幻聴(声が聞こえる)とは何か?その対処法、適切な”消し方”

幻聴(声が聞こえる)とは何か?その対処法、適切な”消し方”

トラウマ、ストレス関連障害統合失調症

 実は、珍しい症状ではない「声が聞こえる」(幻聴)という悩みについて医師の監修のもと公認心理師が、正しい対処法をまとめてみました。よろしければご覧ください。

 

<作成日2016.10.15/最終更新日2024.5.24>

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この記事の執筆者

三木 一太朗(みきいちたろう) 公認心理師

大阪大学卒 大阪大学大学院修士課程修了

20年以上にわたり心理臨床に携わる。様々な悩み、生きづらさの原因となるトラウマ、愛着障害が専門。『発達性トラウマ 「生きづらさ」の正体』など書籍、テレビ番組への出演、ドラマの制作協力・監修、ウェブメディア、雑誌への掲載、多数。

プロフィールの詳細はこちら

   

この記事の医療監修

飯島 慶郎 医師(心療内科、など)

心療内科のみならず、臨床心理士、漢方医、総合診療医でもあり、各分野に精通。特に不定愁訴、自律神経失調症治療を専門としています。プロフィールの詳細はこちら

<記事執筆ポリシー>

 ・公認心理師が長年の臨床経験やクライアントの体験を元に(特に愛着やトラウマ臨床の視点から)記述、解説、ポイント提示を行っています。

 ・管見の限り専門の書籍や客観的なデータを参考にしています。

 ・可能な限り最新の知見の更新に努めています。

 

もくじ

専門家(公認心理師)の解説

幻聴の対処方法(適切な”消し方”)

 

 →幻聴の原因については、下記をご覧ください。

 ▶「幻聴(声が聞こえる)とは何か?その原因

 

 

専門家(公認心理師)の解説

 「声が聞こえる」というのは決して特殊でも、珍しい症状ではありません。幻聴が生じるのは、あくまで環境やストレスの影響が原因であり、元の原因を改善することこそが大切です。そうした原因をみないままにただ幻聴のみを異常としてとらえて「統合失調症だ」「薬物療法だ」「入院だ」というのは適切な対処とは言えません。ただ、家族などが病院に相談すると、そうした処置になることもあるため注意が必要です。孤独から幻聴が出たために、入院を勧められましたが断り、家族が一緒に寝たり話を聞いたりして早期に軽快した、というケースを私も経験したことがあります。

 また、幻聴が生じる背景としては、トラウマ(過度、または慢性的なストレス)、ハラスメント体験などもあります。言語、音声的フラッシュバックとして生じることがあります。その場合は、単に幻聴の問題としてではなく、トラウマや愛着障害の問題としてケアに取り組む必要があります。

 
 

幻聴の対処法(適切な”消し方”)

・生活や環境を整える

 幻聴が生じる4条件(①不安、②孤立、③過労、④不眠)を取り除いていくことが必要です。まず、しっかりと睡眠をとり、疲労を癒すことが必要です。家庭や職場などストレスフルな環境である場合は、環境を変えることが求められます。

 

 

・無理に声を消そうとせずに、その背景を理解する

 古くから幻聴への対処として「無理に消そうとするとよくない」とされます。上記のように、幻聴が生じる背景には、不安や孤立があります。生体的にはノイズをおさえる機能が低下しているという見方もできますし、心理的には幻聴に頼らざるを得ないということもあります。

 私たちも家庭や、学校、仕事などであまりにも逆境に立たされた時に、内側にある自分や他者と対話したり、ということがあります。内的な言葉に大いに助けられる、ということがあります。そのことと幻聴とは地続きの出来事です。

 そのため、幻聴をただ悪いものとして除くことの前に、どうしてそれが生じているのか、必要とされるのか、を理解して、その背景を整えることが必要です。

 

 

・トラウマに対するケア

 精神科医のロウムも述べているように幻聴の背景にはトラウマ体験があるとされます。トラウマ(過度、または慢性的なストレス)、ハラスメント体験から、言語、音声的フラッシュバックとして幻聴が生じていることがあります(出典:日本臨床心理学会「幻聴の世界 ヒアリング・ヴォイシズ」(中央法規出版))。その場合は、単に幻聴の問題としてではなく、トラウマや愛着障害の問題としてケアに取り組む必要があります。処理されずに記憶として残っているしつこい声に対しては、トラウマケアが有効です。

 関連する記事はこちらをご覧ください。

 →「トラウマ(発達性トラウマ)、PTSD/複雑性PTSDとは何か?原因と症状

 

 

・適切な態度で幻聴に接する

 妄想・幻聴は、無視する、返事しない、聞き流す、知らん振りをする、が対処の原則です。返事をしたり応対していると、よりひどくなったり、おさまらなくなったりすることがあります。どうしても答えたくなるような内容の場合は、「はい」「いいえ」と短く応答するにとどめます。

 

 また、幻聴とは、実際の声ではなく自分の声や過去に受けた他者の声が内的に繰り返されているだけだということを知ることも大切です。幻聴を真に受けてしまう場合は、最近は認知行動療法などで幻聴の受け止め方を修整することも有効とされます。声の内容を書き出してみたり、友人、知人に伝えてみましょう。書き出してみるとその内容が妥当なのか、判断できます。

 

 幻聴に気を取られないようにするためには、例えば、他の作業をする、ヘッドホンで音楽を聴く、頭で考えることを止めてみる、運動する、といったことや、声にお願いして必要な時だけ出てもらうように約束する、ということも有効です。

 

 ずっと無視することはとても消耗しますから、声には時間を決めて相手をする、ということも有効です。命令調の幻聴に対しては、「今していることが終わってから」として後に延ばしてもらったり、「そんなひどい内容なら聞かない」と限界を設定することや、危険な内容なら自分で安全な内容に弱める/変えるようにする、「周りが悲しむからいやだ」「疲れたよ」といった風にある程度定型の言葉で返すことも効果があります。

 

・薬物療法

 統合失調症などが精神疾患、精神障害が疑われる場合や声があまりにもうるさい場合は、薬物による改善も有効です。その際は、抗精神病薬が用いられます。処方は医師と相談して行います。決められた量とタイミングで服用し、自分で減らしたり中断したりしないようにしましょう。

 

 

 

 →幻聴の原因については、下記をご覧ください。

 ▶「幻聴(声が聞こえる)とは何か?その原因

 

 

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(参考・出典)

黒川昭登他「幻聴・不安の心理治療 人間的理解の必要性」(朱鷺書房)
石垣琢麿「幻聴と妄想の認知臨床心理学 精神疾患への症状別アプローチ」(東京大学出版会)
日本臨床心理学会「幻聴の世界 ヒアリング・ヴォイシズ」(中央法規出版)
ポール・チャドウィック「妄想・幻声・パラノイアへの認知行動療法」(星和書店)
原田誠一「正体不明の声ハンドブック」

サラ・バーン「命令幻聴の認知行動療法」(星和書店)

「〈心〉はからだの外にある: 「エコロジカルな私」の哲学」(NHK出版)

ジュリアン・ジェインズ「神々の沈黙: 意識の誕生と文明の興亡」(NHK出版)

など