適応障害とは何か?~本当の原因、症状と治療、接し方で大切なこと

適応障害とは何か?~本当の原因、症状と治療、接し方で大切なこと

トラウマ、ストレス関連障害

 医師の監修のもと公認心理師が、多くの人が悩む「適応障害」について、そのメカニズムやチェック方法、治し方などをまとめさせていただきました。

 よろしければご参考くださいませ。

 

<作成日2015.12.3/最終更新日2023.5.19>

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この記事の執筆者

みき いちたろう 心理カウンセラー(公認心理師)

大阪大学卒 大阪大学大学院修了 日本心理学会会員 など

シンクタンクの調査研究ディレクターなどを経て、約20年にわたりカウンセリング、心理臨床にたずさわっています。 プロフィールの詳細はこちら

   

この記事の医療監修

飯島 慶郎 医師(心療内科、など)

心療内科のみならず、臨床心理士、漢方医、総合診療医でもあり、各分野に精通。特に不定愁訴、自律神経失調症治療を専門としています。プロフィールの詳細はこちら

<記事執筆ポリシー>

 管見の限り専門の書籍や客観的なデータを参考に記述しています。

 可能な限り最新の知見の更新に努めています。

 

 

もくじ

適応障害(Adjustment disorder)とは何か?
適応障害が生じるメカニズム

適応障害の原因となるストレスはさまざま

適応障害になりやすいタイプ、性格

適応障害の症状の分類

適応障害かどうかを、自分でチェックする方法(診断の基準)

他の障害との違い、見分け方
適応障害の治すための原則と5つのポイント

適応障害の治療
適応障害に対する周囲のサポートや接し方

 

 

適応障害

 

 

 

適応障害(Adjustment disorder)とは何か?

・ストレスが原因で起きる心身の不調(ストレス障害)

 環境の変化、ストレスにうまく適応できていないことから生じます。

 ICD-10(世界保健機構の診断ガイドライン)によると「ストレス因により引き起こされる情緒面や行動面の症状で、社会的機能が著しく障害されている状態」とされます。

 

 DSM-Ⅴでは、「心的外傷およびストレス因関連障害群」に含まれています(「DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引」(医学書院))。ストレス性の出来事への対処という観点でPTSDと同じ系統の症状と考えられています。

 ⇒「トラウマ、PTSDとは何か?あなたの悩みの原因と克服

 

 臨床では気軽に診断がつけられていることも多いですが、「重大な機能障害」か「ストレス因に釣り合わないほどの苦痛」が生じていることが診断の要件となります。

 

 

・特定の身体の病気や精神障害の基準は満たさないもので、健康と病気の間にある症状

 身体の病気や、気分障害(うつ病)などの精神障害の基準に当てはまらないが、本人は社会的な支障で悩んでいる状態です。そのため、放置しておくとうつ病や不安障害といった問題に発展する場合があります。

 

 

(参考)精神障害における「障害」という概念について

・「精神障害」は、身体障害の「障害」とは異なる

 精神障害における「障害」とは、「disorder」という英語の訳で、身体障害における「障害(disability)」とは、異なる概念です。疾患(disease)や病気(illness)までに至らない「変調状態」を指します。そのため、改善できないもの、不可逆のものではなくケアによって変わり得る状態を指しています。日本語訳を「障害」としてことについてはイメージからくる問題も指摘されていますが、定訳のために一般的には「~~障害」という語が使用されています。

 たとえば、「愛着障害」であれば、「愛着変調」あるいは「愛着不全」というようなニュアンスだとお受取りください。

 

 

・ストレス因が特定できることが診断の条件

 適応障害の条件として、要因となっているストレスが特定できること、ということがあります。特定できない場合は、器質的な病や、別の問題であることがあります。

 

 

・通常ストレス経験の3カ月以内に発症する

 ストレスとなる経験の3カ月以内に発症されるとされます。

 

 

・適応障害は、決して甘えや怠け、気の緩みなどではない

 適応障害は、表面的には変化がないのに意欲やパフォーマンスが低下することやストレスから離れると元気になることから、単なる怠けや甘えとされてしまうことがあります。しかし、適応障害が生じるのは、決して甘えや気の緩みなどではありません。ストレスが大きい場合あるいはストレス耐性が十分ではない場合に生じます。ストレス耐性がある人でもストレスが過大な場合は症状に現れます。

 

 

・ストレスの要因が除かれれば、半年以内に症状は消える(治療の期間)

 適応障害の大きな特徴ですが、ストレスの要因が取り除かれたり、対処できれば、半年以内で症状は消えます。半年以上続く場合は、別の問題であることが疑われます。

 

 

 

適応障害が生じるメカニズム

 通常、適応とは下記のようなプロセスを経るとされます。

 ストレス発生⇒ショック⇒怒り⇒混乱⇒解決の試み⇒不安、抑うつ⇒適応

 

 死別体験の場合は、

 ストレス発生⇒ショック⇒否認⇒怒り⇒抑うつ⇒受容(適応)
 

 つまり、だれでもストレスには少なからずショックを受けたり、混乱したり、不安になったりします。通常は、自分で吸収できる範囲で最終的に収束し適応に至ります。
 
 しかし、適応障害となる場合、ストレスに適応できないためにショックが大きく、そのプロセスで生じる「怒り」や「混乱」や「不安、抑うつ」が過大となってしまい、適応できず不調となってしまうのです。

 

 

 

適応障害の原因となるストレスはさまざま

 ストレスというと、仕事や家庭でのストレスと思われがちですが、さまざまなことがストレスとなりえます。

 

 例えば、自身の病気や、身内の病気や死別、離婚などです。ガンといった重い病気、更年期障害、また、高齢による環境変化などからくるストレスから適応障害となる人は多いのです。アルコール、カフェイン、炭酸ガスなどに過敏など、影響物質によるストレスで適応障害となる場合もあります。

 

 ストレスを尺度としてまとめたものでは下記のように表現されています。あくまで目安ですが、死別や離婚、病気がいかにストレス因として大きいかがわかります。

 配偶者の死 100
 離婚 73
 配偶者との離別 65
 家族の死 63
 自分のケガや病気 53
 失業(解雇) 47
 家族の健康上の変化 44
 上司とのトラブル 23
 

 

 

適応障害になりやすいタイプ、性格

 あくまで参考ですが、下記のような方はなりやすい傾向にあります。

 ・ストレスに弱い
 ・真面目で頑張り屋
 ・几帳面
 ・傷つきやすい
 ・人の評価を気にしたり、合わせようとしすぎてしまう(過剰適応)

 など

 

 表面的には典型的なタイプではなくても、過剰適応を抱えていたりする人は多く、適応障害に至る場合も珍しくありません。

 

 また、パーソナリティ障害が潜んでいたり、発達障害が隠れていることもあります。

 →「パーソナリティ障害の正しい理解と克服のための7つのポイント

  「大人の発達障害、アスペルガー障害の本当の原因と特徴~さまざまな悩みの背景となるもの

 

参考)「厚生労働省 みんなのメンタルヘルス パーソナリティ障害」

   →「厚生労働省 みんなのメンタルヘルス 発達障害」

 

 

 

適応障害の症状の分類

 適応障害はさまざまな症状が現れます。症状の分類から6つに分けられます。
分類はご自身の状況を理解する上でも助けになります。

 

1.「抑うつ気分」を伴うタイプ

 憂うつさ、気力の低下、絶望感、思考・集中力・判断力の低下、涙もろい、感情がうまくコントロールできない。気分障害(うつ病など)と似ているが、気分障害と診断されるほどの程度ではないものです。

 いわゆる新型うつや、非定型うつ、といったものなど、うつ状態とされるもののほとんどが、実は適応障害ではないか、ともいわれています。

 

2.「不安」を伴うタイプ

 心配しすぎたり、漠然とした不安、イライラしたり、神経過敏、軽いパニック障害など。ただ、不安障害と診断される程ではないものです。

 
 子どもの場合は不安を表現できないために「退行」としてあらわれます。幼稚園や学校に行くことを拒む場合は、発達障害や分離不安障害といったケースが見られます。

 

 

3.「抑うつ気分」&「不安」を伴うタイプ

 上記の1,2が同時に現れて、生活に支障がある。

 

 

4.「行為障害」を伴うタイプ

 行為障害とは、社会的に問題とされる行動を取ってしまうことです(無断欠勤、遅刻、万引き、暴力、落書き、など)。本人にも行為が悪いという自覚がありますが、適応できないことからくるストレスと向き合うことができず、投げやりな行動に現れます。いわゆる非行というのもこれにあたります。

 

 

5.「行為障害」&「抑うつ気分 or 不安」を伴うタイプ

 4および1,あるいは2が同時にあらわれ、生活に支障があるタイプです。子どもの場合によく見られます。

 

 

6.特定不能のタイプ

 身体の症状として現れる場合(肩こり、頭痛、だるさ、疲れなど)や、ひきこもり、睡眠障害が見られるなど。1~5に分類できないタイプ

 

 

 

 

適応障害かどうかを、自分でチェックする方法(診断の基準)

 下記のことに当てはまる場合、適応障害と考えられます。

 

□最近(3カ月以内に)、家庭、職場、学校、自身などに関してストレスとなるような出来事や変化があった

 

□上記のストレスが原因で、以下の様な症状が見られるようになった

<心理面>

・不安、・抑うつ、・焦燥感、・過敏、・混乱、など

 

<身体面>
・けん怠感、・頭痛、・肩こり、・腹痛、・多汗、・めまい、など

 

<問題行動>
・対人関係での問題、・遅刻、欠勤、・暴飲、暴食、・ケンカ、

・犯罪行動、・自傷行為、・その他問題行動、など

   

□仕事など、社会的な活動に支障がある

 

□ストレスに触れると症状が悪化する

 

□他の身体的、精神的な問題の悪化によるものではない

 

 

 

他の障害との違い、見分け方

 実は他の病気が疑われるが、基準に完全に当てはまらないために「適応障害」との診断がつくケースも少なくありません。そのため、ケースごとに具体的に症状や背景の詳細を見ていく必要があります。全体的に程度が弱いということがありますが、加えて下記のような違いがあります。

 

・うつ病(大うつ病)との違い

 うつ病がストレスから離れても抑うつ感が消えないのに対して、適応障害の場合はストレスから離れると抑うつ感が緩和される点などが異なります。DSM-Ⅴの診断基準によってうつ病と診断されているものの9割は、実際には適応障害といわれます。反対に、いわゆる非定型うつや新型うつなどは、実は適応障害である場合も多いとされます。

  ⇒「うつ病の真実~原因、症状を正しく理解するための10のこと

 

参考)「厚生労働省 みんなのメンタルヘルス うつ病」

 

 

・不安障害との違い

 不安障害とは異なる点は、不安障害の場合は原因がよくわからないのに対して、適応障害の場合は、ストレスの原因がわかっていることです。

 

参考)「厚生労働省 みんなのメンタルヘルス 不安障害」

 

・心身症との違い

 円形脱毛症や胃潰瘍など器質的な異常が見られる場合は心身症とされ、器質的な異常が見られない場合には、まずは特定不能の抑うつ障害や身体表現性障害(身体症状症)などが検討され、それらを満たさない場合に適応障害と診断されます。

 

 

 

 

 

 

 

適応障害の治すための原則と5つのポイント

 適応障害は、本人から見たストレスを取り除くことが主眼です。基本は環境が原因だと知ることです。そのため、カウンセリングでも下記のことを行っていきます。

 

・適応障害を治すための原則

1.ストレス耐性を高める

 自尊心を高めたり、認知を変えるなど、ストレスの対処法を身につけます。

2.ストレスに順応できない場合は環境を変える

 環境を変えることも大切なことです。環境を変えることへの抵抗や偏見を取り除くなど周囲がサポートを行います。まず、ストレス耐性を高めるためには、下記の3つの要素を高めることが重要だとされます。
 

・把握可能感(sense of comprehensibility)
 生じている出来事や自分の気持を自身で把握できている、という感覚のことです。
 状況が把握できれば、ストレスに対処することができます。

 

・処理可能感(sense of manageability)
 生じている出来事に自分が対処できる、解決できると感じられる感覚です。

 

・有意味感(meaningfulness)
  起きている出来事が自分にとって肯定的な意味があると感じられる感覚です。

 

 

 

 具体的には、下記の5つのことがポイントになります。

1.仕事、生活については、その案件に対する知識や技術を習得する。あるいは、慣れれば大丈夫だと知ること

 現時点でうまくできなくても慣れればできるようになると知る、ということです。把握可能感や、処理可能感を高めてくれます。また、知識を習得すれば、有意味感を持つこともできます。

 

 

2.他者の力をうまく借りる

 その環境や社会に適応している他者の視点、知恵を借りて、適応を先取りしたり、適応のコツを学ぶことができる。

 例えば、先輩や上司に相談して、
 「今が一番忙しい時期だから、来月には楽になるよ」と言われれば、把握可能感は高まります。
 「もう少しこうすればいいよ」とコツを教われば処理可能感は高まります。
 「難しいお客さんとうまくやり取りできれば、これからどんな人でも大丈夫になるよ」と言われれば、有意味感が高まります。

 

 ストレスは貯めこむと増大しますので、適度に愚痴を言ったりすることは良いことです。相談ということではなく、友だちや同僚に愚痴を聞いてもらうことも大切です。

 もし、そういう人がいない場合は、自分で日記を書きましょう。かなりすっきりします。また、環境の負荷があまりに高い場合は、他者からのアドバイスで環境のせいであると気づかせてもらえるという利点があります。その際は、相談する相手がその環境から距離をおいている方など適切な相手を選ぶ必要はあります。

 その環境を支持している人だと環境そのものを擁護したりしますし、逃げることが悪いことだと思い込んでいる人だと、相談者の責任にさせられてしまう場合があります。(セカンドハラスメントといいます)

 

 

3.認知を変える

 私たちは物事を、従来の経験から判断する傾向があります。しかし、進学、就職、結婚、離婚、病気、死別、退職、など未経験の出来事は人生の中で必ずやってきます。都度、物事の捉え方、受け取り方を適度に修正していく必要があります。その際は認知行動療法の視点が役立ちます。カウンセリングを受ける、あるいは、認知行動療法については書籍がたくさん出版されています。漫画もありますので、ぜひ本屋などでお読みください。

 

 

4.自分のせいだと思わない

 自分のせいだとは思わないでください。環境や雰囲気が悪い職場や家庭はたくさんあります。新しいメンバーを教育したり、受け入れる体制が不十分な職場もたくさんあります。ストレスが過大な状況もあります。うまく行かなくてもお互い様。自分のせいだとは思いすぎないようにしましょう。

 

 そして、もしどうしてもその状況に慣れない場合は環境を変える、ということです。環境を変えることは逃げることだ、という誤った観念がありますがそうではありません。すべての環境に適応できる人はいません。プロスポーツの一流選手でも監督やチームが変わると活躍できなくなる人はたくさんいます。

 

 人間というのは環境の影響を強く受ける存在です。自分自身で環境を選択することは、豊かな人生を作る上で大切な方法です。

 

 

5.本質的な改善に向けて~「安全基地」を持つ

 さらに、耐性を高めるためには「安全基地」を持つことが大切です。

 「安全基地」とは、自分自身との信頼関係のことです。普通は母親などとのやり取りを通じて幼いころに形成されます。それが阻害されていると、土台が不安定なままで世の中と付き合うことになります。

 

 阻害する要因としてトラウマがあります。トラウマとは決して大きな出来事ではなく、日常のささいな出来事でもトラウマ経験となります。適応障害は、DSV-Ⅴでは、「心的外傷およびストレス因関連障害群」に含まれているように、トラウマと関連する症状でもあります(「DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引」(医学書院))。

 

 もし、自信がない、対人関係で問題を抱えやすい、生きづらさを感じるなどがある場合は、愛着障害、トラウマなどが原因と考えられますので、一度トラウマケア(ソマティック・エクスペリエンシング・アプローチ、ハコミセラピー、トラウマ解放エクササイズ、ブレインジム、TFT、フラワーエッセンス、その他トラウマケア、など)を受けることを検討してみてください。

 ⇒「トラウマ、PTSDとは何か?あなたの悩みの原因と克服

 

 

 

 

 

適応障害の治療

 適応障害の治療は、精神的にサポートしたり、ストレスへの対処法を身につけることが主となります。また、不安障害や、うつ病などが疑われるケースもありますので、治療法は個々のケースについて適切に選択される必要があります。

 

・心理療法(環境調整)

 ストレスへの対応の仕方を変えるなど、根本的な改善のためにおこないます。本人の心の問題というよりも本人から見た環境を変えるということが主眼です。カウンセリングを主として、状況に応じて認知療法や、マインドフルネス、家族療法、アサーション、リラクゼーションなどを用いる。(ストレス耐性が弱いことが、愛着形成の不全による場合はトラウマケアなどが必要です。)

 ⇒「マインドフルネスとは何か?~本当の定義、やり方、学び方のまとめ

 

 
・薬物療法

  抑うつ、不安など症状を軽減させる。あくまで補助的な治療になります。

 

 

 

適応障害に対する周囲のサポートや接し方

 昨今は、安易に本人の問題にしてしまうことがありますが、心理的な不調は、実は環境の問題であることが多いのです。たまたまその方が自分たちを代表して不調を抱えていると考えられます。「心の問題」と原因帰属しまうことは、本人の自尊心を傷つけてしまいます。
  

 同僚や家族、知人・友人が適応障害に陥った場合は

・ストレスの原因である環境そのものを調整すること

・ストレスへの対処力を高めること

・ストレスを発散させること

 をサポートすることです。

 

 適応障害は、環境(ストレス)のせいだということを忘れず、環境に適応するための具体的なサポートを行うことが大切です。

 

 例えば職場での問題であれば、以下の5点を行ってください。

1.環境を改善する

 心の不調は環境や人間関係のあらわれであることがほとんどです。本人の問題とせずにまずは環境を見なおして、改善を行ってください。一人の症状は、その環境のメンバーの問題を代表しています。職場全体の問題として、コミュニケーションの方法、職場の風土、マネジメントの仕方や仕事の進め方などできる範囲で見直しましょう。

 

 

2.技術的な教育、サポートやアドバイスを行う

 適応障害は、取り組んでいる仕事の見通しがつかないこと、うまくできないこと、意味が見出せない場合に生じやすい。先輩、上司であれば、仕事についての技術的なアドバイスやサポートを行なってください。

 ストレス耐性を高める3要素に効果があります。特に新しく職場に来て慣れない人には有効です。

 

  
3.悩みや愚痴を聴く

 ただ、ゆっくりと話を聞いてあげることも大切です。その際は、安易に本人のせいや根性論などにはしないように気をつけてください。

 

   
4.抑うつ症状が見られる場合は休ませる

 抑うつなどが見られる場合は、仕事の負荷を下げるなど休ませてください。健康相談室やクリニックなどと連携することが大切です。

 

 

5.励ますことは悪いことではない

 励ましが必ずしも悪いわけではありません。適応を支えるような励ましはOKですが、ただ本人のせいにすることは、適応を妨げるだけで、励ましではありません。(「あなたは大丈夫だ」と心の中で信頼しながら行ってください。)※うつ病で励ましが禁忌とされるのは、原因を本人に帰属させてしまうからです。

 

 

 

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参考

岡田尊司「ストレスと適応障害」(幻冬舎)
貝谷久宣「適応障害のことがよく分かる本」(講談社)

福間詳「ストレスのはなし」(中公新書)

田中正敏「ストレスの脳科学」(講談社)

ブルース・マキューアンなど「ストレスに負けない脳」(早川書房)

ステファン・W・ポージェス 「ポリヴェーガル理論入門: 心身に変革をおこす「安全」と「絆」」(春秋社)

ロバート・M・ サポルスキー「なぜシマウマは胃潰瘍にならないか」(シュプリンガー・フェアラーク東京 )

杉晴夫「ストレスとはなんだろう」(講談社)

「ストレス学ハンドブック」(創元社) 

ジョン J. レイティ「脳を鍛えるには運動しかない! 最新科学でわかった脳細胞の増やし方」(NHK出版)

「DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引」(医学書院)

「ICD-10(世界保健機構の診断ガイドライン)」(医学書院)

など