悩みの原因や解決方法

パーソナリティ障害の10のタイプと特徴をわかりやすく解説

[悩みの原因や解決方法「パーソナリティ障害」の原因と治し方]


 

 今回は、パーソナリティ障害の、10つに分類されるタイプについて、その特徴や対応、セルフケアのポイントについてまとめてみました。よろしければご覧ください。

 

関連する記事はこちら

→「パーソナリティ障害の正しい理解と克服のための7つのポイント

→「境界性パーソナリティ障害を正しく理解する7つのポイント~原因と治療

→「境界性パーソナリティ障害を克服、対応するための14のポイント

→「パーソナリティ障害についてさらにくわしく知りたい方のために

 

<作成日2019.9.18>

 ※サイト内のコンテンツのコピー、転載、複製を禁止します。

 

 

この記事の執筆者

みき いちたろう 心理カウンセラー

大阪大学卒 大阪大学大学院修了 日本心理学会会員 など

シンクタンクの調査研究ディレクターなどを経て、約20年にわたりカウンセリング、心理臨床にたずさわっています。 プロフィールの詳細はこちら

<記事執筆ポリシー>

 管見の限り専門の書籍や客観的なデータを参考に記述しています。

 可能な限り最新の知見の更新に努めています。

 

もくじ

パーソナリティ障害のタイプとはなにか?

 

・A群(オッド・タイプ)統合失調症に関連した気質
 ・シゾイド(スキゾイド)パーソナリティ障害(統合失調症質パーソナリティ障害)
 ・統合失調型パーソナリティ障害(スキゾタイパル・パーソナリティ障害)
 ・猜疑性/妄想性パーソナリティ障害

 

・B群(ドラマチック・タイプ)気分障害に関連した気質
 ・境界性パーソナリティ障害
 ・自己愛性パーソナリティ障害
 ・演技性パーソナリティ障害
 ・反社会性パーソナリティ障害


・C群(アンクシャス・タイプ)神経症に関連した気質
 ・回避性パーソナリティ障害
 ・依存性パーソナリティ障害
 ・強迫性パーソナリティ障害

 

 

→「パーソナリティ障害の正しい理解と克服のための7つのポイント」にもどる

 

 

 

パーソナリティ障害のタイプとはなにか?

 パーソナリティ障害について、その特徴、症状をもとに便宜的に分類したものです。

 大きく3つの大分類と10の小分類(タイプ)に分かれるとされます。

 

 それぞれのタイプはあくまで要素を分かりやすく区切りにしたもので、一つの人間にいくつかの要素が混ざり合うことが通常です。固定したラベルではなく、”要素”として捉えてください。

 

 10タイプの中でも境界性パーソナリティ障害は特別な位置にあります。各パーソナリティ障害のタイプも対人関係において余裕が失われると境界性状態を引き起こします。つまり、各パーソナリティ障害状態が悪化すると境界性パーソナリティ障害になりえるのです。

 

参考)重なりやすいパーソナリティの例

 ・境界性パーソナリティ障害と演技性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害 
 ・自己愛性パーソナリティ障害と回避性パーソナリティ障害、強迫性パーソナリティ障害

 

 

 

 

●A群(オッド・タイプ)統合失調症に関連した気質。奇妙で風変わりな考え方や行動が特徴。孤立的で打ち解けない 

 

シゾイド(スキゾイド)パーソナリティ障害(統合失調症質パーソナリティ障害)

 世間の価値観から超然としているタイプです。
 世の中の名声やお金に興味がなく、感情の起伏、喜怒哀楽に乏しく、人とのかかわりを避け、一人でいることを好みます。親友などおらず、ごく少数の人と関わります。社会的に喜びを感じる活動が少なく、性的関心も弱く、生涯独身の場合もあります。

 

 回避性パーソナリティ障害が、本音では人との関わりを求めているのに対して、シゾイドの場合は関わりを求めてはいません。


 手先が器用で、芸術を好む人が多く、感受性も豊かで芸術分野で才能を発揮することがあります。
 我慢強く同じような生活を黙々とこなすことができます。平和主義で人のことを悪く言うこともなく、ウソをつかず正直で、穏やで豊かな内面を持っています。超然としている反面、敏感で被害妄想に陥りやすい面もあります。  


 一方、統合失調症の病前性格とも考えられ、社会に出る際や人との関わりが求められストレスが増えると統合失調症に進展する恐れもあります。

 

 気質としてはDISC-1遺伝子の失調(統合失調症や社会的無快感症に関連する遺伝子)や、ネグレクトや愛情に乏しい養育環境が影響するとされます。

 

 人口の約3%が該当するとされます。

 ⇒「統合失調症の症状や原因、治療のために大切なポイント

 

 

 

・このタイプへの対応やセルフケアのポイント

<周囲の対応のポイント>

 当人のスタイルを尊重し、世間の価値観を押し付けず、親密さを求めず、適度な距離をもって接することです。内面に土足で入り込むようなことは禁物です。プライベートな質問も好まれません。そっけない反応をされてもそれが本人のスタイルだと認めて、無理に社交性を求めないことです。そっけいのは、相手を無下にしているからではありません。

 

<セルフケアのポイント> 

 マイペースで淡々と取り組めるような、自分のスタイルを生かせる仕事に就くと大成することがあります。

 

 

・このタイプで知られる有名人

 哲学者のウィトゲンシュタイン、キルケゴール、など

 

 

 

 

 

統合失調型パーソナリティ障害(スキゾタイパル・パーソナリティ障害)

 シゾイド(スキゾイド)パーソナリティ障害と同様の気質を持っています。常識を超越した感性、直観力、関係念慮、奇妙な知覚や体験、風変わりな容姿、奇異な考えと話し方、孤独を好む、などが特徴です。

 

 何か不思議なものに意味を見出したり、幻覚や妄想を見たりすることがあります。そのため、人とは分かり合えないと考えていることが多い。また、自分の内的世界にこもりたいのに、むりに周囲に合わせて社交的にしている場合もあります。無理が続くとストレスがたまり精神障害に陥ることがあります。

 

 一見すると、普通に生活している人も多いですが、問題を起こしてから初めてその奇妙さが明らかになることがあります。内面の葛藤が一般の常識からは理解できず、突然、自傷行為や薬物依存、援助交際など、突飛な行動をとることがあります。

 

 疑い深く、敏感なために被害妄想に陥ることもあります。非社交的で会話がかみ合わないことがあります。感情表現が鈍くなっていたり、場面と合わずにコミュニケーションが不適切なものになっていたりします。

 

 統合失調症の前駆的な段階ともとらえられます。遺伝子的にも親和性があります。アスペルガー障害と一見すると似たところがありますが、アスペルガー障害が客観的な感性を持っているのに対して、失調型の場合は、直感的な感性を持っているところに違いがあります。

 

 人口の約3%が該当するとされます。

 ⇒「統合失調症の症状や原因、治療のために大切なポイント

 


    
・このタイプへの対応やセルフケアのポイント

<周囲の対応のポイント>

 当人のペースを尊重し、ユニークな強みが発揮できるようにすることが大切です。現実とそごが出るような部分は、折り合えるように調整することです。
  
 被害妄想から他人を信頼できないことが多いので、十分に信頼関係を作ることが必要です。無理をしている場合は、何がストレスの原因かを明らかにして、ストレスを除いていくことが大切です。周囲は、当人の世界に踏み込みすぎたり、否定や批判したりしないことです。 

 

<セルフケアのポイント> 

 せっかくの豊かな感性も、現実への対応が苦手なために変人扱いされて実らないことが多い。そのため、日常生活の雑務や実務能力を身に着け周囲との協調を意識して、よき理解者やパートナーを作り、現実とうまく折り合い表現できるようにすることを意識すると芸術や研究などの分野で大成することができます。

 

 

・このタイプで知られる有名人

 ユング、ヘルマン・ヘッセ、夏目漱石、ヴァージニア・ウルフ、など

 

 

 

 

猜疑性/妄想性パーソナリティ障害

 さい疑心、警戒心が強く、親しい人も信じることができない、過度の秘密主義、傷つけられたことを根に持つ、裁判に訴えたり(好訴妄想)、自分の正当性を強く主張する、権謀術数にのめりこむ、などを特徴とします。


 頑固で他人の意見を聞くことができません。他人の批判に過剰に反論したりします。論理的に整理して考えることが苦手です。いったん恨みを持つと、寛容になるといったように自分の気持ちを修整することができません。


 強い執着を持ち、他のパーソナリティ以上にしつようなストーカーとなることがあります。常に緊張状態にあります。そのためうつ病や不安障害に陥ることがあります。妄想に陥っているときは活動的で元気ですが、妄想が現実的ではないとわかるとうつ状態に陥ります。妄想が進展して、妄想型障害や妄想型統合失調症となることがあります。

 

 他のパーソナリティでも、独自のスタイルを理解してもらえずにストレスがたまると、妄想性パーソナリティ障害に陥ることがあります。

 

 遺伝的な背景とともに、あらさがしや批判の多い環境で育ったことで基本的な信頼感が育たなかったことなどが原因とされます。薬物、アルコールなどの影響などによっても生じるとされます。

 

 人口の約0.5~2%が該当するとされます。

 

<境界性パーソナリティ障害状態になった場合の特徴>

 気分の波があり、相手を攻撃したり、うつ状態になると自分を強く責めたりするようになります。

 

 

 

・このタイプへの対応やセルフケアのポイント

<周囲の対応のポイント>

 踏み込むとさい疑心に取りつかれて、逆恨みで無用な攻撃を加えられる恐れもあるため、適切な距離を取り、あっさりとした関係を心掛け、深くかかわらないようにしましょう。関わりが必要な場合は、相手を警戒させないように、自らについては普段以上に誠実に、わかりやすく、オープンにして付き合うことが大切です。
 妄想には迎合する必要はありませんが、否定や批判をしたりせずに、別の見方を提示したり、相手に不安を理解し、緊張を下げるようにすることが大切です。

 

<セルフケアのポイント>  

 相手の状態を読んだり、察したりということには長けているため、人を気遣うことにその力を使ったり、組織の管理職や参謀役として活用したりするなど建設なものへ振り向けることは良いとされます。
 人の気持ちは裏切る―信じるといった2文法ではなく、移ろいやすくて当然でコントロールできないということを知るなど、対人関係を学ぶソーシャルスキルトレーニングなども有効とされます。
 

 

 

・このタイプで知られる有名人

 権力者に多く見られる傾向がある。
 ヒトラー、スターリン、ロベスピエール、ネロ、など

 

 

 

 

●B群(ドラマチック・タイプ)気分障害に関連した気質。魅力的で、ドラマの主人公のように自分本位。感情的で衝動的 

 

境界性パーソナリティ障害

 境界性パーソナリティ障害は、現在のパーソナリティ障害概念の中心に位置するタイプです。「境界性」とは、一般的な悩み(神経症)と精神病との境界にある、ということがもともとの意味です。境界性パーソナリティ障害は強烈な「見捨てられる不安」が特徴です。

 

「自分は価値がなく、捨てられる」という見捨てられ不安が根底にあり、気分や相手への評価が両極端に揺れ動きます。


 例えば医師に対しても、「これまであった中で一番いい先生。名医だ」といったと思ったら、「あの先生は冷たい。最悪」というように極端に揺れ動きます。にこやかに会話していても、帰り間際に、先生がふと次の患者のカルテを見ただけで、自分はないがしろにされたと感じたり、といったことが起きます。


 あいまいな生き方がその特徴で、慢性的な空虚感があります。何かを達成しても、常に「これは本物ではない」という感覚があります。


  
 外からは魅力的であり、周囲も「何とかしてあげたい。放っておけない」と思わされて、巻き込まれてしまいます。

 

 感情が不安定です。自暴自棄になったり、激しく不安になったりするために、リストカット、過量服薬、過食、薬物依存、過呼吸、解離性症状、幻覚、性的逸脱、自殺企図などが見られます。
 自分に気をひきつけるために、周囲の人間関係を壊すようなことを言ったりします。
  

 気分が変動しやすい気質に加えて、幼少期の愛情不足、見捨てられ体験、トラウマなどが原因とされます。
 ここ、2,30年で急増し、ここ数年は顕著なタイプは減少してきているとされます。

 

 人口の約2%が該当するとされます。若い女性に多い症状です。

→「境界性パーソナリティ障害を正しく理解する7つのポイント~原因と治療

→「境界性パーソナリティ障害を克服、対応するための14のポイント

 

 

・このタイプへの対応やセルフケアのポイント

<周囲の対応のポイント>

 当人の期待にこたえようとすると無制限に要求はエスカレートして、結局破綻してしまいます。ニュートラルで、落ち着いていつも冷静に安定して対応すること、一貫性がとても大切です。境界性パーソナリティ障害はあいまいな生き方が特徴ですから、一貫しているものは安心感を与えます。


 相手が要求してきても、できないことはできないと落ち着いて伝えられれば、相手は傷つけられたとは感じません。自分には価値がない、と思っていることが多いですから、良い点を見つけて伝えてあげることも大切です。

 

<セルフケアのポイント>  

 当人は自分の状態を親や他人のせいにしていても恨みが募るばかりで、解決に向かうことはありません。相手は変わることは難しいですし、自分を育て直してもらうということもできるものではありません。他人にすべてを受け止めてもらうというようなことは難しいものです。自分で自分を引き受けるようにすることが大切です。パートナーと出会うことでよくなることもあります。ただ、パーソナーに多くを期待しすぎると関係が破たんする恐れがありますから注意が必要です。

 


・このタイプで知られる有名人

  マリリン・モンロー、太宰治、など

 

 

 

 

自己愛性パーソナリティ障害

 自己愛性パーソナリティ障害は、境界性パーソナリティ障害と並びパーソナリティ障害概念の中心に位置するものです。 

 

 過剰な自信、万能感、誇大な願望を特徴とする「自己誇大感」、尊大な態度、自分には特別な配慮があって当然という気持ち、他人への関心が薄く、共感、同情、思いやりの欠如を特徴とする症状です。世界は自分のために存在している、というような感覚があります。
 結果がすべてで、刹那的、努力を軽んじて、平凡よりも特別を求めます。

 

 自分を特別と考え、他人を利用することや犠牲にすることにも平気で行います。自信家に見えますが、内面では劣等感や卑屈な体験が潜んでいて、自分を愛せず、誇大な自信でバランスしている状態です。他者の評価が気になり、批判を寄せ付けません。失敗すると過度に落ち込むこともあります。失敗を直視できず、周囲との摩擦を軽視して調整することとができません。 挫折によって、抑うつや反社会的行動をとる場合もあります。


 期待する称賛が得られないと、屈辱を味わったと感じて、等身大の自分を見つめることができずに、自己防衛として強い怒りをぶつけるようになります(自己愛的怒り)。

 

 自分に自信がないため、自尊心を膨らませ続けなければ自分を保つことができないと考えています。褒められなければ愛されないと考えています。 


 恥の感覚にゆがみがある「恥の精神病理」が特徴で、自分がバカにされてきた体験を過去に持っていたりするために、それらをかき消すように尊大になり、あるいは、バカにされているのでは、という意識をもっています。

 

 幼いころに溺愛されたり、劣等感を感じる体験をしたために、自己愛が適切に発達せずに、「誇大自己」の段階にとどまっている状態と考えられます。ありのままの自分を愛することができないために、誇大化する自己を誇っているといえます。

 

 尊大で自己を前面に押し出すタイプもいれば、一見すると控えめですが、内面ではプライドが高く、傷つきやすいタイプもいます。
 両者とも劣等感と誇大な自己イメージとがあります。後者は回避性パーソナリティ障害の特徴とも重なります。

 

 会社の社長やスポーツ選手、芸能人など社会的に成功している人も多いとされます。成功に伴って自己愛を適度なサイズに落ち着けていくことをしていかないと、慢心しすぎて大きな転落につながる危険もあります。

 

 

<境界性パーソナリティ障害状態になった場合の特徴>

 根底に劣等感があるため、劣等感が強いタイプに境界性パーソナリティ障害状態が見られます。見かけの強さと反対に、不安定で激しい感情に周囲も振り回されます。

 

 

・このタイプへの対応やセルフケアのポイント

<周囲の対応のポイント>

 過大な自信や態度を修正しようとはせずに、まずはその人の自己像を映し返すことが大切です。直面化を急がせすぎてはいけません。欠点やミスなどを指摘することは逆効果です。

 

 自己愛を尊重し、当人と信頼関係を得られれば、適切なサイズに自己像を徐々に修正していくこともできます。等身大の自分で大丈夫ですと、というメッセージを伝えながら、誇大な自己と非力な自分のギャップに少しずつ気づかせて、現実的なサイズに着地させていくことが必要です。


 当人からの過度な要求は、自己愛を尊重しながら丁重にお断りすることが大切です。 

 

 自己愛性パーソナリティ障害の方は他人に称賛されたりといった経験はありますが、本当に共感したり、されたりした経験は少なく、実際は孤独です。そのため、治療者もできる限り共感をすることが、当人が共感能力を発達させることにつながります。  

 

<セルフケアのポイント> 

 仕事など社会生活を通じて、チームでの協調性や、社会への貢献などを意識してうまく自己愛を昇華させていくことは、とても良い解決方法です。また、歳とともに丸くなる「晩熟現象」によって改善が進むこともしばしばあります。


 若いころは傍若無人だったスポーツ選手が、ベテランになるにつれチームへの貢献を口にするようになる、といったことはその典型と言えます。

 


・このタイプで知られる有名人

 ココ・シャネル、ダリ、ロダン、ワグナー、サルトル、など
 会社の社長、芸能人などに非常に多く見られるとされます。

 

 

 

 

演技性パーソナリティ障害

 派手なパフォーマンスや外見で人の興味を引き付けようとします。場合によっては中身のない話やウソをついたりということもいといません。


 対人関係を過度に親密なものと考えます。相手に合わせよう、流行に乗ろうという気持ちが強く自分の感覚が希薄です。そのため、暗示にかかりやすい傾向があります。


 根底には外見の魅力がなければ自分は価値がないという不安があります。頭痛やめまい、腹痛、けいれん、過呼吸など身体化症状が出ることがあります。現代の日本では、あまり目立たなくなってきたタイプです。

 

 厳格な家庭で育ったケースが多く、外見を重視する価値観や親の性的側面、性的虐待の影響を受けて育った場合に生じます。性的虐待を受けているケースも多く含まれます。
  

 

・このタイプへの対応やセルフケアのポイント

<周囲の対応のポイント>

 相手の派手な態度を批判したり、修正しようとすることは逆効果となります。安定した関わりを持ちながら、内面を評価してあげて、少しずつ内面も磨かれるようにしてあげることがポイントです。


<セルフケアのポイント> 
 当人も、外見だけではなく内面も磨くように意識すると安定していきます。日記をつける、読書をするなど自分だけで内省する時間を持つことは有効です。

 

 

・このタイプで知られる有名人

 チャップリン、など

 

 

 

 

反社会性パーソナリティ障害

 ルールを無視したり、危険を冒すことを好む傾向があります。人の痛みに鈍感です。倫理観、責任感がなく、無鉄砲で、命知らずです。戦いの中では、豪胆で勇敢で活躍しますが、平和な世の中ではアウトローとみなされます。


 言葉がうまい虚言タイプ、暴力的に支配する暴力タイプに分かれます。発症の由来では、やんちゃな傾向がある少年時代に厄介者扱いされたり不遇な経験を経て親や社会を恨むようになったタイプや青年期以降に反社会性の傾向が現れるタイプとがあります。


 行為障害(非行や犯罪)、反抗挑戦性障害(反抗的な態度をとる)、アルコールや薬物依存症に陥ることもあります。
 明らかに反社会的なタイプは近年減ってきている傾向にあります。


 
 もともとの気質として新奇なものへの好奇心やリスクを恐れない性格もありますが、幼少時の養育環境などで否定的な扱いを受け、反抗的な態度が強まったために生じます。一般の人と比べると恐怖を感じる偏桃体の働きが低下しているとされます。

 

<境界性パーソナリティ障害状態になった場合の特徴>

 非常に衝動的だったり、自己破壊的な行動を起こします。

 

 

・このタイプへの対応やセルフケアのポイント

<周囲の対応のポイント>

 相手が魅力的で言葉たくみなケースが多いのですが、基本的にはあまり関わらないほうが無難です。反社会的な人と心を通じ合うことにたけた人が関わるといったことが必要です。


 関わらざるを得ない環境でも、できるかぎりニュートラルで、相手に合わせすぎない。無理な要求ははっきりと断るようにしましょう。距離を置いて温かく見守ることが大切です。
 否定的な対応に敏感なために、そうした態度はとらないようにしましょう。

 

<セルフケアのポイント> 

 当人が克服するうえでのポイントとしては、良きパートナーや先輩に巡り合うことは重要です。
 結婚したり、子どもができるなど愛する人ができたりすると丸くなったり、同じような境遇を経て丸くなった人やパートナーに受容されることで徐々に克服されていくことがあります。歳とともに丸くなる傾向もあります(晩熟現象)。


 また、リスクを恐れない性格を生かせるような職業。自衛官、とび職、格闘家、スポーツ選手などに就き、仕事の中で徐々に成熟していくことも良い方法です。
 宗教の世界観に出会い、反社会的な感情を昇華していくというケースもあります。

 

 

・このタイプで知られる有名人

 犯罪者、暴力団関係者、政治家や経営者にもそうした性質があるといわれています。

 

 

 

 

 

●C群(アンクシャス・タイプ)神経症に関連した気質。一見すると、パーソナリティ障害には見えない。常識的に見える。不安や緊張が強く、内向的 

 

回避性パーソナリティ障害

 責任やプレッシャーがかかる状況を避けようとします。自己評価が低く、自信がなく、失敗を恐れて、人から嫌われるからと人との関わりを持とうとしません。


 他人の評価にも敏感です。親の期待にこたえようとしてはたせなかったという思いが強く影響しています。
 優秀すぎたり、有名な親の子どもに見られることがあります。親の価値観や接し方が「自我理想(生の欲望、甘えの構造)」として残っています。


 「理想的な自己」と劣等感をもつ自分とのギャップに苦しんでいます。
 性的なかかわりにも消極的です。ただ、内面では人とのかかわりを強く求めていたりもします。ただ、親密になると傷つくことを恐れて行動には移しません。


 かつての森田神経質(几帳面で律儀ですが、完璧主義で理想が高く、自信がなく劣等感を持つ傾向)と同様のタイプです。日本人に比較的多いタイプです。


 ひきこもり、登校拒否などの一部は、回避性パーソナリティ障害が含まれると考えられます。
 スチューデントアパシーといった燃え尽きのような症状も回避性パーソナリティ障害の一部と考えられます。

 

 不安な気質を土台として、褒められずに自信を奪うような養育環境で育った場合、親の望むことを押し付けられて育ったり、いじめや受験勉強など逃げ場のない苦しい体験をしたりした場合に生じます。親の支配に押しつぶされた結果と考えられます。親が社会的に成功していて過度な期待をかけられているケースも多く、著名人や経営者の2世などにそうしたタイプが見られることがあります。

 

 人口の約0.5~1%が該当するとされます。

 

<境界性パーソナリティ障害状態になった場合の特徴>

 社会への適応がうまくいかなくなり、ひきこもり状態になったことがきっかけで生じることがあります。

 

 

・このタイプへの対応やセルフケアのポイント

<周囲の対応のポイント>

 プレッシャーがない中で、小さな成功体験を積み重ねていくことが大切です。他人に依存する傾向もあるため、サポートはあくまで示唆にとどめ、先回りしないことが大切です。主体性を尊重し、自分の力で成功体験を重ねていくことが必要です。プレッシャーをかけるのではなく、褒めて伸ばしていくことが重要です。義務や責任を説くことは逆効果です。


 回避の症状がまだ小さい場合は、ストレス源から離れて休んで気力を回復させることです。

 

<セルフケアのポイント> 
 
 不安が先に立つため、まずは小さく実行していくことを習慣化することです。徐々に、あるがままの等身大の自分に自信がついてくるようになります。

 

・このタイプで知られる有名人

 森鴎外、など

 

 

 

依存性パーソナリティ障害

 自己決定が苦手で、他者の支えがなければならないという思いにとらわれています。常に相手を優先してしまいます。


 嫌でも断ることができず、貢いだり、身をおとしめたり、理不尽な要求にこたえようとしてしまいます。
 盲目的、楽観的に依存対象に服従する幼児(赤ん坊)型と、相手の悪意を知りながら抵抗できない服従(献身)型に分かれます。


 反社会性パーソナリティ障害や自己愛性パーソナリティ障害のある人からDVや支配を受けたり、指示されて反社会的行為を行うこともあります。 

 

 親が支配的であったり、不安定であったりした環境で育った人に良く見られます。
 親の支配に依存することで養育環境に適応してきて結果と考えられます。

 

<境界性パーソナリティ障害状態になった場合の特徴>

 このタイプの方が境界性パーソナリティ障害状態になると、不安定で衝動的になります。信頼して依存していた人を一転して、否定したり、拒絶したりということが起きます。

 

 

・このタイプへの対応やセルフケアのポイント

<周囲の対応のポイント>

 相手を尊重してあげて、小さな決断から少しずつ行えるように促してあげることがポイントです。
 当人の代理人になったり、代わりに意思決定をするようなことは行うべきではありません。

 

<セルフケアのポイント> 

 自ら判断すること、本音を言うことを意識することです。その際は、善悪や失敗などはなく、自分がしたいかしたくないかで判断して良いと知り、ささいなことから自己決定を行うことが大切です。
 他人に献身できるような仕事に就くと本人の気質を生かしながら、社会に適応していくことができます。

 

 

・このタイプで知られる有名人

 ユトリロ、など

 

 

 

 

強迫性パーソナリティ障害

 規律や道徳や義務感、責任、良心に過度に忠実で、完璧主義で融通が利かないことが特徴です。
 決められた計画を進めることにこだわり、無理をしがちです。プライベートを犠牲にして仕事にのめりこむことがあります。


 他人が思い通りに動かないと心配で、うまく仕事を任せることができません。
 古いものを捨てられなかったり、お金に対して過度にケチであったりします。


 
 強固な罪悪感がベースにあり、感情や行動を規制してしまいます。感情表現も抑制的です。
 自分にも他人にも厳しく、周囲も息が詰まるようになり、周囲が病気となったり、ケンカ別れとなったりすることがあります。

 

 固執性の強い気質や、親が支配的でしつけに厳しい養育環境などによって生じると考えられます。
 親の支配に忠実だった結果と考えられます。

 

 規範の順守ではなく、過食や依存症として現れるケースも増えてきています。

 

<境界性パーソナリティ障害状態になった場合の特徴>
 親の支配に従って優等生であるため、このタイプの方が境界性パーソナリティ状態になると、一転して、人格が変わったように見えることがあります。

 

 

・このタイプへの対応やセルフケアのポイント

<周囲の対応のポイント>

 当人の価値観を尊重して、礼儀正しく接することです。 
 価値観が対立することがありますから、互いの領分を分けることがポイントです。 


<セルフケアのポイント>  
 善悪や価値観は人それぞれ多様であることや、過ぎたるは猶及ばざるが如しということを知り、ほどほどで満足することが、結局はより良い結果につながることを経験していくことが大切です。
 仕事においては、正確さが求められる仕事において力を発揮します。

 

 

・このタイプで知られる有名人

  ヘルマン・ヘッセ、など

 

 

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(参考)

青木省三「精神科治療の進め方」(日本評論社)
青木省三「大人の発達障害を診るということ」(医学書院)
林直樹 編「こころの科学vol.185 パーソナリティ障害の現実」(日本評論社)
林直樹 編「こころの科学vol.154 境界性パーソナリティ障害」(日本評論社)
林直樹「パーソナリティ障害」(新興医学出版社)
市橋秀夫「パーソナリティ障害のことがよくわかる本」(講談社)
磯部潮「人格障害かもしれない」(光文社)
岡田尊司「ササっとわかるパーソナリティ障害」(講談社)
岡田尊司「パーソナリティ障害」(PHP)
岡田尊司「ササっとわかる「境界性パーソナリティ障害」」(講談社)
牛島定信「やさしくわかるパーソナリティ障害」(ナツメ社)
高岡健「人格障害のカルテ 理論編」(批評社)
高岡健「人格障害論の虚像」(雲母書房)
大泉実成「人格障害をめぐる冒険」(草思社)
笠原嘉「精神病」(岩波書店)

ジョエル・パリス「境界性パーソナリティ障害の治療」(金剛出版)

神田橋條治「神田橋條治 医学部講義」(創元社)

など

 

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