悩みの原因や解決方法

ネット、ゲーム依存症の本当の原因と治し方の8つのポイント

[「インターネット・ゲーム依存症」の原因と治し方「依存症」の原因と治し方悩みの原因や解決方法]


ゲーム依存症のイメージ

 今回は、インターネット・ゲーム依存症(Internet addiction/Game addiction)についてまとめてみました。

「依存症」全体については下記の記事を参考にしてください。

 「依存症(アルコール等)とは何か?真の原因と克服に必要な6つのこと」 

 

 ※サイト内のコンテンツのコピー、転載、複製を禁止します。

 

 

はじめに~インターネット依存、ゲーム依存を疑うその前に

 本記事にてまとめておりますが、インターネット依存、ゲーム依存の背景には家庭や現実での居場所の無さが原因であることが多いです。つまり、インターネット依存、ゲーム依存そのものは原因そのものではなく、居場所の無さに対する「未熟な自己治療」という現象です。

 当センターでも、ご相談を寄せられるケースのほとんどは、周囲やご家族が根本的な問題を直視しないままに、「ネット依存」「ゲーム依存」という目先の問題や”当人の異常さ”に原因を求めてしまっているものです。

 「家族がゲーム依存なんです」と、カウンセラーが詳しくお話を伺ってみると、実はご家族は本人と膝を交えて本音の話し合いをしたことがなかったり、過干渉すぎたり等、背景があるにもかかわらず、そのことに目を向けていないことが多いです。

 家に引きこもってゲームばかりしている、仕事(学校)に行かない、勉強しないからといって、たちまちネット依存、ゲーム依存ということではありません。

 引きこもって他にやることが無ければ、時間をつぶしたり、やり場のないエネルギーをインターネットやゲームばかりになるのはある意味当たり前です。それが、真のゲーム依存、インターネット依存か、といえばそうではないことがわかります。

 インターネット依存、ゲーム依存はあくまで現象に過ぎないともいえます。「家に閉じこもってゲームばかりしているから、ゲーム依存に違いない!」と表面的な現象に飛びついたりしないでください。まずは、ご本人の考えをゆっくり聴く機会を持ち、「背景にあるもの」、「問題の全体像」を先入観なく明らかにすることが大切です。

 そのためにも、本記事をご参考いただければ幸いです。

 

 

 

インターネット・ゲーム依存の社会

 IT革命以後、PCからのインターネットの利用者は2015年4月の時点で、日本全体で約5,000万人、スマートフォンユーザーは4832万人と言われます。スマートフォンのゲームはヒット作になると1000万ダウンロードを超えるほどです(ファミコンのヒット作のドラクエⅢの売上が約380万本といわれますから、その拡がりの大きさがわかります)。

 かつて、パソコンやゲームは据え置き型で家や職場で行うものであったのが、今はいつでもどこでも簡単にネットやゲームを楽しむことができるようになりました。
 その副作用として、いつもスマホを触っていないと落ち着かない、メール着信、LINEなどSNSをチェックしている。暇を見つけてはオンラインゲームを行う。さらに歩きながらスマホを触るという、「歩きスマホ」への注意を呼びかけるまでになっています。
 一方で、リアルな人間同士のつながりは希薄になりつつあり、全く人と話さず日常生活を送ることも珍しくありません。
 
 そんな中、インターネットやゲームへの依存症が問題となっています。日本においては、インターネット・ゲーム依存の患者は500万人とも言われています。中国や韓国など、海外では国家レベルでの対策に乗り出すなど深刻な問題となっています。
 ただ、いつもネットばかりしている人を見て道徳的に問題視されているといったレベルではなく、薬物依存と同様に、脳のあり方を変え、認知機能や社会性を損なうことが明らかになってきたからです。
 「21世紀のアヘン」と呼んで警鐘を鳴らす専門家もいます。

 明らかに違法である薬物とは異なり、インターネット、ゲーム自体は合法であり、インターネットそのものは現代社会に無くてはならないインフラでもありますから、簡単にアクセスでき、病識も持ちづらく、対応が難しい依存症とも言えます。現代は、簡単に誰もがインターネット、ゲームに依存しやすい社会と言えます。

 

若者のインターネット・ゲーム依存の有病率

 各国での調査の基準の差もあるが、インターネットの普及やゲーム産業の発展の違いなどによって有病率には国ごとに差があります。

 日本8.1%(2013年)

 韓国12.4%(2010年)
 中国、アメリカ、イギリス、ノルウェイなども8%台、ドイツ、オランダなどは3%台

となっています。日本では、中高生のうち約50万人が依存症に陥っていると推計されています。

ゲーム依存症のイメージ2

 

 

インターネット・ゲーム依存症のチェックと診断

・インターネット・ゲーム依存症の基準(DSM-Ⅴより)

 DSM(米国精神医学会の診断マニュアル)の第5版で「インターネット・ゲーム障害」という名称で、インターネット・ゲームへの依存症について基準が定められています。この基準では、「ゲーム」に焦点があたった記述となっていますが、その他のサービスについても同様とお考えください。

以下の項目に5つ以上に該当する場合、依存症と考えられます。

1.インターネットゲームへのとらわれ
2.インターネットゲームが取り去られた際の離脱症状
3.耐性、すなわちインターネットゲームに費やす時間が増大していくことの必要性
4.インターネットゲームにかかわることを制御する試みの不成功があること
5.インターネットゲームの結果として生じる、インターネットゲーム以外の過去の趣味や娯楽への興味の喪失
6.心理社会的な問題を知っているにもかかわらず、過度にインターネットゲームの使用を続ける
7.家族、治療者、または他者に対して、インターネットゲームの使用の程度について嘘をついたことがある
8.否定的な気分を避けるため、あるいは和らげるためにインターネットゲームを使用する
9.インターネットゲームへの参加のために、大事な交友関係、仕事、教育や雇用の機会を危うくした、または失ったことがある

 ※いわゆるインターネットの使用や、インターネットを利用したギャンブルの利用は除きます。

 

 

・スマホ依存に関する基準(S-スケール)

 韓国政府が作成したスケールです。文化的にも近い日本でも利用できます。※成人の場合は、学業や成績についての記述は仕事に置き換えて仮にチェックしてみてください。

1.スマートフォンの使いすぎで、学校の成績が下がった

2.家族または友人と一緒にいるより、スマートフォンを使っている時のほうが楽

3.スマートフォンを使えなくなったら、我慢するのが大変そう

4.スマートフォンの利用時間を減らそうとしたが失敗した

5.スマートフォンの利用で、計画したこと(勉強、宿題または塾の受講等)をするのが難しい

6.スマートフォンを使えないと、世界が終わったような気がする

7.スマートフォンがないと、落ち着かずイライラする

8.スマートフォンの利用時間を自分でコントロールできる

9.いつもスマートフォンを使っていると指摘されたことがある

10.スマートフォンがなくても不安にならない

11.スマートフォンを使っているとき、やめなくてはと思いながらも続けてしまう

12.家族または友人からスマートフォンを頻繁に、または長時間使いすぎだと不満を言われたことがある

13.スマートフォンの利用は、今している勉強のじゃまにならない

14.スマートフォンを使えないとき、パニック状態になる

15.スマートフォンの長時間利用が習慣化している

 

1~7,9,11,12,14,15の答えは下記の点数で総得点を計算します。

まったく当てはまらない=1点

当てはまらない=2点

当てはまる=3点

とても当てはまる=4点

8、10,13の答えは下記の点数で計算します。

まったく当てはまらない=4点

当てはまらない=3点

当てはまる=2点

とても当てはまる=1点

<判定>

※実際の判定は、要因別に計算したものも加味しますが、個々ではシンプルにするために、総得点だけとしています。

総得点45点以上=スマホ依存症の危険性が高い

総得点42~44点=潜在的な危険性がある

総得点41点以下=一般的な利用者

 

 

 

・インターネット依存についての基準(ヤングのチェックリスト)

 1998年に米国の心理学者キンバリー・ヤングが作成したチェックリストです。※成人の場合は、学業や成績についての記述は仕事に置き換えて仮にチェックしてみてください。

1.気がつくと思っていたより、長い時間インターネットをしていることがありますか

2.インターネットをする時間を増やすために、家庭での仕事や役割をおろそかにすることがありますか

3.配偶者や友人と過ごすよりも、インターネットを選ぶことがありますか

4.インターネットで新しい仲間を作ることがありますか

5.インターネットをしている時間が長いと周りの人から文句を言われたことがありますか

6.インターネットをしている時間が長くて、学校の成績や学業に支障をきたすことがありますか

7.他にやらなければならないことがあっても、まず先に電子メールをチェックすることがありますか

8.インターネットのために、仕事の能率や成果が下がったことがありますか

9.人にインターネットで何をしているのか聞かれた時に防衛的になったり、隠そうとしたことがどのくらいありますか

10.日々の生活の心配事から心をそらすためにインターネットで心を静めることがありますか

11.次にインターネットをするときのことを考えている自分に気づくことがありますか

12.インターネットのない生活は、退屈でむなしく、つまらないものだろうと恐ろしく思うことがありますか

13.インターネットをしている最中に誰かに邪魔されると、イライラしたり、怒ったり、大声を出したりすることがありますか

14.睡眠時間を削って、深夜までインターネットをすることがありますか

15.インターネットをしていない時でもネットのことを考えていたり、ネットをしているところを空想したりすることがありますか

16.インターネットをしているとき「あと数分だけ」と言っている自分に気づくことがありますか

17.インターネットをする時間を減らそうとしても、できないことがありますか

18.インターネットをしていた時間の長さを隠そうとすることがありますか

19.誰かと外出するより、インターネットを選ぶことがありますか

20.インターネットをしていないと憂鬱になったり、イライラしたりしても、再開するといやな気持ちが消えてしまうことがありますか

 

それぞれの質問について下記の点数で計算します。

いつもある=5点

よくある=4点

ときどきある=3点

まれにある=2点

まったくない=1点

<判定>

総得点70点以上=依存傾向が高い。治療が必要

総得点40~69点=依存傾向がある

総得点39点以下=平均的なユーザー

 

 

依存症のタイプ

 日本の総務省の研究プロジェクトが下記のような分類を示しています。

 

 ・リアルタイム型ネット依存

  チャットやゲームなどリアルタイムにやり取りをすることを前提としたサービスへの依存です。オンラインゲームなどはこれに該当します。ユーザーが集まる深夜にプレイし、昼夜逆転を引き起こします。

 

 ・メッセージ型依存

  ブログや、掲示板、SNSへの書き込みやメール交換など、利用者同士のメッセージをやり取りするサービスへの依存です。LINE、ツイッターなどが代表的です。

 

 ・コンテンツ型依存

  ネット上の記事や動画など、受信のみで成立する一方向のサービスへの依存です。動画配信サイト、ニュースサイト、まとめサイトなどが代表的です。
 

 


インターネット・ゲーム依存症の特徴(派生する問題)

 インターネット・ゲーム依存症になると、下記のような特徴が現れます。衝動の制御や認知、注意力、社会的機能に悪影響があることがわかります。

 

・神経過敏
・不機嫌になりやすい
・イライラしやすい
・不安、
・うつ状態
・無気力
・注意力や集中力の低下
・社会的機能の低下
・多動、不注意の増加
・学力、仕事の成績の低下
・睡眠障害や昼夜逆転
・偏食、欠食
・無断欠席、無断欠勤、遅刻
・課金など金銭面でのトラブル
・ネットでの不正アクセスのトラブル

 また、上記以外でも、視力の低下や腰痛、肥満、エコノミークラス症候群など付随する身体の不調も指摘されています。

 

 

依存行動は多様で波がある

 アルコール依存症においても指摘されていることですが、依存症の行動は人によって多様で、波があります。

 あるとき熱中しているかと思えば、パタリとやめてしまう。そしてまた行うようになる。スマホのゲームはしないが家での据え置きゲームはする。逆に家では全くしない、といったことです。

 多様で波があるということを知らず誤ったイメージをもっていると、「自分は依存症ではない」と考えたり、家族も「いつもしているわけではないから、依存症というわけではないかも」と捉えてしまい、適切な対処が遅れてしまう原因となりかねません。

 

 

併発する問題

・引きこもりとの併発

 インターネット・ゲーム依存症は、引きこもりと併発することも多いです。

 その際にも2つのタイプがあります。一つは元々引きこもりの人がインターネット・ゲーム依存症に陥ってしまうケース。もう一つは、インターネット・ゲーム依存症の人が引きこもりとなってしまうケース。

 前者の場合は対応が難しく、インターネット・ゲーム依存症から回復しても引きこもり自体が治るかどうかはわかりません。しかし、後者の場合は、インターネット・ゲーム依存症から回復することで引きこもりも解消していきます。

 ⇒「ひきこもり、不登校の真の原因と脱出のために重要なポイント


 
・発達障害、適応障害、うつ病など精神疾患との併発

 発達障害を持つ人が、対人関係や適応がうまくいかないために、インターネットの世界に没入してしまうというケースも多いです。
 昨今、後天的な環境によっても発達障害様の状態に陥ることがわかってきており、インターネット・ゲームへの過剰な依存が、認知や社会性の低下を生み、発達障害様障害を引き起こす危険性も指摘されています。
 韓国では、ネット依存の75%が何らかの精神疾患を併発しているとの報告もあります。脳内の神経伝達物質のバランスが崩れることが原因と考えられます。

 ⇒「大人の発達障害の本当の原因と特徴~様々な悩みの背景となるもの」

 ⇒うつ病の真実~原因、症状を正しく理解するための10のこと

 ⇒適応障害とは何か?~本当の原因、症状とその治療


・その他の依存症との併発

 クロスアディクションといいますが、依存症は、根底にある問題は共通しているため、複数の依存症を併発したり、ある依存症が治ると別の依存症に陥るなど、依存症同士で行ったり来たりということが起きます。

 

 

 

インターネット・ゲーム依存症のメカニズム

・報酬系の異常

 依存症の記事(「依存症(アルコール等)とは何か?真の原因と克服に必要な6つのこと」)で詳しくまとめていますが、人間には、将来の報酬を予測し、行動したり、衝動を制御したりする「報酬系」と呼ばれる脳のしくみが存在します。
 子どもの頃は衝動を抑えることができず報酬系が非常に短期なものとなっています。大人になるにつれ、教育や経験によって報酬系のサイクルは長期のものになっていきます。数カ月後、数年後の成果に向けて、コツコツ努力をする、といったことが可能になります。
 
 しかし、依存症は報酬系の機能を狂わせます。薬物や刺激的な行為(プロセス)はちょっとした行動で、仕事や勉学でコツコツ努力をして得られた時に感じるのと似た快楽を得ることができるため、簡単な行為-高い快感、というサイクルに条件付けられてしまいます。
 たとえば、薬物を摂取するのは簡単な行為です。ギャンブルで馬券を買うのも簡単なことです。ゲームも同様です。行為は簡単ですが、その行為は大きな快楽をもたらします。
 研究によると、ゲームをした際のドーパミンの放出量は、覚醒剤を投与された際とほぼ同じ程度の量が放出されていることが明らかになっています。
 
 ゲーム以外のインターネットの利用でも、面白いニュースを探す、出合い系で相手を探す、動画を見る、といったことも、かつてであれば稀に遭遇する経験であったものが、インターネットでは簡単にアクセスできてしまいます。
 もちろん、いつも良い結果ばかりではないのですが、人間は過去に快感を得た行動を繰り返そうとし、依存の習慣が形成されてしまうのです。 


・社会性、共感性、情緒に関わる領域の異常

 報酬系の異常によって、情緒を制御する眼窩前頭葉や全帯状回の機能が低下するため、ちょっとしたことでイライラしたり、怒りっぽくなったります。
 それまではおとなしく優しい人だったのが、人が変わったように怒りっぽくなったり、家族に暴力を振るったりということが起きます。   

 

・認知機能の異常

 ドーパミンが大量放出されると、影響を受けすぎないようにするために、ドーパミン受容体の数が減ってしまうダウンレギュレーション(脱感作)が生じます。
 脳内の神経伝達の機能が通常よりも低下するためにうつっぽくなったり、注意力が低下するようになります。
 その結果、認知機能にも悪影響を及ぼし、ネガティブになったり、判断力が低下したり、といったことが生じます。
 学力にも明らかな悪影響を及ぼすことがわかっています。

 

 

インターネット・ゲームへの依存を促進する仕組み 

 そもそもインターネットサービスやゲームは利用者を増やすことを目的としていますから、随所に“ハマる”工夫が凝らされています。

 依存症のメカニズムに沿うような形でゲームは作り込まれています。

 インターネット・ゲームにある要素としては下記のようなものがあります。

 ・非日常的な興奮
 ・仮想の世界でのもう一つの自分(アバター)や生活
 ・仲間との繋がり
 ・報酬
 ・成長感
 ・達成感
 ・自己効力感

 インターネットやゲームの中には、生活があり、成長があり、つながりがあり、達成があり、興奮があります。単純なパズルゲームでも、RPGの要素をもたせたものがあり、技能の向上やミッションの達成があります。「社会のパラレルワールド」に必要なすべてが揃っているといってもいいでしょう。

 

 

 

インターネット・ゲーム依存症の原因(背景)

・現実への居場所のなさ(不適応)

  私たち人間は、ゆるやかに多くのものに依存しながら生活をしています。
 例えば、人間関係では家族、職場、友人・知人など、社会(職場、地域、趣味のグループなどが挙げられます。依存の中で私たちは居場所を持つようになります。自分のアイデンティティも関係性の中で確立されます。

  しかし、様々な要因で人間関係や社会においてゆるやかな依存がなくなると居場所を失うようになります。私たちは居場所のなさに耐えることができません。そこで、何か特定のものに極端に依存して擬似的に報酬を得ることで、居場所を得ようとします。
 依存症とは「社会のパラレルワールド」(社会薬理学者マリー・ジャホダ)といわれるのはまさにこのためです。

 居場所のイメージ


・家族の不和

 ゲーム依存の子どもを見ると、家族に不和があるといったケースも多いとされます。事実、問題のある家庭で育つとそうではない場合と比べて3.4倍のリスクとなります。
 子どもの場合は、両親や家族の不和は大きな影響があります。家族が安全で落ち着いた場所ではなくなります。また、不適切な養育などによってトラウマや愛着障害になるなど、様々な悪影響があります。

 →「<家族>とは何か?家族の機能と機能不全

 

・パーソナリティ

 本人のパーソナリティの傾向も依存症の背景として重要であるとされます。パーソナリティとして指摘されているのは2つ、「新奇性探求の強いタイプ」と対人関係が苦手な「回避的なタイプ」です。
 新奇性探求の強いタイプでは、衝動性が強く刺激を求めることから依存に陥りやすいことが指摘されています。回避的なタイプでは、煩わしい現実の対人関係を避け、インターネットやゲームに居場所を求めやすいことがその要因です。
 また、「自己愛的な性格」、「承認欲求が高い性格」も依存症の要因となりやすいようです。一方で、「勤勉さの強いタイプ」は依存症になりにくいとされます。

 

 

・愛着障害、トラウマ

 幼いころに不適切な養育環境にあった場合、社会との関わりの基礎となり安全基地となる「愛着」がうまく形成されず、パーソナリティの不安定さや、適応の難しさを生むことがわかっています。不安定な愛着は、行為への依存を生む大きな原因の一つです。
 アルコール中毒では「アダルトチルドレン」という言葉が生まれたように、依存症あるいは依存症の親に育てられても同様にその子どもも依存症に陥ることが指摘されています。逆に過保護すぎてもダメで、依存症に陥る危険度が2.8倍高まるとされます。

 ⇒参考となる記事はこちら
  「「愛着障害」とは何か?その症状・特徴と治療、克服のために必要なこと」 

  「トラウマ、PTSDとは何か?あなたの悩みの根本原因と克服

 


・発達障害

 発達障害は、生まれつきの場合と養育環境によって同様の問題が生じる場合とがあります。発達障害傾向のある人は独特なコミュニケーションのスタイルから不適応を起こしてしまいます。また、特定の事柄に強い執着をもつこともあり、依存症の背景として考えられます。
 ADHD傾向のある子どもの場合、元々ドーパミンの働きが弱く、衝動性や不注意につながっています。
 ゲームに依存することでドーパミンが放出されて一時的に落ち着き、注意力が高まる効果があるため、ある種の自己治療として依存症に陥ってしまうのです。

 ⇒「大人の発達障害の本当の原因と特徴~様々な悩みの背景となるもの」

 

 

 

 

インターネット・ゲーム依存を治療(予防)するための8つのポイント

  インターネット・ゲーム依存を治療(予防)するためには何が必要なのですか?大切なポイントを纏めてみました。下記のポイントは予防にも役立ちます。


1.家族間の絆が大切。承認と安心感を与える

 依存症の大きな原因は、本来安全な場所である家庭が安全ではなかったり、居場所がないことにあります。依存症とはあくまで現象であって、依存症そのものは原因ではないということです。


 絆とは、双方のコミュニケーションで築かれるものです。関わりが欠けていたり(ネグレクト)、過剰(過干渉)でもバランスを欠いてしまいます。ほどほどに安定していることが大切です。親がケンカをしている、「躾」「教育」という建前のもと、子どもに心ない言葉をかける、といったことを繰り返していては絆は作られません。支配と絆とは異なります。

 

 健全な状態とは、たくさんの依存の糸が張り巡らされて心地よいネットのようになっているものです。健全な依存のネットワークが切れていくことである特定の物事に依存(依存症という状態)せざるを得なくなってしまうのです。繊細で、気遣いのできる人ほど、しわ寄せを受けやすいのです。

 依存症の解決には、まず家族間の絆を取り戻す必要があります。ちょっとした気付きで取り戻せる場合もあれば、大変な作業になる場合もあります。親自身が、さらにその親から承認されていなかったことが、家族を承認できていない原因となっているといったことも珍しくありません。家族の中で依存症が発生したということは、絆が切れている、という事に気づき、取り組みを始めることが大切です。

 

絆と愛着のイメージ


2.家族も変わる必要がある

 依存症は「家族の病」と呼ばれます。そのため、依存症の当事者だけを治せばよい、という考えではなかなくうまくいきません。家族も一緒に変わる必要があります。これは決して依存症が親の責任という意味ではなく、家庭という"環境”に原因があるということです。親自身も、環境の影響を受けて否応なく問題に巻き込まれているプレーヤーということです。


 依存症を生み出し維持させられてしまうことを「イネーブリング」といいます。家庭の環境は適切か、環境を形成する家族自身の関わり方は適切か、見直してみることが必要です。家族がカウンセリングを受けるだけで環境が変わり、依存症が解決した、というケースも稀ではありません。

 →「<家族>とは何か?家族の機能と機能不全

 


3.依存症とは、自己治療であるという視点を持ち、背景を理解する。本人の性格やいい加減さのせいにしない

 依存症とは、つらい現実からの緊急避難であり、癒やすための自己治療という側面があります。
 頼るべき親が不安定であったり、自分の味方をしてくれないような環境に置かれることの絶望感は計り知れません。特に子どもにとっては逃げ場というのは限られます。依存症という逃げ場がなければ、ひょっとしたら自殺していたかもしれません。依存症が命綱となって、その子を助けてくれている、ということもあるのです。

 そうした背景を理解しないまま、「ネットやゲームばかりして、あなたは!」と叱りつけたり、説得しても解決にはなりません。

 


4.無理やり取り上げたり、制限することは逆効果

 ゲームを取り上げて隠したり、売ったり、壊したり、制限ツールを導入したり、様々な手段でインターネットやゲームの利用に制限をかけようとします。しかし、上記に書いたように、依存症に至るのはゲームそのものよりもそれ以前に原因があります。原因を理解した上で、親子でお互いに納得した上で制限を行う必要があります。
 子どもは確かに未熟ですが大人が思う以上に様々なことを感じて理解しています。大人の一方的な都合などは見抜かれてしまいます。
 
 「甘やかしてはいけない!」として無理に制限を課しても決してうまくいきません。一時的にうまくいったように見えても、問題を先送りしているだけだと捉えたほうが良いでしょう。

 


5.安心感の鍵は、Being(存在)を承認すること

 安心感を与える際に陥りやすい過ちは、「~をしたら、認めてあげる」「~しないから、怒られるのだ」といった考え方です。「自分は安心感を与えようとしているが、子どもは勉強しない」といったことはよく聞かれます。しかし、実は行動の見返りに承認を与える、というのは安心感を与えることにはならないことがわかっています。

 私たち人間を理解するわかりやすいモデルに、Being(存在)-Doing(行動)-Having(所有)というものがあります。Beingとは、存在そのものでOKと思えるような感覚を持つことができていること、存在を承認されているということ。Doingとは、仕事や勉強などで成果を上げること。Havingとは、何かを達成して報酬を得ること、です。

 社会生活を送る中で、これら3つがバランスよく満たさせることがとても大切とされます。
 
 現在社会は競争社会です。そのため、Doing,Having偏重になりやすく、子どもに対しても、ついつい何かをしたら認めてあげる、といった態度をとりがちです。

 しかし、Doing、Havingとはどこまで言ってもキリがなく、今日成功しても、明日は失敗して見捨てられるかもしれないという恐れと隣り合わせなのです。

 そこで大切なのはBeingです。どんな失敗しようが、非難されようが、自分は自分でいることが出来る。認めてもらえている、という感覚がその人を支えます。

 結果的にDoing,Havingも向上させてくれます。Beingは、仕事や勉強で満たすことは難しく、基本的には家庭、家族との間で築かれるものです。家は、Beingの場です。ついつい、Doing,Having ばかりを要求していないでしょうか?

 

 「あなたは何もなくてもそのままで大丈夫」と心の中でも信じて、言葉でも伝えることが大切です。存在(Being)を承認する視点を持つと大きな安心感を与えることができ、子どもの行動はそれだけで改善していきます。

 


6.安心感を持った上で、改善に向けての具体的な行動を一緒に検討する

 上記までに記したような対処によって安心感と居場所を確保すると、依存症の原因は解決できます。

 しかし、"習慣としての依存”は残り続けることがあります。習慣としての依存の解決には、幾つかの方法があります。
  
 ・心理教育を行う。実害について互いに理解する
  インターネットやゲームが及ぼす悪影響について話し合い理解を深めます。身体はもちろんですが、そのまま続けた場合に生じる学業などへの影響について話し合います。紙に書き出してみることも整理するためには効果的でしょう。

  また、診断のためのチェックリストなどを本人に記載させて、自覚を促すことも大切です。


 ・親子で時間の制限などルールを定める
  時間の制限などについてルールを定めていきます。
  これには本人のコミットメント(納得)が大切です。
 
 ・認知行動療法 
  考え方を修正したほうが良い場合には、認知行動療法も有効です。
  

 ・重度の場合は完全に断ち切る。「治る」はなく「回復」しかありません。

  依存症も中程度以下の場合はほど良い付き合い方に戻るということはありえます。
  しかし、重度の場合はほどよい付き合い方に戻ることは出来ず、依存対象から生涯にわたり距離を取りつづける以外にありません。

  アルコール依存症など他の依存症でも、何年も断酒していた人が「もう大丈夫になった」といって、一口アルコールを摂取した途端に、抑えられなくなって酩酊してまた逆戻り、ということが起きます。

  距離を取り続けられるようになることが「回復」ということになります。重度の場合は完全に断ちきるしか方法はありません。

 


7.離脱症状や渇望を乗り越える

  依存症で大きいのは、離脱症状(俗に禁断症状と呼ばれます)や依存への渇望を乗り越えることです。
  根本原因を緩和させても、習慣として染み付いた脳のメカニズムの失調はすぐには収まりません。

  離脱症状となって襲ってきます。
  ある一定期間を完全にアクセス出来ない環境に身をおいて打ち克つことが必要になります。
  そのために入院する、プログラムに参加するということも手段としては必要になる場合もあります。
  ※日本においては残念ながら専門の病院が少ないのが実状です。

 

8.精神科医やカウンセラーのサポートも適切が必要な場合  

  精神科医やカウンセラーも、病識のない本人をたちまち説得する魔法があるわけではありません。
  病識がない人に無理に治療しても問題をこじらせるだけです。

  精神科医やカウンセラー本人への対応策についての家族の相談はもちろんですが、依存症は「家族の病」という側面があるため、家族への心理教育やカウンセリングも行います。

  本人が治療を受けない場合は、家族がまずカウンセリングなどをうけることは大変効果的です。アルコール依存症などでも、家族がカウンセリングや自助グループに参加することで問題が解決したという報告は多く寄せられています。

  医師やカウンセラーはプロとして問題の全体像を明らかにしながら、問題をサポートすることで、依存症の背景にある原因を解消させていきます。

  依存症そのものを治す薬というものはありません。薬物療法は、衝動性を抑えるなど補助として用いられることがあります。(未成年への薬物の使用は自殺念慮を高めるなどの危険性があるため慎重な判断が必要です)

  ゲーム・インターネット依存症の専門医は日本では非常に少なく、久里浜医療センターなど数えるほどしかありません。お近くに専門の機関がないかどうかはインターネット等で調べてみましょう。

 

対策が遅れている日本

 韓国では、国を挙げて対策に取り組んでいます。
 例えば、16歳未満のユーザーは、深夜12時以降はオンラインゲームができなくなる「シンデレラ法」。インターネット依存症治療する「レスキュープログラム」「レスキュースクール」 などさまざまな施策が行われています。
 日本では、まだインターネット・ゲーム依存症が病気であるという認識も一般的ではありません。総務省が規制のための組織を作ったり、業界団体による自主規制も行われていますが、十分ではありません。
 適切にインターネットやゲームを楽しむためにも対策が望まれます。

 

 

 

 

 

 ※サイト内のコンテンツのコピー、転載、複製を禁止します。

(参考)

樋口進「ネット依存症」
樋口進「ネット依存症のことがよくわかる本」
岡田尊司「インターネット・ゲーム依存症」
遠藤美季「脱ネット・スマホ中毒」
墨岡孝、遠藤美季「ネット依存から子どもを救え」

清川輝基編著「ネットに奪われる子どもたち」
岡本卓、和田秀樹「依存症の科学」
廣中直行「依存症のすべて」

 

 

悩みの原因や治し方についてさらに知るために無料メルマガの購読はこちら

 

 

●Facebookでもご購読いただけます。

 

 

・この記事をシェアする。


mautic is open source marketing automation