悩みの原因や解決方法

統合失調症の症状や原因、治療のために大切なポイント

[「統合失調症」の原因と治し方悩みの原因や解決方法]


 

 100人に1人が罹るとされる病「統合失調症」。特殊な病ではなく、本当は誰でも罹る可能性のある身近な存在ですが、普段、生活する中で私たちがその病に関わることは稀です。
 その実態は、単に“病気”ということでは収まらない、私たちの大切な側面を知らせてくれる存在でもあります。今回は、統合失調症についてまとめてみました。

 

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統合失調症

 

はじめに~統合失調症を理解する上で大切なこと


・時代とともに変わる病像~軽症化、そして社会に棲みながら治る病気、付き合う病気へ

 統合失調症(Schizophrenia)の姿は時代とともに変化しています。
 大昔は、痴呆のように正常な認知機能を失い人格が崩壊していく病気として。数十年前までは身体が蝋のように固まったり、興奮したりする緊張病が典型で、いずれも鉄格子の奥に入院させられている姿であったものでした。
 しかし、近年は軽症化が指摘され、かつてのような激しい病像はまれになりました。認知機能の低下が主症状となっています。

 そのため、統合失調症の昔ながらのタイプ分けも実際的ではなくなりつつあります。
 有病率の低下から「統合失調症消滅仮説」なるものも登場するような時代です。
 (遺伝的要素も背景にあることから実際にはありえませんが)

 治療のあり方も、入院しての治療から外来での治療が中心となってきています。
 社会に棲みながら治る病気、あるいはつき合える病気へと変貌しています。

 油断はもちろん禁物であることは言うまでもありませんが、ただ、病像の変化を知らずに、書籍やインターネットのサイトにあるかつての教科書通りのイメージのままに捉えていると、早期発見の遅れ、家族や本人が勝手に諦めてしまったり、時代遅れのイメージによる不適切なサポート、差別に繋がってしまいます。
 基本的には比較的新しい情報を参考にして、変化しつつある姿を知ることがとても大切です。

 

 

 

統合失調症とは何か?

・その歴史

 古代にも統合失調症とみられる特徴を持つ人達の記述があることから、おそらく人類の歴史とともに統合失調症は存在していたと考えられています。かつては、預言者や神との仲介をするといった役割を与えられ、神聖な存在として社会の中で尊敬される立場にもありました。
 しかし、近代に入ると、秩序を乱し、職に就かない異常者としてみなされるようになり監禁されるようになりました。病気としてとらえられるようになったのは近代に入ってからのことで、病気としての歴史は長いものではありません。
 一方で、治療に取り組む善意の医師たちもいました。当初は、認知能力の低下などから「早発性痴呆」と呼ばれたり、「破瓜病」「緊張病」と呼ばれたりしていました。
 現代のような捉え方で整理されたのはブロイラーによって「スキゾフレニー」と命名されたことによってからです。日本では「精神分裂病」と訳されていましたが、適切ではないとして、2002年以降は「統合失調症」と呼ばれています。

 


・有病率

 人口の約1%が罹る病気であり、私たちにとって実は身近な病です。
 男女間で有病率に差はないとされます。地域によって0.4~1%と差があります。
 貧困は、環境の悪さなどストレスを高めるためか、貧困層での有病率が高いとされます。一方、後進国では、裕福な層に多い、ともいわれます。貧しい層のほうが人とのつながりがあり、ストレスが少ないことが原因と考えられます。移民に多くみられるなど、環境変化や居場所のなさが発症に影響するのではないかとも言われています。
 また、好景気になって仕事につきやすくなると有病率が減ると言われており、雇用は統合失調症の発症や治癒に関連が強いようです。

 


・発症時期

 かつては、「早発性痴呆」と呼ばれていたように比較的若年で発症します。
 好発年齢は思春期から30歳までで、統合失調症の人の70~80%を占めます。
 平均すると、男性は15~25歳、女性は、25~35歳が発症のピークとされます。
 女性では、40~45歳に2度目の発症の小さなピークがあり、この時期の発病は男性の2倍となっています。
 発症が遅いほど回復しやすいとされています。

 


・高い自殺率

 統合失調症患者の50%の人が自殺を企図し、10~15%が20年以内に自殺します。一般の人の5~8倍に及びます。特に男性、若い人や、高学歴者ほど高い傾向があります。
 発症後10年以内、最初の入院からの退院後半年以内はリスクが高いとされます。
 
 急性期では幻聴の指示などによって、急性期以降では再発の繰り返し、病識がある、抑うつ状態、社会的孤立、薬の効果が十分ではない、服薬を中止している、といったことがリスクとなります。

 

(参考)統合失調症の有名人

 エドヴァルト・ムンク、草間彌生、
 ノーベル賞を取った数学者のジョン・ナッシュ
 お笑い芸人ハウス加賀谷
 など

 

 

 

統合失調症の症状

<予兆>

 統合失調症の患者を調べると、12歳の時点で7~8割の人に注意障害が見られます。12歳の時点での注意障害はリスクサインと考えられています。
 注意障害とは、特定の物事に注意を向けたり、注意を維持したりする機能のことです。統合失調症における注意の障害とは感度が低下するというよりは、注意を選択するフィルタが弱く、情報が過多になりすぎて本来注意すべきものに注意を向けられなくなることが原因とされています。
   
 また、思春期に不思議な感覚に襲われたり、幻覚を見たがすぐにおさまった、といったことがある人は、年齢を重ねてから本格的に発症する、といったこともありえます。

 

<初期症状(前駆期、潜在期)>

 初期症状としては下記のようなことが見られます。

 

自生体験

 考えが勝手に考え、浮かんできたりする。ぼんやりして集中できなくなる症状です。
 勝手に考えが浮かぶ「自生思考」、過去の記憶が浮かぶ「自生記憶想起」、頭の中で音楽がかかる「自生音楽表象」、空想が浮かぶ「自生空想想起」などがあります。

 

気づき亢進

 感覚が敏感になる。特に聴覚が敏感になり、普段気にならないことにも反応してしまいます。

 

まなざし体験

 誰かに見られているように感じる「注察念慮」、実態を持った存在を感じる「実体的意識性」などがあります。

 

緊張困惑気分・対多緊張

 精神が張り詰め、切羽詰まったような気分が続く。すべてのものが迫ってきたり襲ってきたりする感覚。

 

即時的認知の障害

 その場の理解判断記憶の能力が低下する症状です。話が聞き取れなくなったり、些細なミスが増えたりします。

 

その他

 うつ、不眠(目が冴えて眠れない)、神経過敏(頭が働き過ぎる)、気分の落ち込み、無気力、食欲不振、頭痛、奇妙な感覚、人間不信、傷つきやすさ、対人関係の回避(ひきこもり)、人間関係の変化、成績低下、表情や雰囲気や身だしなみの変化、食事や睡眠パターンの変化、非現実的な考え計画 などがみられます。

 

統合失調症の症状

 


<症状>

 近年の統合失調症は、認知機能障害が主症状となってきています。強烈な陽性症状は少なくなりつつあります。
 

認知機能障害

 統合失調症によって生じる症状として認知機能が低下が見られます。注意力、作業記憶、言語的能力、視覚・空間的能力、統合能力、抽象的な思考、問題解決能力、実行機能、運動機能、社会的認知、心の理論などが低下します。
 どの機能がどの程度低下するかは人によって異なります。全く低下が見られない人もいれば、大きく損なわれている人がいます。
 認知症の場合は、脳の機能が低下するためですが、統合失調症の場合は情報のフィルタが働かずに、情報を適切に選択できないことや、外部の刺激への過敏性がその原因とされます。薬の影響で一時的に低下することもあります。背景に発達障害が潜んでいる場合も多いです。


 認知症のように時間とともに進行するわけではありません。記憶力やIQは保たれており、内面では外界をよく理解しています。結果として「ひきこもり」になることがあります。

⇒「ひきこもり、不登校の本当の原因と脱出のために重要なポイント
      
 認知機能障害はリハビリによって改善することもできます。本人のペースを尊重してリハビリを行う必要があります。

 

 

陽性症状

 健康な状態では存在しない症状が現れることです。
 幻聴、独り言、妄想、興奮、猜疑心、敵意、自我障害、解体症状、緊張病性症状、などがあります。

 

・自我障害

 「自己と他人との境界の崩壊」は統合失調症の基本障害とされるものです。自分と他人との境界が崩れ、自分の思考が人に筒抜けになっていると感じるものです。自分の秘密が筒抜けになっていると感じられる「自我漏洩症状」、自分の考えが人に伝わっていると感じる「思考伝搬(さとられ体験)」、他人の考えが入ってくると感じる「思考吹入」、他者や外界が自分の中に入ってくるように感じる「侵入症状」、何者かに操られていると感じる「被影響体験(操られ体験)」、などがあります。

 

・妄想気分

 統合失調症になると、世界が様変わりしたような、何か良くない、大変なことが起きるような感覚に襲われるようになります。統合失調症の妄想とは、「とても大きな不安」が伴うことと「絶対の確信」を持つことが特徴です。妄想には大きく分けて誇大な内容のものと、被害を受けているとする内容のものとがあります。
 妄想は体系だっているものを「妄想体系」と呼び、体系だっていればいるほど抜け出すことが難しくなります。

 代表的な妄想としては以下のものがあります。
  世界が終わってしまうといった感覚に襲われる「世界没落体験」
  誰かに尾行されているとする「追跡妄想」
  偶然にも意味があるように感じられる「妄想知覚」
  突飛な考えを思いつく「妄想着想」
  出来事が自分に関係があると考える「関係妄想」
  自分が被害を受けていると考える「被害妄想」
  人から見られていると感じる「注察妄想」
  毒を入れられていると感じる「被毒妄想」
  パートナーが浮気しているという「嫉妬妄想」
  自分の家族は本当の家族ではないとする「家族否認妄想」
  電磁波などで攻撃されているとする「物理的被影響妄想」
  自分は何者かに監視されていると考える「監視妄想」
  自分が大きなことが出来る、重要な人物であると考える「誇大妄想」
  有名人と恋愛関係にあるとする「恋愛妄想」
  自分は高貴な出自であるとする「血統妄想」
  自分は神だと思う「宗教妄想」
  自分は偉大な発明をしたと信じる「発明妄想」
  神や霊が憑いているとする「憑依妄想」
  財産を失ってしまったとする「貧困妄想」
  自分は大きな病気だとする「心気妄想」
  取り返しのつかないことをしたとする「加害妄想」
  自分には内臓がないなどとする「虚無妄想」


            

・幻覚

 統合失調症で特徴的なのが、幻聴です。
 聞こえてくるのは「人の声」です。直接頭に侵入してくる感じで、言葉一つ一つがはっきりしないのに、意味は一挙に理解できます。
 何かしらの超越性を帯びています。とても大きな不安を伴います。

幻聴

 様々な症状がありますが、多いのが、批判や悪口が聞こえてくるというものです。まれに褒めるようなケースもあります。「~~しろ」と命令をするのもしばしばあります。自殺を指示してくることもあります。

 多数の人の話し声が聞こえる「対話性幻聴」
 実況中継をするように自分の行動を解説する「注釈幻声」
 自分の考えが声となって聞こえる「考想化声」などがあります。

 単に声が聞こえるというよりも、神の啓示のような迫真性があり、その影響から逃れるのはわかっていても難しい物があります。幻聴に伴い、独り言や、空笑が見られます。

 

 幻聴とも関連しますが、自分の意志に反して命令されたり、操られたりしていると感じられるものを「作為体験(させられ体験)」といいます。
         
 頻度は少ないですが「幻視」「幻嗅」、身体に痛みや侵入されている感じを感じる「体感幻覚」なども見られることがあります。

 幻覚は解離性障害、PTSD、うつ病、認知症など他の精神障害でも生じます。幻覚が見えるとすなわち統合失調症ということではありません。幻視は解離性障害などで多く見られる傾向があります。中井久夫は、PTSDの場合とは違い、統合失調症の幻覚は夢には出ないとしています。
 とても強い不安を伴って幻覚を見るのに、意識が飛ばない(解離しない)ことが統合失調症特徴です。
 解離性障害などでは自ら幻聴を呼び出せますが、統合失調症では呼び出せないとされます。

 幻聴が1ヶ月以上続いている場合、とくに対話性幻聴や注釈幻声が見られる場合、統合失調症診断の大きな手がかりとなります。

⇒「解離性障害とは何か?本当の原因と治療のために大切な8つのこと

⇒「トラウマ、PTSDとは何か?あなたの悩みの根本原因

 

 

・解体症状(連合弛緩)

 言葉や思考にまとまりがなくなる症状です。まとまりがないだけではなく、内容の奇妙さや、自分だけの造語(言語新作)を伴い、聞いている方は、わけが分からず、実感を伴って話を受け止めることができません。

 

 

・緊張病性症状

 ドーパミンの神経回路の過活動によって激しい暴発的な興奮や衝動が見られる「精神運動興奮」、全く無反応で応答がない「昏迷」、軽度なものでは「緘黙」「拒絶症」があります。
 かつては、「カタレプシー(強硬症)」や「蝋屈症」と呼ばれるような、蝋人形のように同じ姿勢で固まったしまう症状が見られました。
 固まっていても、周囲の言葉などは知覚して覚えていたりします。現在は稀な症状です。
 昏迷と精神運動興奮は突然入れ替わります。昏迷はドーパミンの過剰分泌に対してブレーカーがダウンするような状態と考えられます。ブレーカーが戻ると、また興奮して、まだ落ちて、ということが繰り返されます。
             
 緊張病性症状は、双極性障害や、うつ病でも見られることがあります。

 

(参考)二重の見当識、二重帳簿

 統合失調症の患者さんは、どんなに激しい妄想などの状態にあっても、実は正気を失っていないことが知られています。誇大な妄想を語りながら、日常生活は現実の身の丈に沿って淡々と続けたり、正気を失っているようでいて周囲を冷静に気遣っていたり、緊張病性症状になっても起きていることを正確に知覚していたり、突然、正常に戻ったりといったことが見られます。

 

陰性症状

 健康な状態では存在する機能が低下したり、失われてしまうもので、うつ状態、気力低下、意欲、関心、活動性の低下、自閉傾向などがあります。
 陰性症状とは、陽性症状によるダメージの後遺症ともいえるものです。
 すっきりと無くなる場合もあれば、慢性化することもあります。周囲は病気とは気づかずに怠けを勘違いして、本人に心無い言葉をかけて疎外感や自信喪失を促進することがしばしば起こります。また、気力低下から希死念慮を抱くこともありますから、注意が必要です。

 


病識の欠如

 統合失調症の特徴として、病識の欠如があります。妄想を確信しています。しかしながら、確信にもゆらぎがあり、「もしかしたら・・」という疑念がわく瞬間が訪れます。
 そのため、相手の気持に寄り添いながら、粘り強く関わることが大事です。
 自分が理解されていない、居場所がないと感じると、より頑なになる、ということが生じます。
 さらに、自分に何かが起こっていると感じる「病感」は殆どの人が感じています。

 

 

 

統合失調症のタイプ

 統合失調症は、大きく分けて5つのタイプに分けられます。
 治療や研究の発展、軽症化などの流れもあり、病像は変化しています。
 このタイプ分けは実際的ではなくなりつつありますが、統合失調症を理解をする上では役に立ちます。


解体型(破瓜型)

 「破瓜」とは思春期の別名で思春期に始まることからそのように呼ばれます。名前の通り、年をとってもいつまでも幼い雰囲気が残ることもその名前の理由となっています。
 陰性症状から始まるために、気づかれにくく、早期に発症しますが徐々に進行して慢性化していきやすく、他のタイプよりも予後が悪いとされます。

 「解体型」との名の通り、解体症状が特徴です。感情と思考がまとまらなくなります。繊細すぎる感覚を抑えるために感情が平板化するように見えます。

 妄想型と違い、一貫性のない、まとまりのない妄想、幻聴が慢性的に生じます。独り言、空笑いをしながら一日中ぼんやり過ごしているような姿がよく見られます。

 

緊張型(カタトニー)

 緊張型の名前のとおり、緊張病性症状が特徴です。かつては多く見られましたが、近年、特に先進国ではあまり見られません。日本でも非常に稀になりました。核家族化、一人暮らしなど、プライバシーが守られやすい環境によって、緊張病性症状のような爆発が起きにくくなったことが背景にあるのではないかと考えられています。症状は激しいものですが、他のタイプよりも比較的回復は早いとされます。


妄想型

 30歳以上で発症することが多く、その名の通り妄想や幻覚がみられ、認知機能の障害も少なく、生活能力やIQも高いことが特徴です。妄想がないときは、健康な人と同じように見えます。妄想が現れると表情が固くなったり、目つきがおかしくなったり、不眠になったり、人を避けたり、場合によっては暴れるなど妄想に対応する結果様々な症状が生じます。
 緊張病症状や解体症状が見られないことが原則ですが、一時的にそうした症状が見られることもあります。
 統合失調症の中では改善が最も速いタイプです。

 

残遺型

 寛解せずに陰性症状や軽度の陽性症状が残ったものをいいます。

 

未分化型・鑑別不能型

 どのケースにも分類できないものです。

 

 

統合失調症の症状2

 

 

統合失調症の診断

 1.以下のうち2つの症状が少なくとも1ヶ月以上続いている場合に疑われます。

  2つの症状が現れている時期がずれていてもよいですし、すでに治療が進んで症状が収まった場合は1ヶ月に満たなくてもかまいません。
 対話制幻聴やコメント型幻聴、奇妙な妄想など、統合失調症に特徴的な症状はそれだけで統合失調症と診断できます。
 診断では、日常の様子を知るために家族からもヒアリングを行うことも大事です。最近は、遺伝子検査や視線の動きで診断しようとする試みもあります。

  1.幻覚
  2.妄想
  3.まとまりのない会話
  4.緊張病性症状
  5.陰性症状(うつ状態、気力低下、意欲、関心、活動性の低下、自閉傾向など)

 

 2.社会生活における機能低下が見られること。

  機能低下とは、仕事や学業での成績の低下や自己管理ができない、ひきこもりなどです。

 

 3.症状が6ヶ月以上続いていること
   
  1ヶ月以内で収まった場合は、「短期精神病性障害」
  1ヶ月以上~6ヶ月未満の状態は「統合失調症様障害」と暫定的に診断されます。
  6ヶ月以上症状が続く場合に「統合失調症」と確定診断されます。

  ※短期精神病性障害は途上国に多く、先進国ではまれです。

 (除外条件)
  ・気分障害や失調感情障害、薬物による症状や身体疾患がないことが条件です。
  ・そうやうつの時だけ症状が見られる場合は、気分障害が想定されます。
  ・妄想や幻覚は、統合失調症ではなくても生じるため、妄想幻覚=統合失調症とは限りません。

 

 (参考)統合失調症は匂いで分かる?プレコックス感

 ベテランの精神科医やカウンセラーは、統合失調症かどうかは、独特の雰囲気(匂い)で直感的にわかるといわれます。そのことをプレコックス感といいます。科学的に明確に証明されているものではありませんが、統合失調症独特の“奇妙さ”というのは、診断の参考にされています。

 

 

 

統合失調症と類似する障害

・うつ病

 抑うつ、活動の低下、不眠、妄想などが見られます。
 解体した言動は見られません。幻聴や奇異な妄想は少ないです。

 ⇒「うつ病の真実~原因、症状を正しく理解するための10のこと

 

・双極性障害

 興奮したり、幻覚や妄想、緊張病性症状が見られることがあります。
 ただ、病相があるときにだけ現れ、病相がなくなると消失することが特徴です。
 ⇒「双極性障害(躁うつ病)の治療と理解のために大切な4つのポイント

 

・失調感情障害、非定型精神病

 統合失調症と気分障害の症状が同時に現れるものです。 

 

・短期精神病性障害

 幻覚、妄想、解体症状が現れます。急激に症状が始まり、短期間で収まります。

 ※失調感情障害と非定型精神病、短期精神病性障害、統合失調症様障害などは、症状が進むにつれて、診断結果が変わっていきます。  

 

・妄想性障害

 認知機能の障害などはなく、妄想だけが見られるもの。

 

・発達障害

 他者の気持ちや意図を理解することが難しく、対人関係に問題を抱えたりします。ストレスに反応して、一時的に妄想幻覚など統合失調症に似た症状が生じる場合があります。最近は発達障害の影響が見直されてきており、統合失調症と診断される患者の多くは実は発達障害なのではないか、と指摘されています。発達障害との鑑別は想像以上に難しいとされます。

 ⇒「大人の発達障害の本当の原因と特徴~様々な悩みの背景となるもの

 

・知的障害

 知的能力の障害が見られます。発症前から一貫して知的に障害がある場合は統合失調症によるものではありません。

 

・パーソナリティ障害

 境界性パーソナリティ障害など、妄想幻覚や錯乱など類似の症状が見られることがあります。最近は、パーソナリティ障害自体が、発達障害や薬の作用によって引き起こされるものといった指摘がされるようになってきています。

 ⇒「境界性パーソナリティ障害の原因とチェック、治療、接し方で大切な14のこと

 ⇒「パーソナリティ障害の特徴とチェック、治療と接し方の7つのポイント

 

・側頭葉てんかん

 幻覚、妄想、うつ状態が見られます。脳波検査などで確認します。

 

・ウイルス性脳炎

 意識障害、錯乱状態、痙攣、幻覚が見られます。発熱や脳波検査、神経学的兆候で区別します。 

 

・多発性硬化症

 運動麻痺、視力障害、疲労などが生じます。MRIなどによって区別します。

 

・ハンチントン舞踏病

 踊っているような不随意運動や知能低下、うつ状態、幻覚・妄想などが見られます。遺伝病なので、近親者の病歴や遺伝子診断で確定することができます。

 

・薬物の副作用

 薬物の作用によって幻覚、妄想が見られるケース。

 

 

 

統合失調症の原因

 統合失調症の原因はまだ解明されていません。ただいくつかの仮説があります。単一の原因ではなく、遺伝・体質や環境との相関で発症すると考えられています。

 

・遺伝的要因

 遺伝の影響も指摘されています。ただ、その他多くの病気と同じように多因子遺伝であり、一つの遺伝子で決まるものではありません。
 統合失調症に関連する遺伝子は誰もが持っている可能性があります。また、環境の影響で発症するかが決まります。関係する遺伝子としては、DISC1遺伝子、ニューレグレン-1遺伝子 などがあります。

 

・ドーパミン仮説

 ドーパミンの過剰分泌が統合失調症の原因であるとする仮説です。ドーパミンの過剰分泌と捉えると陽性症状や、陰性症状が生まれるメカニズムについても一定の説明が可能になります。ただ全てのケースや症状を説明できずに、限界もある仮説です。

 

・グルタミン酸仮説

 ドーパミン仮説を補うようにして登場した仮説です。グルタミン酸の過剰放出が原因ではないかとするものです。認知機能の低下や、陽性症状についても説明できるものとして注目されています。

 

・カルシニューリン仮説

 ドーパミンとグルタミン酸系が合流する際に調整したり、長期抑制、神経成長因子の活性を調整する働きを持つカルシニューリンの変異が原因とする説です。
 ドーパミン仮説とグルタミン酸仮説とどちらも説明できるのではないかと期待されています。

 

・発達障害仮説

 発達の過程で、遺伝や環境の影響で神経系に何らかの障害を起こして、それが原因になるのではないか、と考えられています。神経系の障害は、発達障害などでも見られるものです。妊娠中のストレスや栄養状態、出産時の問題などが要因となります。

 

・脳の萎縮や障害

 前頭葉の体積減少は6割でみられ、側頭葉の体積減少は約8割の人で起きています。特に解体型の患者さんでは側頭室や第三脳室の拡大や前頭葉や側頭葉の大脳皮質の萎縮が見られます。上側頭回(視線の動きに関連)の減少は全例で見られる特徴です。
 海馬(海馬は学習や記憶のみならず、フィルタリングや統合機能に関連)や前部帯状回での萎縮や機能低下も見られます。これらは認知機能の低下に関係すると考えられています。

 

・ウイルス感染説

 統合失調症の患者は冬に生まれの人が多く、体内にいる時に母親がインフルエンザに感染するなどの影響が考えられている。
 事実、母親が妊娠初期にインフルエンザに感染すると7倍程度リスクが高まるとされる。
 また、Wレトロウイルスの感染も、ある種の統合失調の原因になっているのとする研究結果もあります。

 

・性格気質

 どのような性格の人でも統合失調症になりえますが、ジゾイド(分裂気質)の人が多いとされています。
 ※ジゾイドとは、非社交的、内向的、孤独を好み、超然としている、神経繊細、ヤセ型を特徴とする性格気質です。
 最近の研究では、受動型が大きな特徴とされます。また、子供の頃にいじめを受けていた人が多いことも指摘されています。

 また、統合失調症患者には無垢で純粋なタイプが多いことが知られています。その純粋さは精神科医を魅了し、臨床や研究の発展に寄与してきました。

 

・ストレス(ライフイベントなど)

 統合失調症の誘因としてストレスがあり、特に患者の8割が発症の時期に、結婚、就職、死別、離婚などライフイベントが重なっていることが多いとされます。
 笠原嘉は「出立の病」としています。出立とは旅立ちや自立のことです。また、サリヴァンは「対人関係の病」としていますが、対人関係のストレスというのは刺激としては最も強いものとなります。

 

・虐待など養育環境

 虐待などによって少し高まることがわかっています。ただ、親の育て方の問題が影響するということはありません。
 
 かつては家族間の矛盾するコミュニケーション「ダブルバインド」によって生じるとするベイトソンの説などもありました。
 ダブルバインド説は直接の原因としては否定されていますが、回復を考える際には現在でも示唆に富んでおり、家庭環境の影響の重要さは様々な臨床家が触れています。
 中井久夫も「私はひょっとすると、分裂病は特に幼少期にあるいは青年期のマインド・コントロールに対する防衛という面があるのではないかと思っています」としています。

 

・その他

 地方で育った人よりも、都会で育った人のほうが発症リスクが高いことが指摘されています。国や地域によってや社会階層でも発症リスクが異なることが知られています。好景気になって仕事につきやすくなると有病率が減ることもあります。若年での大麻など薬物の使用などもリスクとなります。

 

 

 

統合失調症の進行と回復

 進行の仕方はケースによって様々です。一様に進むのではなく、症状に波がある事も多いです。

 

前駆・前兆期

 統合失調症の4分の3で、本格的な発症の前に予兆が見られることがあります。この期間は平均5年と言われます。陽性症状が現れるのが17~25歳とされており、思春期にはその前兆が現れていることがわかります。
 うつ病や怠けだと思っていたら実は前駆期の症状だったということがあります。疑われる場合は専門医に相談することが予後を良くすることになります。


 (1、2年目~に多く見られる症状)
   ・うつ症状(抑うつ、不安、焦燥、不眠)
   ・陰性症状(意欲の低下、無気力、自閉)
   ・頭痛、身体の痛み
   ・集中力の低下
   ・仕事や学業でのパフォーマンス低下
   ・忘れっぽくなる
   ・友人が減る
   ・身だしなみに気を使わなくなる
   ・日常的なことをサボるようになる
   ・怒りっぽくなる
   ・論争しがちになる
 (3年目~に多く見られる症状)
   ・不安症状
 (4、5年目~に多く見られる症状)
   ・陽性症状(自生思考、思考干渉、思考保続、思考途絶、関係念慮、現実感喪失、幻聴、錯聴)
   など

   
急性期

 急性期は、陽性症状から症状が始まることが多いです。精神的な興奮が激しくなります。幻聴、幻覚、妄想、させられ体験、光や音への過敏さなどが現れます。
 自分が監視されていると思ったり、誰かに命令されていると考えたり、操られていると感じたりします。
 思考の柔軟性が失われているため社会的な判断が困難になります。そのため思い込みを修正することが難しくなります。
 陰性症状から始まる場合は、感情の起伏が亡くなったり、自分の殻に閉じこもるようになったり、うつ状態になったりします。
 急性期の激しい時期は数週間~数ヶ月で収まります。
 9割が30歳までに急性期を迎えます。発症の年齢が遅いほど予後は良い傾向にあります。


     
消耗・休息期 

 エネルギーの高い急性期が過ぎると、エネルギーを貯める消耗期になります。
 この時期は極端に活動性が低くなります。ぼんやりとして寝てばかりで、無気力で受動的になります。
 子どもっぽい振る舞いをすることがあります。
 急性期から消耗期への移行の際は「臨界期」と呼ばれ、頭痛、下痢、吐き気、熱、などの心身症が見られることがありますが、悪化ではなく回復のサインと考えられています。
 エネルギーが充電されるに連れて、状態が少しずつ変化していきます。
 消耗期は、3~6ヶ月程度の場合もあれば、数年に及ぶ場合もあります。
 急性期の後、1,2~数ヶ月無気力状態になる精神病後うつ状態に陥ることがあります。

 この時期は、悲観的になる傾向にあるので、自殺に注意する必要があります。


回復期

 回復期は、徐々に自分のやりたいことができるようになる時期です。本を読んだり、人と会うことなどの活動が出来るようになります。
 この時期は、体力をつけ、デイケアなどに通いながら、リハビリを行っていきます。
 無理せず焦らず、服薬を続けながら、本人のペースで社会復帰の準備をしていきます。

 

寛解期

 陽性症状や陰性症状の重症度が軽度、あるいは消失した状態が6ヶ月続いている場合に寛解とされます。
 1年間新たな症状が出なければ、経過観察になることもあります。
 ただ、服薬しないと5年以内に9割が再発するとされているなどから、医師の指示のもと、服薬を一定期間は続ける必要があります。
 どの期間服薬が必要なのかについてはケースによって異なり、まだ明確にはわかっていません。
 寛解になっても、睡眠をよく取り、ストレスやプレッシャーは避けることが大切です。
 再発すると急性期からのやり直しとなってしまいます。再発を繰り返すと回復が難しくなる傾向があります。

 

 

予後の傾向

 統合失調症は、入院した人では1年後に74%が寛解するとされます。
 ただ、10年というスパンで見た場合は、
  ・完全な回復が、約25%
  ・かなり改善し、ほぼ自立した社会生活が可能が、約25%
  ・ある程度改善するが、しっかりとした生活の支援が必要が、約25%
  ・改善が見られず、療養施設で生活するが、約15%
  ・死亡が、約10%
 となっています。

 

 下記のような場合は予後が良くないとされます。
  ・発症年齢が早い
  ・発達上の遅れがあった
  ・近親者に統合失調症の人がいる
  ・ゆるやかに発症した場合
  ・急性期にも陰性症状が目立った
  ・感情の平板化が見られる場合
  ・病識がない場合
  ・はじめて抗精神薬を投与した際にあまり効果がなかった場合

 

 統合失調症の人は様々な要因で寿命が短い傾向があります。
 
  ・妄想や幻覚、認知機能低下に伴う事故
  ・病気(感染症、心疾患、糖尿病、乳がんなどが人よりも多い)
  ・生活習慣(ヘビースモーカーの人も多い。)
  など 

 

 長期で見ると、予後が良好な人が多く、年齢とともに回復する「治る」病気(晩年軽快)ともされます。
 残遺症状も固定的なものではなく、かなりゆらぎがあり、回復しようとする力と症状とがせめぎあっていると考えられています。そのため慢性化した人でさえも、回復のチャンスというのは常に開かれています。

 最近では、統合失調症は、進行性のものではなく、一時的にエネルギーが低下しても、比較的早く回復していくのでは、とも考えられるようになっています。

 一過性の統合失調症状態になって回復する人も多いとされていることから、実は、想像以上に多くの数の人が一過性の統合失調症になり短期間で自然治癒しているのでは、とも言われています。

 

統合失調症の治療

 

 

 

統合失調症の治療のポイント

統合失調症の治療は下記のようなことがポイントとされます。

 

・本人の希望が一番大切

 病気の治療にあたっては、本人の希望が何よりも大切です。
 急性期の激しい状況でさえも、無理やりの入院は極力避け、本人の気持ちに寄り添うことが大切とされます。「二重帳簿」と呼ばれるように、正気を失っているかに見える状態でさえも、実は正常な意識を保っていることは多くの専門家から指摘されていることです。本人の意志の尊重は単なる人道上の配慮のためではなく、実際の回復に大きく影響します。

 近年の障害のケアは、「生物-心理-社会」という統合モデルの中でも「社会」を中心に組み立てられます。 
 人生は薬を飲むためにあるのでも、治療のために捧げるためにあるのでもなく、社会の中でその人らしく生きるためにあります。

 本人がどのような人生やキャリアを生きたいのか?そのことを中心に、本人の希望が実現することをサポートすることが何よりも求められています。
 万一、残るハンデキャップによって方向転換が余儀なくなるとしても、それも本人が気づき進むべき道に向かっていくものです。


 
・統合失調症の治療は、薬物治療とリハビリテーション(デイケア、精神療法)が主になります

  特に世界の潮流は、単剤治療とリハビリで、入院をしても1週間程度で退院をさせて、あとは社会の中でケアしていく、というものです。

 

 

・治療は早いほど予後は良い~違和感を感じたら早めに相談する

 発症から5年までの病気が進行する時期にできるだけ早く治療することがその後に大きく影響します。
 前駆期に気づいて対処すれば、発症自体を予防できる可能性もあります。ただ、前駆期に気づくことは一般の人では難しいものです。
 疑われる場合は、病院や保健所、精神保健福祉センターに早めに相談しましょう。

 

・適切な治療を受ける

 適切な治療を受けることが大切です。急性期などは、民間療法では対処できません。必ず専門の病院に罹ることが大切です。「精神科」「神経科」が担当科になります。メンタルクリニックでも対応しています。
 心療内科は心身症を専門とし、神経内科は脳の器質的な病気を担当しているため、統合失調症の窓口としては適していません。
 
 病院は大きければ良いということばかりでもありません。医師によって得意な領域や経験も異なります。
 長丁場になりますから、立地も不便ではなく、通うことが苦ではないところを選ぶことが必要です。
 本人と先生との信頼関係も大切ですから、本人や家族にとって気軽に質問、相談ができる先生を探すことも大切です。


 
・環境、特に社会に居場所を作ることが回復に影響します

 回復は、環境や人の働きかけで変わっていきます。社会に居場所がなく、病院内で見捨てられているような状態になると逆に状態が悪くなります。
 社会に居場所があり、何かに守られていると感じられ、楽観的で肯定的な働きかけが続くと回復していきます。
 中井久夫は「分裂病は本来回復しやすい病気であって、ただ、それを妨げる内外の要因もまた多いということなのかもしれません」としています。

 


薬物療法について

 統合失調症の激しい症状を沈静化させるために薬が用いられます。
   

<薬物療法についての大切なポイント>
 

・決められた量を服用しましょう

 自分で減薬や断薬したりしないようにしましょう。回復期、寛解期は特に気をつけましょう。中断すると6~8割つまり殆どのケースで1年以内に再発します。デポ剤と呼ばれる、2~4週間持続する注射もあります。

 

・効果が出るまでの期間を知りましょう

 抗精神病薬が効果を発揮するまで4~6週間かかります。それまでしっかりと服用することが大切です。

 

・睡眠は薬の効果の目安です

 薬が合っていれば睡眠の改善に現れます。服用後1週間程度したら、睡眠が取れているか主治医にチェックしてもらいます。

 

・副作用が出たら相談する

 副作用で困っている場合も、勝手に服用をやめずに医師に相談しましょう。

 

・必要最低限の量を処方してもらいましょう

 必要最低限の量を用いることが大切です。多ければ多いほど良い、ということはありません。薬の種類や量が多いために過鎮静になっている場合、慢性化している場合もあります。医師を信頼することは大切ですが、本人や家族も一定の知識を持ち相互に意見を交換しあうということは必要です。

 

・薬の狙いを理解しましょう

 薬を理解し信頼すると薬効は高まると言われています。逆に理解がなく恐れている場合は効き方が悪くなるとも言われています。処方への納得を得ることは必要最低量で高い効果を得ることに繋がります。現在処方されている薬の狙いなど、わからないことは積極的に質問しましょう。

 

・多剤大量処方されている場合は、セカンドオピニオンを求めてみましょう

 多くの種類を飲むと、効果や副作用の見極めも難しくなります。
 抗精神病薬は2種類まで(非定型抗精神病薬は基本的には同時に1種類)が基本とされます。※ケースや状況によって異なります。不安な場合はセカンドオピニオンを求めてみてもよいでしょう。

 

・回復後も服薬は継続しましょう

 寛解後も基本的に一定期間は飲み続ける必要があります。

 ただし、患者さんの人生は薬をのむためにあるのではなく、社会の中でその人らしく生きるためにあります。再発を完全に抑えようとして薬をたくさん処方されて活動量が落ちてしまうことは本末転倒になります。本人の希望をしっかりと伝えて、リスクを計算の上で必要最低量を服用する、あるいは場合によっては医師と十分な相談の上、飲まずに経過観察という場合もあります。

 


<定型抗精神薬>

 古くから用いられている薬です。錐体外路症状と呼ばれる副作用が大きく、現在では、非定型抗精神病薬が第一選択として使用されることが多くなっています。
 ただ、定型抗精神薬もケースによっては用いられています。

 ・妄想、幻覚を和らげる
  ハロペリドール、ブロムペリドールなど

 ・過敏、興奮を和らげ、気持ちを落ち着かせる
  クロルプロマジン、レボメプロマジン、プロペリシアジン

 ・気持ちを持ち上げる、幻覚を和らげる
  スルピリド

 

<非定型抗精神病薬>

 非定型抗精神病薬は、90年代後半から登場した薬で、陽性症状だけではなく、陰性症状の改善にも効果があり、副作用が少ないことが特徴です。
 代謝系の副作用があり、体重増加などから糖尿病になりやすくなります。定期的に血糖値を測る必要があります。糖尿病の人には用いることができません。

    
 ・SDA(セロトニン・ドーパミン拮抗薬)
  ドーパミンだけではなく、セロトニン受容体もブロックします。
  非定型抗精神病薬の中では副作用は出やすい傾向があります。抗パーキンソン薬を併用することがあります。リスペリドン、ペロスピロン、ブロセナリンがあります。   

 ・MARTA(多元受容体作用抗精神病薬)
  ドーパミン、セロトニンだけではなく、アセチルコリンなど多くの神経伝達物質の受容体をブロックします。運動系の副作用が少ないですが、代謝系の副作用が出やすい傾向があります。オランザピン、クエチアピン、クロザピンがあります。    
 
 ・DSS(ドーパミン系安定薬)
  ドーパミン部分作動薬とも呼ばれる種類の薬です。ドーパミンが過剰な部分では抑え、少ない部分では強める働きをします。アリピプラゾールがあります。    

 

<副作用や陰性症状の改善に用いられるもの>

 ・抗パーキンソン薬
  アカシジア(足がムズムズする)、ジストニア(身体の緊張や動作の異常)、パーキンソン症状(手のふるや、身体の硬直など)を抑えるために用いられます。  

 ・睡眠薬
  特に急性期に睡眠が上手く取れない場合に睡眠薬を使用します。

 ・抗不安薬
  不安が強くなったり、イライラ、緊張を抑えるために使用します。
  抗不安薬は依存性も強いため、短期間に必要最低限を用いることが大切です。

 ・気分安定薬
  過活動や気分の波を安定させるために用いられます。

 ・抗うつ剤
  統合失調症の人には抗うつ剤を用いることは通常ありません。
  興奮を高めてしまうおそれがあるからです。ただ、強い抑うつや自殺の危険性がある場合に用いられることがあります。

 


・副作用の内容

 ケースによって生じる副作用は異なります。副作用を恐れず、まずは病気の症状を沈静化させることに専念しましょう。副作用は飲み始めは強く出て、時間とともに収まっていく傾向があります。

   ・手が震える
   ・舌がもつれる
   ・口が勝手に動く(遅発性ジスキネジア)
   ・無表情になる
   ・首が引きつる
   ・目が上を向く
   ・突然の高熱、筋肉の硬直、意識障害(悪性症候群)

   ・姿勢が前かがみになる
   ・手足がムズムズする
   ・じっとしていられなくなる
   ・便秘
   ・唾液が出にくかったり、出過ぎたり
   ・脈が速くなる
   ・立ちくらみ

   ・眠気
   ・だるさ
   ・ぼんやりする
   ・月経が止まる
   ・性欲の減退
   ・射精ができない
   ・乳汁分泌

   ・体重増加※血糖値が増加していないかを定期的に測る必要があります。

 

 

電気けいれん療法について

 うつ病や、統合失調症で薬が効かず、緊張病症状が見られたり、自殺念慮など危険な状態にある患者に行われます。前頭部に100ボルト程度の軽い電流を5~10秒間流して人工的にけいれんを起こす治療法で、「電気けいれん療法(ECT)」と呼ばれています。副作用はありませんが、前後の記憶が失われたりすることがあります。また、一度行った場合、また数ヶ月で再発することが少なくなく、あくまで応急処置的なものです。

 

 

入院について

 急性期などは入院が行われます。陽性症状は1,2週間程度で収まることが多く、海外では短期間で退院となります。医療制度が異なる日本では入院期間が長い傾向(平均300日)があります。長い入院が回復を却って遅らせる場合もあります。最近は外来での治療も増えてきています。

 

 

リハビリテーションについて

 統合失調症は、社会における居場所や役割があると回復が早いことが昔から知られています。社会的に孤立した環境では、幻覚や妄想に引っ張られてしまいます。そのため、リハビリテーションを行いながら、社会での居場所を取り戻していくことが重要です。

 リハビリテーションは、専門施設と自宅でも行われます。自宅では、主に生活リズムを整えることを心がけます。何よりも十分な睡眠をとることが大切です。
 専門施設としては、病院併設のデイケア、地域の共同作業所、職業訓練所です。回復が進めば、本格的な就職の前にパートタイムで働くなど徐々に社会で働くようにします。

 デイケアでは、SST(ソーシャル・スキル・トレーニング)と呼ばれる治療プログラムも提供されています。
 SSTは、日常生活技能、疾病の自己管理、社会生活技能を向上させるトレーニングを受けます。
 専門のスタッフのサポートを受ける中で能力を回復させていくことができます。

 

 

精神療法について

 統合失調症そのものを精神療法だけで治すことは難しいのですが、回復期、寛解期では重要な役割を担っていて、社会に復帰、適応するために必要な考え方や行動の改善を行います。
 認知行動療法などが中心となりますが、発症を予防したり、遅らせたり、改善に有効であることは様々な研究で知られるようになってきています。妄想や幻覚と上手く付き合う方法を身につけることも学びます。
 (妄想は、無視する、返事しない、聞き流す、知らん振りをする、が対処の原則です。)   
 統合失調症の場合、深く内観するようなことは混乱を招くおそれがあるため行いません。

 


家族が行うサポート

・病気について正しい知識を持つ

 統合失調症は様々な症状が起きます。また時期によって対応策が変わります。副作用への対応も必要です。本人は上手く伝えることができない場合もあります。医師との間をつなげる役割をするのも家族です。
 本人の心情を理解するためにも、正しい知識を持つことが大事です。

 

・統合失調症の本人の心情を理解し、批判・説得したり、過干渉になったりしない

 妄想や幻覚にも本人にとって信じるに足る理由や不安があります。その気持に寄り添い、よく話を聞いてあげることが大切です。
 説得や叱責、批判をしたりしないようにしましょう。また、統合失調症は親の育て方のせいではありませんから安心しましょう。罪悪感を持つと接し方が不適切なものになる恐れがあります。家族は近すぎず、遠すぎず、適度な距離で安定していることがとても大切です。

 

・家庭が安心して休息できる場とする

 家庭は急速やリハビリテーションの場ともなります。批判や評価、過度の心配をされると安心して休息することができません。
 事実、イギリスでの研究では、感情表出(EE)の度合いから高い家族、低い家族とを分けて高EE家族、と低EE家族とを比較した場合に、高EE家族では9ヶ月以内に半数が再発しましたが、低EEでは13%にとどまりました。その差は4倍に及びます。感情表出とは、批判的言動、本人への敵意、情緒的な巻き込まれ(過保護、自己犠牲的献身、思い入れなど)のことをいいます。
 家族の接し方は、再発の防止や回復に大きな影響があります。本人の状況を理解し、過干渉になり過ぎないようにしましょう。
 

・社会的な支援を活用する

 統合失調症など精神疾患については、医師、家族で完結するのではなく、地域のサポートを活用して行うことが国の方針として挙げられています。障害者自立支援法、精神保健福祉法、障害者雇用促進法など様々な法律によって、経済的支援、生活訓練、就労支援が提供されています。
 各自治体の相談窓口にて相談し、適切な支援を受けるようにしましょう。    
 

・家族も自分の人生を楽しむ

 統合失調症の治療は長丁場の取り組みになります。家族自身も自分の人生を楽しみ、病気に対して良い意味で楽観的に構えることも大切です。

 

<時期別のポイント>

・前駆期の対応のポイント

 症状に疑問を感じたら、早めに精神科の受診を勧めましょう。     
 

・急性期の対応のポイント

 激しい陽性症状が現れますが、説得したり、一緒に不安になったりせずに、落ち着いて、相手の気持ちを受容します。ただ、暴力に及ぶ場合は受容ではなく、距離を取ったり、警察の助けを借りてください。本人は不安や妄想から自分を守るための行動を取っていることは理解してあげてください。興奮が収まらない場合は、抗不安薬や抗精神病薬によって、興奮を鎮めます。


・消耗期の対応のポイント

 この時期は、消耗したエネルギーを充填している時期です。そのため、ずっと寝ていたり、ダラダラしていたり見えますが、激励したり、小言を言ったりせずによく休ませるようにしましょう。

 

・回復期の対応のポイント

 意欲が湧いてきて、活動量が増えてくる時期です。生活リズムを整えることが大切です。焦りが出ても無理せず、服薬を続けながらゆっくりとリハビリをサポートしてあげましょう。

 

・寛解期の対応のポイント

 社会に復帰していきますが、症状がなくなっても油断せず、服薬を続けるようにアドバイスをしましょう。

 

 

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(参考)

中井久夫「最終講義」
伊藤順一郎「統合失調症」
岡田尊司「統合失調症」
功力浩「やさしくわかる統合失調症」
福智寿彦「家族が統合失調症と診断されたら読む本」
蟻塚亮二「統合失調症とのつきあい方」
山下格「精神医学ハンドブック」
丹野義彦ほか「臨床心理学」
中井久夫「世に棲む患者」

広沢正孝「「こころの構造」からみた精神病理 広汎性発達障害と統合失調症をめぐって」
「統合失調症の広場 統合失調症に治療は必要か No.1 2013春」
「こころの科学 統合失調症の治療の現在 No.180」

 

 

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