恋愛依存症診断【公認心理師監修】~3つの視点(知識)による

恋愛依存症診断【公認心理師監修】~3つの視点(知識)による

依存症

 ここ数十年で注目され始めた「恋愛依存症」。近年、依存症、精神障害として治療の対象とされるようになってきました。今回は、医師の監修のもと公認心理師が、「恋愛依存症」の診断についてまとめてみました。

 

 

<作成日2017.4.14/最終更新日2024.4.22>

 ※サイト内のコンテンツを転載などでご利用の際はお手数ですが出典元として当サイト名の記載、あるいはリンクをお願い致します。

 

この記事の執筆者

三木 一太朗(みきいちたろう) 公認心理師

大阪大学卒 大阪大学大学院修士課程修了

20年以上にわたり心理臨床に携わる。様々な悩み、生きづらさの原因となるトラウマ、愛着障害が専門。『発達性トラウマ 「生きづらさ」の正体』など書籍、テレビ番組への出演、ドラマの制作協力・監修、ウェブメディア、雑誌への掲載、多数。

プロフィールの詳細はこちら

   

この記事の医療監修

飯島 慶郎 医師(心療内科、など)

心療内科のみならず、臨床心理士、漢方医、総合診療医でもあり、各分野に精通。特に不定愁訴、自律神経失調症治療を専門としています。プロフィールの詳細はこちら

<記事執筆ポリシー>

 ・公認心理師が長年の臨床経験やクライアントの体験を元に(特に愛着やトラウマ臨床の視点から)記述、解説、ポイント提示を行っています。

 ・管見の限り専門の書籍や客観的なデータを参考にしています。

 ・可能な限り最新の知見の更新に努めています。

 

もくじ

”3つの視点(知識)“に基づき適切に診断する
視点1:普通の恋愛と恋愛依存症の違い
視点2:恋愛依存のサイクル
視点3:恋愛依存症のタイプと症状

 

 →依存症全体や恋愛依存症とは何か?と治し方については、下記をご覧ください。

 ▶「恋愛依存とは何か?その原因と特徴

 ▶「恋愛依存症の治し方~6つのポイント

 ▶「依存症の治し方~6つのポイントと療法

 ▶「依存症になりやすい人とはどんな人か?その原因と背景

 

 

 

”3つの視点(知識)“に基づき適切に診断する

 世の中には、「恋愛依存診断(テスト)」と称したものが多く存在します。しかし、それらは判定基準がブラックボックスになっていたり、適切とはいえないものもあります。

 そうしたテストよりも、正しい知識を得てそれを自分に当てはめてみる方法のほうが、より適切に判断することができます。応用も利きます。

 ここでは、3つの視点(知識)をお伝えすることで、皆様が自分自身が「恋愛依存症」かどうかを判断できる方法をお伝えいたします。

 

 1つ目の視点は「普通の恋愛と恋愛依存症との違い」です。その差を知ることで、診断を行います。

 2つ目の視点は「恋愛依存症の典型的なサイクル」です。そのサイクルを知ることで、診断を行います。

 3つ目の視点は「タイプ別の特徴」です。特徴の中身を知ることで、診断を行います。

 

診断方法

 以下のご紹介する3の視点で書かれている内容を読んだ上で、自分に当てはまるかどうかを感じてみてください。当然、当てはまる割合が多いほうが恋愛依存の傾向が強いと言えます。仮に、1つ、2つ程度であっても当てはまる場合は、「恋愛依存傾向」ととらえて間違いはありません。

 

 

 

 

視点1:普通の恋愛と恋愛依存症の違い

 ここでは、普通の恋愛と恋愛依存の違いをまとめてみました。ご自身の現在の行動や気分、感情が下記に当てはまるかどうか?確認してみてください。

 

1.本人や周囲の日常生活に支障が出ている

 その恋愛行動によって本人や周囲の日常生活に支障が出ているというのが依存症かどうかを見抜く重要なポイントです。
 相手のことを考えて仕事が手につかない、深夜まで相手の世話に振り回されている、といった場合はまさにそうです。普通の方でも人を好きになり恋愛に浮かされているといった場合は急性中毒と言えます。

 

 

2.限られた関係への依存と強い苦しみ

 人はみな依存しながら人生を生きています。その点でいえばすべてが依存で成り立っています。しかし、健康な依存とは少しずつたくさんのものに依存するような状態であり、“依存症(病的な依存)”とは、特定の限られた人やモノに頼ってしまうことを指します。例えばアルコールがないと生きられない、薬物がないと生きられない。ギャンブルを奪われたら生き甲斐がなくなる、といった場合がそうです。恋愛も同様です。「その人がいなくなったら生きられない」「その人しかない」と依存する先が限られる場合は依存症と考えられます。

 確かに、失恋や離別はショックです。しかし、それらは一時的なもので通常は友人や家族などたくさんの方に頼りながら、慰めてもらい、苦しいけれども別れた相手がすべてではないという健全な感覚を持つことができます。しかし、依存症の場合は、その人がいなくなったら自分は終わりだ、という極端な感覚にさいなまれています。恋愛ならそのくらいのことはよくある、と思われる方もいるかもしれませんが、実はその状態とは急性の中毒とも言えるもので、一時的な依存症ととらえることが適切です。つまり、だれでも依存症になりえるということを示しています。ただ、慢性化するほど自己愛の痛みを抱えているかどうか、ということがいわゆる恋愛依存症に陥るかどうかの分かれ道です。

 

3.過剰さ

 度を過ぎたかかわりではないかどうか、ということも見抜くポイントです。あまりにも相手に尽くしすぎている、ひどい相手にもかかわらず我慢している、と言った場合は、依存症である可能性が高いです。

 

4.人格の変化や問題行動

 人格の変化は依存症の特徴の一つです。日常ではおとなしい人が恋愛になると過剰に活動的になったり、攻撃的になったり、社会的な問題行動を起こしたり、ウソをついたりと言った場合も依存症であると言えます。

 恋愛のこじれで会社の金を横領して、逆上して傷害事件になる、というような事件が過去にありましたが、まさにそうしたことを指します。私たちが耳にする恋愛のこじれで警察沙汰にというのは、問題行動を起こしている点で立派な依存症と言えます。

 

5.自己愛の傷つき

 自己愛が傷ついている人の持つ独特の雰囲気、弱さや敏感さ、過剰さを感じる場合も依存症を疑うことができます。

 

 

6.偽の欲求、偽の好意

 アルコール依存症の人が、お酒が好きだからお酒を飲んでいるわけではないのと同様に、恋愛依存やセックス依存の方も、本当は恋愛やセックスが好きなのではなくて、そうせざるを得ない痛みを抱えているということです。そうした心の痛みから相手を求めている場合は、恋愛依存が疑われます。 本当は好意ではなく、依存症のメカニズムで好きだと感じている。意識のレベルで区別をすることは難しいのですが、周囲も本人も知識としてそのことを知るだけでも、直感的に依存かそうではないかを見分けるきっかけになります。 

 

結果の見方:

 自分自身に当てはまる項目がいくつあったかを見てみてください。仮に、1つ、2つ程度であっても当てはまる場合は、「恋愛依存傾向」ととらえて間違いはありません。

自分に当てはまる項目の数

 [   / 6 ]

 

 

 

 

視点2:恋愛依存のサイクル

 

 恋愛依存のサイクルとしては以下のようなものがあります。
 ご自身の行動は以下のサイクルに当てはまるか?確認をしてみてください。

1.相手にひきつけられる、あるいは相手をひきつける。

 依存相手の存在や、依存してくる相手の弱さやはかなさに惹かれる感じがする。

 
2.ハネムーン期です。理想の人に出会えたとして、強い幸せや高揚感を感じる。

 自己愛の傷つきが癒されたと感じます。
 依存傾向にある人は相手を慕うことで、依存される側も慕われることで高揚感を感じる。

 

3.徐々に、不都合なことが起き始める。

 依存傾向のある人は、依存先の相手の素っ気ない態度、精神的な支配、暴言暴力、金銭での要求などに振り回されます。依存される側も相手の要求にうまく応えることができなくなり、次第に恐れを感じて、回避や支配の側面がより強くなります。

  
4.相手に見捨てられそうな現実を否認する。

 相手は本当は自分を愛してくれているというファンタジーによって見捨てられそうな現実からくる不安をごまかそうとします。あるいは周囲からのアドバイスも否定します。
 依存される側は束縛を感じて、関係を捨てようとします。

 

5.相手から見捨てられたという事実を認めざるを得なくなり、禁断症状が生じます。

 

6.相手を取り戻す、あるいは仕返しをする、という妄想を抱くようになります。そして実行に移します。

 執拗にメールしたり、相手を誘惑したり、自殺をほのめかしたり、といったことです。ストーカーまがいの行動をとる場合もあります。依存される側はより関係からの束縛を感じてそこから逃れようとします。
 

7.運よく関係が戻ると、互いの依存症はより強化されます。あるいは別のパートナーを見つけてまた依存を始めます。

 また、1を繰り返していきます。

 

 

結果の見方:

 ここでは、恋愛依存のサイクルの各プロセスについて自分自身に当てはまるものがないか?を確認してみてください。特に「依存するーされる」の関係性の中に自分がいないかどうかを見てみることです。

・あなたの行動は上記の恋愛依存のサイクルに当てはまりますか?

 A.かなり当てはまる

 B.当てはまる

   C.少し、もしくは部分的に当てはまる

 D.当てはまらない

自分は恋愛依存のサイクルに [    ] です。

 

 

 

 

視点3:恋愛依存症のタイプと症状

 心理学者の伊藤明は、恋愛依存を下記の4つのタイプに分類しています。

 1.共依存(尽くす側) 2.回避依存(尽くされる側) 3.ロマンス依存 4.セックス依存

 下記それぞれについて当てはまる特徴があるかないか?を確認してください。最後に各タイプについて当てはまる割合を記入してみましょう。

1.共依存

 「共依存」とは、もともとは、アルコール依存症を持つ妻と夫との関係を指す言葉です。アルコール依存で何もできなくなった夫を支えることで、何もできない状態が継続し、依存症に手を貸している状態のことを言います。

 恋愛依存症の場合の共依存も同様に、相手を過度に世話すること、尽くすことに一生懸命で本人の周囲の日常生活に支障をきたしている状態です。相手から求められること=自分の存在価値、となっているため、強迫的に世話をしようとします。

 重なり合う部分も多いですが、特徴を列挙してみました。

 

・強迫的な世話

 恋愛の対象となる相手を助ける、世話をしなければという強い気持ちがあります。それは通常のものではなく、強迫的な衝動によるものです。その裏には強い見捨てられる不安が存在します。世話をすることで相手から愛情をもらい、自分の価値を保とうとします。

 

・必要とされることを求める。相手を放っておけない

 相手から必要とされることを求めます。相手から求められること=自分の存在価値となっています。そのために相手から連絡がまめにないと強い怒りを感じたり、相手が問題を抱えていることを喜びます。世話をしながら、相手の問題が解決することを真に望んでいません。解決すると相手が去ってしますと不安を感じています。

 

・「救済者」になることを欲する

 相手の救済者となることで常に相手から必要とされる存在になろうとします。アドバイスしたり、何かとお世話をしたくなります。こうした欲求を満たすための相手は問題を抱えた「ややこしい彼(彼女)」であることが必要となります。そのために世話しがいのある相手=振り回される、ということです。

 

・自分の幸せよりも相手の幸せを優先する。自分を犠牲にする。無力感、無価値観

 自分というものがなく、常に相手を優先します。過剰に相手の顔色や気持ちをうかがい、先回りしてしまいます。相手の幸せが自分の価値であるとして、自分を犠牲にします。背景には愛される価値がない、という無価値観、無力感があります。

 

・非現実的な期待

 完全な愛情を得られる、といったことや、誰かが自分を救済してくれる、という非現実的な期待感があります。私が世話をすることである日相手が改心して、自分を認めて完全な愛を与えてくれる、と考えています。目の前の不都合な事実には目を向けることができません。そのため、相手に振り回されているので別れたほうがいいと周囲がアドバイスをしても聞く耳を持つことができません。

 
・無意識に親の姿を恋愛相手に投影している

 共依存の方が、ひどい相手ばかりを求めるのは、実は自分の自己愛を傷つけた親を求めるということがあります。いわゆる「再演」によって自己愛を癒そうとしているということもありますし、“親”を世話することで愛されようとする動きでもあります。

 

・支配を求める~対等の関係を築くことができない

 無価値とされる自分に本当の価値を認め自分を救済してくれる王子(お姫)さまが自分を支配することや、逆に相手を世話することで相手をコントロールすることを望んでいます。安定した付き合い、対等な関係には不安を感じてしまいます。

 

・見捨てられる不安

 強烈な見捨てられ不安があります。世話をする相手がいて、その相手を世話することが自分の価値ですから、相手がいなくなることや必要とされなくなることには理屈を超えた強烈な不安が襲います。

 

・幸福や、親密さへの不安

 恋愛を求めながらも、実は本当の意味で親密になることには違和感と不安を感じています。安定した親密さは苦手です。幸せになることも同様で、自分は幸せになる価値がないと考えていますので、幸せな状況は強い違和感とそれを通して感じる不安を呼び起こします。

 

2.回避依存

 回避依存とは親密な人間関係をさける過度な傾向を指します。いくつかのタイプがあります。
 ※タイプの名称はわかりやすくつけているもので確定されたものではありません。

・独裁者、搾取者

 罪悪感や恐怖を利用して相手を支配し、搾取するタイプです。暴力や暴言というわかりやすい場合もあれば、暗に「おまえはダメなヤツだ」という無言の圧力をかけてくる場合もあります。自分の考えは正しくて、絶対で、反論すれば、同意するまで責め続けたりします。
 行動を制約したり、金銭的な要求をすることもあります。自己愛性人格障害や反社会性人格障害などがこれに当たります。

 

・ナルシスト

 何より自分が好きで、自分の理想を周囲に押し付けようとします。子どもっぽいところがあります。自己愛性人格障害や演技性人格障害などが該当します。

 
・逃げ腰症候群

 愛情を求められたり、迫ると嫌がって逃げてしまいます。一人を好み、束縛を嫌がります。本心をはぐらかします。込み入った話、深刻な話題になると避けようとします。いわゆる回避性人格障害や、回避型の不安定型愛着がそれにあたります。

 

3.ロマンス依存

 ロマンス依存とは、刺激的な恋愛ばかりを求めようとしてしまうタイプです。
 ドラマのような恋愛、不倫、略奪愛や怪しげな人との恋愛に魅力を感じてしまう傾向です。熱に浮かされたように恋愛に没頭し急激に醒めることがあります。
 
 共依存との違いは、相手の世話をすることを志向していないという点です。
 また、ロマンス依存の特徴は、恋愛ホルモンだけではなくて、ギャンブル依存などのようにリスクから来る刺激にも依存している点です。
 

 
4.セックス依存

 性衝動がおさえられない。性的快感や刺激に依存している状態です。セックスをしているときだけ愛されている感覚を得ることができたり、自己愛の傷つきからくる苦しみを和らげることができます。

 

 また、過去に性的虐待を受けていた方が、「再演」としてセックス依存となることがあります。傷をいやすためや、価値のない自分を罰するためにセックスを行っていると考えられます。強い快楽で心の傷の痛みを一時的に覆い隠すためや、自身の体を軽く扱ったり汚したりすることによって自分を罰するという自傷行為の一種としてセックスを繰り返している場合もあります。

 

 

結果の見方:

 各タイプの特徴について当てはまる割合を下記にメモしてください。

 一番数が当てはまるタイプが自分の恋愛依存の基本タイプです。タイプは一つだけではなく、それ以外にも当てはまるタイプについても、自分のタイプの要素に含まれているととらえてください。

・あなたの行動は「共依存」の特徴に当てはまりますか?

 A.かなり当てはまる

 B.当てはまる

   C.少し、もしくは部分的に当てはまる

 D.当てはまらない

 

・あなたの行動は「回避依存」の特徴に当てはまりますか?

 A.かなり当てはまる

 B.当てはまる

   C.少し、もしくは部分的に当てはまる

 D.当てはまらない

 

・あなたの行動は「ロマンス依存」の特徴に当てはまりますか?

 A.かなり当てはまる

 B.当てはまる

   C.少し、もしくは部分的に当てはまる

 D.当てはまらない

 

・あなたの行動は「セックス依存」の特徴に当てはまりますか?

 A.かなり当てはまる

 B.当てはまる

   C.少し、もしくは部分的に当てはまる

 D.当てはまらない

 

自分の恋愛依存のタイプ(要素)

1.共依存(尽くす側)   [      ] 

2.回避依存(尽くされる側)[      ]

3.ロマンス依存      [      ] 

4.セックス依存      [      ]

 

 

 

 →依存症全体や恋愛依存症とは何か?と治し方については、下記をご覧ください。

 ▶「恋愛依存とは何か?その原因と特徴

 ▶「恋愛依存症の治し方~6つのポイント

 ▶「依存症の治し方~6つのポイントと療法

 ▶「依存症になりやすい人とはどんな人か?その原因と背景

 

 

※サイト内のコンテンツを転載などでご利用の際はお手数ですが出典元として当サイト名の記載、あるいはリンクをお願い致します。

(参考)

ハワード・M.ハルパーン「ラブ・アディクションと回復のレッスン 心の中の「愛への依存」を癒す」(学陽書房) 
ピア・メロディ「恋愛依存症の心理分析 なぜ、つらい恋にのめり込むのか」(大和書房)
ヘレン・E・フィッシャー「愛はなぜ終わるのか 結婚・不倫・離婚の自然史」(草思社) 
ラリー・ヤング「性と愛の脳科学 新たな愛の物語」(中央公論新社)
斎藤 学「アダルト・チルドレンと家族 心のなかの子どもを癒す」(学陽書房)
小谷野 敦「日本恋愛思想史 - 記紀万葉から現代まで」 (中公新書)
小谷野 敦「恋愛の超克」(角川書店)
エドワード・J・カンツィアン、マーク・J・アルバニーズ「人はなぜ依存症になるのか」(星和書店)
クレイグ・ナッケン「やめられない心」(講談社)
M・クーハー「溺れる脳」(東京化学同人)
渡辺登「依存症のすべてがわかる本」(講談社)
岡本卓、和田秀樹「依存症の科学」(化学同人)
廣中直行「依存症のすべて」(講談社)
信田さよ子「依存症」(文春新書)
斎藤学「し癖行動と家族」(有斐閣)

など