今回は、医師の監修のもと公認心理師が、パーソナリティ障害の10つに分類される各タイプについて、その特徴についてまとめてみました。よろしければご覧ください。
<作成日2019.9.18/最終更新日2026.9.27>
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この記事の執筆者三木 一太朗(みきいちたろう) 公認心理師 大阪大学卒 大阪大学大学院修士課程修了 20年以上にわたり心理臨床に携わる。様々な悩み、生きづらさの原因となるトラウマ、愛着障害が専門。『発達性トラウマ 「生きづらさ」の正体』など書籍(累計約4万部)、テレビ番組への出演、ドラマの制作協力・監修、ウェブメディア、雑誌への掲載、多数。 |
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この記事の医療監修飯島 慶郎 医師(心療内科、など) 心療内科のみならず、臨床心理士、漢方医、総合診療医でもあり、各分野に精通。特に不定愁訴、自律神経失調症治療を専門としています。プロフィールの詳細はこちら |
<記事執筆ポリシー>
・公認心理師が長年の臨床経験やクライアントの体験を元に(特に愛着やトラウマ臨床の視点から)記述、解説、ポイント提示を行っています。
・管見の限り専門の書籍や客観的なデータを参考にしています。
・可能な限り最新の知見の更新に努めています。
もくじ
・パーソナリティ障害の種類(タイプ)とはなにか?
・A群(奇妙・風変わりな特徴)
・シゾイドパーソナリティ障害(症)
・統合失調型パーソナリティ障害(症)
・猜疑性(妄想性)パーソナリティ障害(症)
・B群(演劇的・感情的・移り気な特徴)
・ボーダーライン(境界性)パーソナリティ障害(症)
・自己愛性パーソナリティ障害(症)
・演技性パーソナリティ障害(症)
・反社会性パーソナリティ障害(症)
・C群(不安・恐怖を伴いやすい特徴)
・回避性パーソナリティ障害(症)
・依存性パーソナリティ障害(症)
・強迫性パーソナリティ障害(症)
→パーソナリティ障害の原因と特徴、接し方、治し方については、下記をご覧ください。
▶「パーソナリティ障害(症)とは何か?その原因と特徴を公認心理師が解説」
▶「パーソナリティ障害(症)の接し方、関わり方~基本原則と10種類別に解説」
▶「パーソナリティ障害(症)の治し方~主な治療方法とセルフケアのポイント」
▶「境界性パーソナリティ障害(症)とは何か?原因と特徴、チェック」
パーソナリティ障害の種類(タイプ)とはなにか?
パーソナリティ障害について、その特徴、症状をもとに便宜的に分類したものです。以下の10種類とA・B・C群は、DSM-5-TRで用いられている分類です。
一方、ICD-11では従来のタイプ分類ではなく、パーソナリティ機能の障害の重症度と、否定的感情、離隔、非社会性、脱抑制、制縛性などの特性を組み合わせて捉える次元的な分類が採用されています。したがって、以下のタイプは人を固定的に分類するものではなく、特徴を理解するための一つの枠組みとしてご覧ください。
・A群(奇妙・風変わりな特徴)
猜疑性/シゾイド/統合失調型
・B群(演劇的・感情的・移り気な特徴)
反社会性/ボーダーライン/演技性/自己愛性
・C群(不安・恐怖を伴いやすい特徴)
回避性/依存性/強迫性
それぞれのタイプはあくまで要素を分かりやすく区切りにしたもので、一つの人間にいくつかの要素が混ざり合うことが通常です。固定したラベルではなく、”要素”として捉えてください。
参考)特徴が重なってみられることのあるタイプ
・境界性パーソナリティ障害と演技性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害
・自己愛性パーソナリティ障害と回避性パーソナリティ障害、強迫性パーソナリティ障害
●A群(奇妙・風変わりな特徴)
他者への不信や対人関係からの距離、独特な考え方や行動などがみられやすいグループ
シゾイドパーソナリティ障害(症)
世間の価値観から超然としているタイプです。
世の中の名声やお金に興味がなく、感情の起伏、喜怒哀楽に乏しく、人とのかかわりを避け、一人でいることを好みます。親友などおらず、ごく少数の人と関わります。社会的に喜びを感じる活動が少なく、性的関心も弱く、生涯独身の場合もあります。
回避性パーソナリティ障害が、本音では人との関わりを求めているのに対して、シゾイドの場合は関わりを求めてはいません。
手先が器用で、芸術を好む人が多く、感受性も豊かで芸術分野で才能を発揮することがあります。
我慢強く同じような生活を黙々とこなすことができます。平和主義で人のことを悪く言うこともなく、ウソをつかず正直で、穏やで豊かな内面を持っています。超然としている反面、敏感で被害妄想に陥りやすい面もあります。
シゾイドパーソナリティ障害は統合失調症とは異なる疾患です。一方、統合失調症や統合失調型パーソナリティ障害の家族歴との関連などが研究されています。
人口の約3%が該当するとされます。※研究によって推定値には幅があります。
統合失調型パーソナリティ障害(症)
シゾイド・パーソナリティ症と同様の気質を持っています。常識を超越した感性、直観力、関係念慮、奇妙な知覚や体験、風変わりな容姿、奇異な考えと話し方、孤独を好む、などが特徴です。
通常とは異なる知覚体験や、奇妙な信念・魔術的思考などがみられることがあります。明確で持続的な幻覚や妄想がある場合には、統合失調症など他の精神疾患との鑑別が必要です。そのため、人とは分かり合えないと考えていることが多いです。また、自分の内的世界にこもりたいのに、むりに周囲に合わせて社交的にしている場合もあります。無理が続くとストレスがたまり精神障害に陥ることがあります。
一見すると、普通に生活している人も多いですが、問題を起こしてから初めてその奇妙さが明らかになることがあります。内面の葛藤が一般の常識からは理解できず、突然、自傷行為や薬物依存、援助交際など、突飛な行動をとることがあります。
疑い深く、敏感なために被害妄想に陥ることもあります。非社交的で会話がかみ合わないことがあります。感情表現が鈍くなっていたり、場面と合わずにコミュニケーションが不適切なものになっていたりします。
統合失調症スペクトラムとの関連が知られています。
ASDとは、社会的な孤立や独特なコミュニケーションなど表面的に似ることがあります。鑑別では、幼少期からの発達歴、限定的興味・反復行動、奇異な信念や知覚体験の有無などを総合的に確認します。
人口の約3%が該当するとされます。※研究によって推定値には幅があります。
猜疑性(妄想性)パーソナリティ障害(症)
さい疑心、警戒心が強く、親しい人も信じることができない、過度の秘密主義、傷つけられたことを根に持つ、裁判に訴えたり(好訴妄想)、自分の正当性を強く主張する、権謀術数にのめりこむ、などを特徴とします。
頑固で他人の意見を聞くことができません。他人の批判に過剰に反論したりします。いったん恨みを持つと、寛容になるといったように自分の気持ちを修整することができません。
強い不信や嫉妬が対人関係上の葛藤につながる場合があります。常に緊張状態にあります。そのためうつ病や不安障害に陥ることがあります。妄想に陥っているときは活動的で元気ですが、妄想が現実的ではないとわかるとうつ状態に陥ります。
強いストレスのもとでは、猜疑心や警戒心がさらに強まることがあります。
遺伝的な背景とともに、あらさがしや批判の多い環境で育ったことで基本的な信頼感が育たなかったことなどが原因とされます。薬物、アルコールなどの影響などによっても生じるとされます。
人口の約0.5~2%が該当するとされます。※研究によって推定値には幅があります。
●B群(演劇的・感情的・移り気な特徴)感情や対人関係、行動が激しく、不安定になりやすい特徴をもつグループ
ボーダーライン(境界性)パーソナリティ障害(症)
境界性パーソナリティ障害は、感情や対人関係、自己像の不安定さ、強い見捨てられ不安、衝動性などを特徴とします。「境界性」とは、一般的な悩み(神経症)と精神病との境界にある、ということがもともとの意味です。境界性パーソナリティ障害は強烈な「見捨てられる不安」が特徴です。
「自分は価値がなく、捨てられる」という見捨てられ不安が根底にあり、気分や相手への評価が両極端に揺れ動きます。
例えば医師に対しても、「これまであった中で一番いい先生。名医だ」といったと思ったら、「あの先生は冷たい。最悪」というように極端に揺れ動きます。にこやかに会話していても、帰り間際に、先生がふと次の患者のカルテを見ただけで、自分はないがしろにされたと感じたり、といったことが起きます。
あいまいな生き方がその特徴で、慢性的な空虚感があります。何かを達成しても、常に「これは本物ではない」という感覚があります。
対人関係が非常に親密になったり、逆に急激に相手を遠ざけたりするなど、関係が大きく揺れることがあります。
感情が不安定です。自暴自棄になったり、激しく不安になったりするために、リストカット、過量服薬、過食、薬物依存、過呼吸、解離性症状、幻覚、自殺企図などが見られます。
自分に気をひきつけるために、周囲の人間関係を壊すようなことを言ったりします。
境界性パーソナリティ障害の形成には、幼少期の虐待・ネグレクトなどの逆境体験、愛着の不安定さ、トラウマなどが深く関わっています。気質的・遺伝的ななりやすさも背景要因として研究されています。
ここ、2,30年で急増し、ここ数年は顕著なタイプは減少してきているとされます。
人口の約2%が該当するとされます。若い女性に多い症状です。※研究によって推定値には幅があります。
▶「境界性パーソナリティ障害(症)とは何か?原因と特徴、チェック」
▶「境界性パーソナリティ障害(症)の治し方、接し方のポイント」
自己愛性パーソナリティ障害(症)
過剰な自信、万能感、誇大な願望を特徴とする「自己誇大感」、尊大な態度、自分には特別な配慮があって当然という気持ち、他人への関心が薄く、共感、同情、思いやりの欠如を特徴とする症状です。世界は自分のために存在している、というような感覚があります。
自分を特別な存在と捉え、称賛を強く求めたり、特別な配慮を当然と感じたりすることがあります。他者への共感が難しくなり、対人関係で相手を自分の目的のために利用してしまう場合もあります。一方、外見上の誇大さの背後に、自己評価の不安定さや批判への敏感さがみられる人もいます。失敗すると過度に落ち込むこともあります。失敗を直視できず、周囲との摩擦を軽視して調整することとができません。 挫折によって、抑うつや反社会的行動をとる場合もあります。
期待する称賛が得られないと、屈辱を味わったと感じて、等身大の自分を見つめることができずに、自己防衛として強い怒りをぶつけるようになります(自己愛的怒り)。
自分に自信がないため、自尊心を膨らませ続けなければ自分を保つことができないと考えています。褒められなければ愛されないと考えています。
恥の感覚にゆがみがある「恥の精神病理」が特徴で、自分がバカにされてきた体験を過去に持っていたりするために、それらをかき消すように尊大になり、あるいは、バカにされているのでは、という意識をもっています。
自己心理学などの精神力動的な理論では、安定した自己評価の形成が十分に進まない場合に、誇大な自己像や他者からの称賛への依存が生じるという見方があります。具体的には、幼いころに溺愛されたり、劣等感を感じる体験をしたために、自己愛が適切に発達せずに、「誇大自己」の段階にとどまっている状態と考えられます。ありのままの自分を愛することができないために、誇大化する自己を誇っているといえます。
尊大で自己を前面に押し出すタイプもいれば、一見すると控えめですが、内面ではプライドが高く、傷つきやすいタイプもいます。
両者とも劣等感と誇大な自己イメージとがあります。後者は回避性パーソナリティ障害の特徴とも重なります。
演技性パーソナリティ障害(症)
派手なパフォーマンスや外見で人の興味を引き付けようとします。話し方が印象的・感情的で、具体性に乏しくなることがあります。
対人関係を過度に親密なものと考えます。相手に合わせよう、流行に乗ろうという気持ちが強く自分の感覚が希薄です。そのため、暗示にかかりやすい傾向があります。
根底には外見の魅力がなければ自分は価値がないという不安があります。頭痛やめまい、腹痛、けいれん、過呼吸など身体化症状が出ることがあります。現代の日本ではあまり目立たなくなってきたタイプです。
幼少期から、他者の注目や評価によって自分の価値を確認するような対人関係を経験していることが、その後の自己感覚や対人スタイルに影響することがあります。
反社会性パーソナリティ障害(症)
ルールを無視したり、危険を冒すことを好む傾向があります。人の痛みに鈍感です。倫理観、責任感がなく、無鉄砲で、命知らずです。
言葉がうまい虚言タイプ、暴力的に支配する暴力タイプに分かれます。発症の由来では、不遇な経験を経て親や社会を恨むようになったタイプや青年期以降に反社会性の傾向が現れるタイプとがあります。
行為障害(非行や犯罪)、反抗挑戦性障害(反抗的な態度をとる)、アルコールや薬物依存症に陥ることもあります。
明らかに反社会的なタイプは近年減ってきている傾向にあります。
もともとの気質として新奇なものへの好奇心やリスクを恐れない性格もありますが、幼少時の養育環境などで否定的な扱いを受け、反抗的な態度が強まったために生じます。
●C群(不安・恐怖を伴いやすい特徴)不安や恐怖が強く、対人関係での回避や依存、過度な慎重さなどがみられやすいグループ
回避性パーソナリティ障害(症)
責任やプレッシャーがかかる状況を避けようとします。自己評価が低く、自信がなく、失敗を恐れて、人から嫌われるからと人との関わりを持とうとしません。
他人の評価にも敏感です。親の期待にこたえようとしてはたせなかったという思いが強く影響しています。
優秀すぎたり、有名な親の子どもに見られることがあります。親の価値観や接し方が「自我理想(生の欲望、甘えの構造)」として残っています。
「理想的な自己」と劣等感をもつ自分とのギャップに苦しんでいます。
性的なかかわりにも消極的です。一方で、内面では人とのかかわりを強く求めていたりもします。ただ、親密になると傷つくことを恐れて行動には移しません。
ひきこもりなどの背景に強い対人不安や回避的な特徴がみられる場合があります。ただし、ひきこもりや登校困難そのものを回避性パーソナリティ障害とみなすことはできません。
幼少期からの批判や拒絶、いじめ、過度な期待などの経験は、低い自己評価や拒絶への敏感さ、対人不安の形成に影響します。
人口の約0.5~1%が該当するとされます。※研究によって推定値には幅があります。
依存性パーソナリティ障害(症)
自己決定が苦手で、他者の支えがなければならないという思いにとらわれています。常に相手を優先してしまいます。
嫌でも断ることができず、貢いだり、身をおとしめたり、理不尽な要求にこたえようとしてしまいます。
臨床的な理解の一例として、盲目的、楽観的に依存対象に服従する幼児(赤ん坊)型と、相手の悪意を知りながら抵抗できない服従(献身)型と整理されることがあります。
依存性が強い場合、虐待的・支配的な関係から離れることが難しくなることがあります。
過度に支配的・過保護な養育は、自分で判断し、決定する感覚の形成に影響し、依存的な対人スタイルにつながることがあります。
強迫性パーソナリティ障害(症)
規律や道徳や義務感、責任、良心に過度に忠実で、完璧主義で融通が利かないことが特徴です。
決められた計画を進めることにこだわり、無理をしがちです。プライベートを犠牲にして仕事にのめりこむことがあります。
他人が思い通りに動かないと心配で、うまく仕事を任せることができません。
古いものを捨てられなかったり、お金に対して過度にケチであったりします。
精神力動的には、強い罪悪感や厳格な自己規制という観点から理解されることもあります。
自分にも他人にも厳しく、周囲も息が詰まるようになり、周囲が病気となったり、ケンカ別れとなったりすることがあります。
規範の順守ではなく、過食や依存症として現れるケースも増えてきています。
→パーソナリティ障害の原因と特徴、接し方、治し方については、下記をご覧ください。
▶「パーソナリティ障害とはなにか?その原因と特徴を公認心理師が解説」
▶「パーソナリティ障害(症)の接し方、関わり方~基本原則と10種類別に解説」
▶「パーソナリティ障害(症)の治し方~主な治療方法とセルフケアのポイント」
▶「境界性パーソナリティ障害(症)とは何か?原因と特徴、チェック」
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(参考・出典)
青木省三「精神科治療の進め方」(日本評論社)
青木省三「大人の発達障害を診るということ」(医学書院)
林直樹 編「こころの科学vol.185 パーソナリティ障害の現実」(日本評論社)
林直樹 編「こころの科学vol.154 境界性パーソナリティ障害」(日本評論社)
林直樹「パーソナリティ障害」(新興医学出版社)
市橋秀夫「パーソナリティ障害のことがよくわかる本」(講談社)
磯部潮「人格障害かもしれない」(光文社)
岡田尊司「ササっとわかるパーソナリティ障害」(講談社)
岡田尊司「パーソナリティ障害」(PHP)
岡田尊司「ササっとわかる「境界性パーソナリティ障害」」(講談社)
牛島定信「やさしくわかるパーソナリティ障害」(ナツメ社)
高岡健「人格障害のカルテ 理論編」(批評社)
高岡健「人格障害論の虚像」(雲母書房)
大泉実成「人格障害をめぐる冒険」(草思社)
笠原嘉「精神病」(岩波書店)
ジョエル・パリス「境界性パーソナリティ障害の治療」(金剛出版)
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