悩みの原因や解決方法

家庭内暴力(子が親や家族に暴力)とは何か?本当の原因と対策

[悩みの原因や解決方法「家族の問題(機能不全家族)」の原因と治し方]


 家庭内暴力(子が親や家族に暴力)は、家庭の中で行われるために、その実像は外からは見えづらいものです。また、当事者でもメカニズムはなかなか理解がしづらく、対策も難しいものです。


 今回は、家庭内暴力についてその本当のメカニズムと対応策についてまとめてみました。
 よろしければご覧ください。

 

関連する記事はこちら

→「ひきこもり、不登校の本当の原因と脱出のために重要なポイント

→「<家族>とは何か?家族の機能と機能不全

 

<作成日2019.9.14>

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この記事の執筆者

みき いちたろう 心理カウンセラー

大阪大学卒 大阪大学大学院修了 日本心理学会会員 など

シンクタンクの調査研究ディレクターなどを経て、約20年にわたりカウンセリング、心理臨床にたずさわっています。 プロフィールの詳細はこちら

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 管見の限り専門の書籍や客観的なデータを参考に記述しています。

 可能な限り最新の知見の更新に努めています。

 

もくじ

家庭内暴力とは
家庭内暴力が生まれる原因とサイクル
家庭内暴力への対処法

 

 

 

家庭内暴力とは

 家庭内暴力とは文字通り家庭の中で行われる暴力全般が含まれますが、一般的に、「家庭内暴力」とは、子が親や家族に暴力をふるうことを指します。

 暴力とは、まさに身体などに攻撃を加えることもそうですが、暴言、しっせき、説教など精神的な暴力も含まれます。

 

 家庭内暴力(子どもから家族へ)は、成長する中で抱える不全感、現在と将来への不安を家族にぶつけている行為といえます。

 家庭内暴力を行うケースを見ると、その子どもが攻撃的、衝動的であるなどの特徴はなく、ごく普通の子どもが行います。

 

 

 

家庭内暴力が生まれる原因とサイクル

 端的に言えば、家庭内での暴力とは、不全感からぜい弱な自我を守るために、力を用いて家族をコントロールしようとすること、その責任を家族の態度のせいだと思い込むこと(正当化すること)と言えます。

 


1.養育環境などの背景

 子どもが親や家族に暴力をふるう原因は、成長の中で抑圧されたさまざまな感情が家庭という閉鎖された関係の中で暴力となって表れる、ということです。どうしようもない状況について適切な解決策が示されないことへのフラストレーションを、力で家族をコントロールすることで「なんとかしてほしい」と訴えている、ある種の退行と考えられます。

 

 その背景にあるものは、いくつかの観点からとらえる必要があります。

 

・社会

 その時代の社会の風潮や価値観など。例えば、かつては受験地獄のような学歴信仰や、近年では過度なコミュニケーション力重視の風潮などは、子どもの不全感に影響します。

 

・家族

 支配的な親、過干渉な親というだけではなく、親が子どもの発達段階に適した対応ができなかったりすることが大きな要因として考えられます。「聞き分けのよい子」、反抗期がない「よい子」も要注意です。例えば、親の考えや価値観を素直に受け入れてきた。自発性を重んじすぎて子どもを社会に導くことや壁になることができずに、結果として子どもが抱える不全感をうまくくみ取れないまま蓄積されることがあります。


 また、よくある家族像として、面倒見のよい母親と無関心な父親との組み合わせで、はた目には面倒見が良いが子どもが抱える具体的な問題解決をサポートする機能が欠けたままということも大きな原因です。

 →参考となる記事はこちらをご覧ください。

 「<家族>とは何か?家族の機能と機能不全

 

(参考)感情の社会化

 人間にはポジティブな感情もあれば、ネガティブな感情(怒り、嫉妬、恨み、悲しみ、嫌悪、など)もあります。ネガティブな感情もそれ自体は悪いものではなく、人間にとっては必要なことです。子どもは、感情を言語化し、対象化されていくことで、感情を安全なものとして自らコントロールできるようになります(「感情の社会化」)。

 

 例えば、むずかっている子供に対して、「嫌なの?嫌なのね~」と共感してくれる言葉かけをされることで、自分自身でもこの気持ちは「嫌ということなんだ」と分かるようになります。しかし、親自身も感情をうまく処理、許容できておらず、子どものネガティブな感情にイライラしてしまったり、「わがままね」「いい子にしておきなさい」と感情をおさえ込むようにしてしまっていると感情は社会化されなくなってしまいます。その結果、感情をコントロールできずに暴力などに現れやすくなることが考えられます。

 


・学校

 学校で学業や人間関係がうまくいかないなど。学校は「中間集団全体主義」といじめを研究する社会学者が指摘するように、過度に密着した関係を強要されるところでもあります。また、学習のスタイルも個人差もあるため、うまく勉強についていけなくてストレスを抱えることもあります。学校にもつまずきの要因はたくさんあります。

  →参考となる記事はこちらをご覧ください。

 「いじめとは何か?大人、会社、学校など、いじめの本当の原因

 

・友人

 学校や地域での友人関係は、社会性を身に付けるための大切なものです。
 しかし、最近では、スクールカースト、友だち地獄という言葉があるように、子どもの世界も権力や序列が覆うとても「政治的な」世界です。


 また、「友だちはたくさん作らないといけない」「一人でいるのは良くない」といった圧力も強いため、友人は喜びであると同時に、実はかなりのストレス源でもあります。


・本人

 基本的に、暴力をふるう子供に特徴的なものはなく、ごく普通の子どもです。
 思春期は性ホルモンによる肉体や精神の変化、アイデンティティ確立のための葛藤、進学・就職などさまざまな問題が起こります。ざわめきや葛藤にさいなまれる年代です。

 

 そのため、普通にしていても現在や将来について葛藤を抱えやすいものです。特に子どものあふれるようなエネルギーは、モチベーションでもあり、攻撃性でもあります。
 問題があることが問題ではありません。周囲から解決のサポートが得られないことが問題となります。

 

(参考)発達障害などが原因であるケースも

 アスペルガー障害、ADHD、学習障害などが原因となって癇癪を起すなど、家庭内暴力を二次的に起こしてしまっているものです。重い症状は乳幼児健診でチェックされますが、グレーゾーンの場合は気づかれずに、本人が環境に適応できずストレスを抱えることがあります。

→参考となる記事はこちらをご覧ください。

大人の発達障害の本当の原因と特徴~さまざまな悩みの背景となるもの

 

 


2.不全感を生む環境、きっかけ

 背景には、「よい子」であることを強いられてきたことや思春期にみられる劣等感や不全感があります。子どもが抱える問題について、適切な解決が示されないことから、「退行」して力で親や環境をコントロールしようとします。家庭の外では暴力をふるうことは基本的にはありません。

 

 

3.暴力と正当化

 家庭内暴力においても、本来は発達、成長の過程での問題を解決してほしい、自分の現状を何とかしてほしい、ということが本旨ですが、うまくくみ取ってもらえずに、代わりに、親(家族)を奴隷化して、暴力やいろいろな無理難題を押しつけようとするのです。

 


4.後悔や反省、あるいは無反省

 子どものタイプによりますが、暴力について全く意に介さない場合もあれば、その後猛烈に反省して、後悔する場合もあります。そのため、家族も相手を何とか助けなければという気持ちにさせられ、ある種の共依存状態(「歪んだ絆」)になることがあります。

 

 反省しているからと言って、状況が改善するわけではなく、単なるサイクルが起きているだけです。

 


5.繰り返し

 しかし、現実には改善されず、また、2~4を繰り返すことになります。

 

 

(参考)“家庭”という閉鎖的な無法空間

 家庭という空間は、市民社会のルールが及びにくい場所です。また、近代化以前に比べると家族の内外を隔てる壁は高く、その中で何が行われているのかは外からは見えづらく、外部が介入できません。


 かつてであれば、近所の子どもたちが子守をしたり、近所の人が子どもの扱いについて立ち話で少し触れるだけでも、バランスを取る力があったものが、今は家庭の中に口出しすること自体がかなり立ち入った行為であるとみなされてしまいます。この密着した、閉鎖された空間自体が不全感を後押しします。

→参考となる記事はこちらをご覧ください。 

 「ひきこもり、不登校の本当の原因と脱出のために重要なポイント

 

 

家庭内暴力への対処法

 家庭内暴力は、成長の過程で抱える課題解決をサポートする機能の欠如、閉じられた環境、などが原因とされます。そのための機能を回復すること。環境を変えることが必要です。


 ただ、親子だけでは悪循環に陥って、堂々巡りになっていますから、多くの場合、専門家の助けを借りることが求められます。
 


 1.子どもの成長や、家庭内暴力(ひきこもり、不登校など)を理解するために関係する書籍を読む

 悪循環にある時に必要なことは、「これまでと同じことをしない」ということです。そのためには、メカニズムを知ることが必要です。


 下記のような本が参考になります。

 二神能基「暴力は親に向かう いま明かされる家庭内暴力の実態」(新潮社)
 山中 康裕「親に暴力をふるう子どもの心がわかる本」(講談社)
 斎藤環「「ひきこもり」救出マニュアル実践編」(筑摩書房)

 

2.専門機関に相談する

 子どもを専門とする臨床心理士などのカウンセラーや、公共の相談機関などにご相談されることをおすすめします。児童相談所、大学が開設している心理教育相談室、精神保健福祉センターなど地域の窓口でご相談ください。


3.暴力が激しい場合

 ケガをするほどの激しい暴力の場合は、警察への通報もためらうべきではありません。一時的に親が別のところで生活するなど、避難することも有効です。避難すると、後悔や怒りなどさまざまな感情が湧きますが、最後はもはや暴力が通用しないというあきらめを感じます。そこで、悪循環を断つきっかけを得ることができます。

 

 

関連する記事はこちら

→「ひきこもり、不登校の本当の原因と脱出のために重要なポイント

→「<家族>とは何か?家族の機能と機能不全

 

 

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(参考)

 ドナルド・G.ダットン「なぜ夫は、愛する妻を殴るのか? バタラーの心理学」(作品社)
 レノア・E・ウォーカー「バタードウーマン 虐待される妻たち」(金剛出版)
 ランディ・バンクロフト「DVにさらされる子どもたち 加害者としての親が家族機能に及ぼす影響」(金剛出版)
 ランディ・バンクロフト「DV・虐待加害者の実体を知る あなた自身の人生を取り戻すためのガイド」(明石書店)
 豊田正義「DV-殴らずにはいられない男たち」(光文社)
 信田さよ子「加害者は変われるか? DVと虐待をみつめながら」(筑摩書房)
 味沢道明「DVはなおる」(ジャパンマシニスト社)
 田中信市「家庭内暴力 嵐をのりこえるために」(サイエンス社)
 大河原美以「怒りをコントロールできない子の理解と援助 教師と親のかかわり」(金子書房)
 二神能基「暴力は親に向かう いま明かされる家庭内暴力の実態」(新潮社)
 山中 康裕「親に暴力をふるう子どもの心がわかる本」(講談社)
 斎藤環「「ひきこもり」救出マニュアル実践編」(筑摩書房)

 など

 

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