ども)
 ・成績の低下(子ども)
  など

 

<身体的な症状>
 ・脈が速い(1分間に80以上)
 ・汗かき
 ・暑いのが苦手
 ・動悸
 ・息切れ
 ・手の震え
 ・疲れやすいが、気が高ぶっていることが多い
 ・微熱
 ・食欲こう進
 ・食べているのに体重が減る
 ・目つきの変化
 ・まぶたのむくみ
 ・下痢
 ・筋力の低下
 ・朝、脚に力が入らず立ち上がれない
 ・髪の毛が抜ける
 ・白髪が増える
 ・肌が黒くなる
 ・白い斑点ができる
 ・かゆみ、しっしん
 ・爪の変形
 ・尿に糖が出る
 ・生理の出血量が少なく、持続日数が短くなった(女性)
  など

※バセドウ病は、眼球突出が印象にありますが、実際は5%程度の人にしか症状は現れません。

 

・甲状腺機能低下症(橋本病など)

 もう一つは、甲状腺の機能が低下してしまうものです。同じように原因は不明ですが、自己免疫疾患によって甲状腺が炎症を起こして生じるとされます。代表的なものとして橋本病があります。

<心理的な症状>
 ・やる気の低下
 ・けん怠感
 ・眠気
 ・頭の働きの低下
 ・仕事の能率の低下
 ・物忘れ
  など

 

<身体的な症状>
 ・脈が遅い(1分間に60以下)
 ・むくみ
 ・皮膚がカサカサ
 ・寒いのが苦手
 ・声がかすれる
 ・声が低くろれつが回らない
 ・食欲がないのに体重が増える
 ・便秘
 ・あまり汗をかかない
 ・耳が遠い
 ・しゃがみ込むと立ち上がるのがつらい
 ・脚がつることが多い
 ・手のひらが黄色い
 ・毛髪が細く、抜けやすい
 ・眉が薄くなる
 ・尿にたんぱくが出る
 ・生理の出血量が多くなり、持続日数が長くなる(女性)
 ・身長の伸びが鈍くなる(子ども)
  など

 

 

 

・甲状腺機能の検査と治療

 病院で血液を用いて検査することができます。通常の健診の血液検査の項目には含まれていませんので、気になれば、内科を受診して相談するとよいでしょう。
 バセドウ病や橋本病などは今や不治の病でも難病でもありません。たいていの場合適切な内服治療でコントロールすることができます。

 

 

 

 

2.発達障害

 近年、発達特性の影響を視野にいれることで、今後の臨床心理学のあり方さえも変えるのではないかと言われています。パーソナリティ障害、強迫性障害、トラウマ、幻覚などさまざまなものが実は発達障害の影響である可能性があります。
 

 

 ⇒くわしくはこちらをご覧ください。
  「大人の発達障害の本当の原因と特徴~さまざまな悩みの背景となるもの」

 

 

 

3.医原病(薬の影響など)

 医原病とは医療行為が原因で生じる症状のことです。なかなか良くならず症状が長引いた際に、患者の不調の訴えに呼応するように薬の種類と量が増えている場合などに生じます。衝動性や幻覚などさまざまな精神症状となって現れます。また、初期の副作用や薬を中断した場合の離脱作用(中断症候群)によるものもあります。

 

 薬を整理すると不調が収まることがあります。

※減薬は勝手には行わず、必ず医師と相談の上で行う必要があります。

 

 

 

4.その他(高齢者、女性などに影響するもの)

 

4-1.認知症

 認知症とは病名ではなく、何らかの病気が原因で生じる知的能力の低下のことを指します。認知症の原因としては、アルツハイマー病、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症があります。アルツハイマーが最も多く7割を占めます。

 高齢者の場合で、うつ病や統合失調症様状態と診断されて治療を受けてもなかなか症状が改善しない場合、認知症が関係している場合があります。

 

認知症の症状

<中核症状>
 ・記憶障害
 ・見当識障害
 ・判断力の障害
 ・失語
 ・失行
 ・失認
 ・実行機能障害
 ・問題解決力の障害

 

<周辺症状(BPSD)>

 ・はい徊
 ・暴言
 ・暴力行為
 ・多弁、多動
 ・幻覚(幻視、幻聴)
 ・妄想
 ・興奮
 ・睡眠障害
 ・不安
 ・抑うつ
 ・焦燥
 ・せん妄
 ・異食
 ・過食
 ・介護への抵抗
  など

 

 

4-2.PMS(月経前症候群)

PMS: premenstrual syndromeは日本語では月経前症候群と訳されるもので、女性が生理の前に感じる不調を総称したもののことです。
原因はよくわかっていませんが、ホルモンや神経伝達物質の影響などが指摘されています。
また、PMSは甲状腺や副腎の不調、ストレス、カフェインなども影響することがあります。

 

PMSの症状

<心理的な症状>
 ・うつっぽくなる
 ・不安になる
 ・イライラする
 ・攻撃的になる
 ・興奮しやすくなる
 ・涙もろくなる
 ・罪悪感にさいなまれる
 ・理性がなくなる
 ・優柔不断になる
 ・孤独を感じる
 ・恐怖心を感じる
 ・気分にムラがある
 ・妄想や疑い深くなる
 ・突然パニックになる
 ・判断力が鈍る
 ・自尊心を喪失する
 ・自信がなくなる
 ・不眠症になる
 ・自殺したくなる
 ・緊張する
 ・人と会いたくなくなる
 ・判断力の低下
 ・注意力の低下
 ・集中力の低下
 ・自傷、自虐癖
 ・音、光に敏感になる
 ・依存的になる
  など

 

<身体的な症状>

 ・むくみ
 ・頭痛
 ・腹痛
 ・背中痛
 ・便秘
 ・下痢
 ・疲労感
 ・けん怠感
 ・鼻炎
 ・口内炎
 ・ぜんそく
 ・じんましん
 ・ニキビ
 ・肌荒れ
 ・体重が増える
 ・視力が低下する
 ・喉が渇く
 ・耳鳴り
 ・はき気
 ・節々が痛む
 ・動悸
 ・めまい
 ・体臭が強くなる
  など

 

 

 

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(参考)

伊藤公一「甲状腺の病気の治し方」(講談社)
赤須文人「新版 甲状腺の病気」(講談社)
伊藤公一「よくわかる最新医学 新版 甲状腺の病気」(主婦の友社)
野口仁志 内野眞也「甲状腺の病気」(主婦の友社)
出雲博子「ホルモンの病気がよくわかる本」(法研)
藤森徹也「副腎疲労症候群」(幻冬舎)
本間良子 本間龍介「しつこい疲れは副腎疲労が原因だった」(祥伝社)
相良洋子「PMSを知っていますか」(NHK出版)
リネヤ・ハーン「PMS(月経前症候群)を知っていますか?」(朝日新聞出版)

など

 

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 ”トラウマ”とはストレスによる心身の失調のことを指します。私たちは誰もが影響を受けているといってよいくらいトラウマは身近なものです。※トラウマを負うと、うつ、不安、過緊張、対人関係、仕事でのパフォーマンス低下、身体の不調、依存症、パーソナリティ障害などさまざまな問題を引き起こすことが分かっています。

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