ひきこもり、不登校の本当の原因と脱出のために重要なポイント

ひきこもり、不登校の本当の原因と脱出のために重要なポイント

[「不登校」の原因と治し方「ひきこもり」の原因と治し方]


ひきこもりのイメージ

 
 ひきこもり、不登校は、子どもやしつけ、私たちが自然と持つ常識が邪魔をしたり、援助者でも様々な立場があり、その原因や、対応策についても情報が溢れています。
 出来る限り多くの専門書や厚生労働省のガイドラインなどを参考にしながら、ひきこもり、不登校とは何か、どのように対応すればいいのか?について、まとめてみました。よろしければ、ご参考ください。

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はじめに~単純ではないが、特殊な現象ではない

 まず、ひきこもり、不登校を理解する際に大切なことは、「~~のせいだ」といったような単純なものではありませんが、訳の分からない特殊な現象ではない、ということです。特殊な問題だととらえてしまうと、理解の妨げとなります。

 カウンセリングや対人の関わりにおいて本質的とされることばかりです。ただ、その当たり前のことは常識のメガネをつけたまま見ると見えなくなってしまうものでもあります。いったん、常識を外してとらえて見ることがとても大切です。

 

 

 

ひきこもり、不登校とは何か?

ひきこもり、不登校の歴史

 「ひきこもり」が問題としてとらえられ始めるのは、1990年前後のことです。それ以前は、不登校や、不登校に伴う「閉じこもり」が問題として捉えられていました。

 

<1950年代~70年代>

 元々、1950年代までは貧しい家庭も多く、不登校は問題とはされませんでした。しかし、1960年代以降、社会が豊かになり、誰もが学校に通うことが当たり前になると、不登校は怠けか病気と見なされ、治療、矯正の対象とされました。
 病気とされる世間の目を避けるために、当事者は家に閉じこもらざるをえませんでした。 

 

<1980年代~90年代>

 1980年代後半から、当事者やその親からの異議申し立てもあり学校側の問題としての認識、本人の自主性やスタイルの尊重が訴えられ、1990年の文部省の会議において、不登校は特殊な子におこる問題ではなく「どの子にでも起こりうる」として、不登校をめぐる考えは大きく転換されるようになりました。
(実際、調査によって、子どもの属性に特殊な傾向は見られないことが明らかになりました。)
 
 この大転換によって、世間の無理解によって家に閉じこもらざるをえなかった子どもは、「学校の犠牲者」「新しい生き方を模索する子どもたち」として捉え治され、家から出られるようになり、「閉じこもり」の解消に大きく寄与することになりました。
 1990年前半は表面的には「ひきこもり」は解決したかのように見え、社会の注目を集めることはありませんでした。
 しかし、90年後半に入り「ひきこもり」は再発見されるようになります。その画期は、1997年になります。朝日新聞にて、社会に出たいのに出れない若者についての特集が組まれ、「ひきこもり」の高齢化と長期化といった問題がクローズアップされるようになりました。不登校児が依然として生きづらさを感じ、不登校のその後も社会に出来ることができず「ひきこもり」を続けていることが明らかになったのです。
 1998年には、精神科医の斎藤環氏によって『社会的ひきこもり』が出版され、ひきこもりの定義と、個人の問題ではなくシステムとしての問題把握が提示されました。 

 

<2000年代~現代>

 2000年代に入ると、当事者たちの声や体験談も広く世に紹介されるようになり、問題の多様さや深さが伝わるようになりました。
 
 不登校に付随する現象としてスタートしたひきこもりは、1990年代後半から、問題の多様化にともない不登校という問題から離れて「青少年問題」「家族問題」とされるようになり、2000年に起きた西鉄バス乗っ取り事件などの事件の容疑者たちの背景に「ひきこもり」があると報道されると、「精神病理」の問題としても扱われるようになりました。また、ニートが問題になるようになってからは「就労問題」としても注目され始めました。
 ひきこもりへの認識の変化は、不登校に対する対応にも影響し、不登校は「進路の問題」としても捉えられるようになります。

 不登校とイコールの問題としてスタートしたひきこもりは揺れ動きながら重層的な社会問題として認識され、現在に至っています。

(「「ひきこもり」の社会学的アプローチ」による)

 


ひきこもり、不登校の定義

<ひきこもりの定義>

 ひきこもりに関する議論をリードしてきた斎藤環氏の定義になります。様々な場面で参照されるものの一つです。

 

・精神科医、斎藤環の定義

 「20代後半までに問題化し、6ヶ月以上、自宅に引きこもって社会参加しない状態が持続しており、他の精神障害がその第一の原因とは考えにくいもの」

 

・厚生労働省のガイドラインの定義(「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」)

 厚生労働省も専門家会議でガイドラインをまとめ以下の様な定義を行っています。

 「様々な要因の結果として社会的参加(義務教育を含む就学,非常勤職を含む就労,家庭外での交遊など)を回避し,原則的には6 ヵ月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態(他者と交わらない形での外出をしていてもよい)を指す現象概念である。なお,ひきこもりは原則として統合失調症の陽性あるいは陰性症状に基づくひきこもり状態とは一線を画した非精神病性の現象とするが,実際には確定診断がなされる前の統合失調症が含まれている可能性は低くないことに留意すべきである。」

 

 

<不登校の定義>

 大きくは以下の二つがあります。

文部科学省の定義

 「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるため年間30 日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」

 

厚生労働省のガイドライン

 「顕在性か潜在性かを問わず、学校に参加することへの恐れ、拒否感、あるいは怒りと、欠席することへの罪悪感を持ち、登校せずに家庭にとどまる生活は総じて葛藤的であるといった状態像を伴う長期欠席」

 

 


ひきこもりと不登校の関係

 ひきこもりの歴史の紹介でも書きましたが、元々は、不登校に付随する問題として始まったものです。すべてではありませんが、ひきこもりが不登校の延長線上に生じているケースが多いことは事実です。ひきこもりやニートとされるケースの6割で不登校の経験があるとする調査結果もあります。また、不登校が、学校という社会活動からの回避と考えられ、それ自体を「ひきこもり」として捉えられることがあります。

 一方で、不登校だが、ひきこもりではないケースもあります。家族からのサポートの中で、別の進路に進むということもあります。不登校から始まった問題でも、当事者が高齢化している場合は、もはや問題は「登校」ではなく「就労」となります。
 
 不登校と、ひきこもりは、近接していますが、2つの別々の輪がズレながら重なり合っているイメージだと考えられます。

 

ひきこもり、不登校の人数や男女比など

<ひきこもり>

 ひきこもりについては様々なタイプが存在し、調査の際に定義する難しさもあり、完全な統計というものは存在しません。おそらくは100万人程度存在するのではないかと推定されています。

 男女比についてですが、一般に男性が圧倒的に多いとされています。ただ、男性はひきこもりとして問題の自己治療に取り組むが、女性はリストカットや摂食障害に現れるのではないか、など発現形態が男女で異なるだけで、社会への適応に問題を抱える割合は男女でそれほど変わりがないのでは、とする説もあります。

⇒「摂食障害とは何か?拒食、過食の原因と治療に大切な7つのこと

⇒「リストカット、自傷行為の本当の心理、原因・理由とその対応

 

<不登校>

 文部科学省の調査によれば、平成25年度では、小学校で2万4千人(全体の0.36%)、中学校で9万5千人(全体の2.69%)となっています。男女比はほぼ半々です。性別による偏りはないようです。

 


ひきこもり、不登校の当事者の意識や特徴

 ひきこもりの当事者、自分の状態をどのようにとらえているのでしょうか?当事者や支援者の証言からは下記のような像が浮かび上がってきます。

<ひきこもり>

・男性が圧倒的に多い
・長男が多い
・中流以上の家庭が多く、特殊な家庭事情は見られない
・社会に出なければ、働かなければという意識は強い
・ひきこもり状態にあることへの負い目
・社会に出たいけど、出ることができない葛藤
・無気力ではなく、意欲は強い(上手く発揮できていないだけ)
・怠けや甘えというより、むしろ自分に厳しい
・我慢強い
・社会にでることについて自信が無く、不安が強い
・不安や自信の無さや焦りの裏返しとして自意識やプライドが高く見えることがある 
・家族に対しては、恨み半分、感謝半分

 ひきこもりは「贅沢病だ」「甘えている」といった誤解がありますが、本人もその状態が良いと考えていることはなく、むしろ負い目と葛藤を感じながら、抜けだそうともがいているがどうすることもできない状態であることがわかります。

 

<不登校>

 不登校については、例えば、性別も男女半々であるなど、ひきこもりとは異なる点があります。

 支援者などのなんらかの不安や、葛藤を抱えている事が多いと考えられます。わけもわからない無気力状態というように見えても、背後には何らかの不安、自己重要感の低下、学校などの環境への不適応があります。

 

 

ひきこもり、不登校の種類

<ひきこもりの種類>

様々な分類がありますが、大きくは下記の3つに分類されます。

・社会的ひきこもり

 いわゆる「ひきこもり」とは、社会的ひきこもりを指します。つまり、精神障害が第一原因ではないものということです。学校での環境、学業での問題、家族の問題などさまざまなものがからみ合って生じます。二次的に精神障害を引き起こしたり、人よりも成熟が遅れるために発達障害様の状態に陥ることもあります。

 

・精神障害を背景としたひきこもり

 統合失調症や、強迫性障害、パニック障害など、様々な精神的な問題からひきこもりという状況を二次的に起こしてしまうものです。ただ、長期化すると、何が第一原因かはわからなくなってしまうことがあります。

⇒「統合失調症の症状や原因、治療のために大切なポイント

⇒「強迫性障害を克服するために知っておきたい9つのこと~原因、症状、チェック

⇒「パニック障害とは何か?その本当の原因と克服に必要な5つのこと

⇒「摂食障害とは何か?拒食、過食の原因と治療に大切な7つのこと

 

 

・発達障害を背景にしたひきこもり

 自閉症、アスペルガー障害、ADHD,学習障害などが原因となって、ひきこもりを二次的に起こしてしまっているものです。発達障害の概念は最近は拡大していますので、社会的ひきこもりとされるタイプでも、専門家が見るとじつは発達障害として捉えたほうが解決しやすい、ということはあります。ひきこもりの8割になんらかの発達障害が見られるとする調査結果もあります。

⇒「大人の発達障害の本当の原因と特徴~様々な悩みの背景となるもの

 

 

<不登校の種類>

 不登校について、明確な分類というものはありません。文科省による分類がありますが、内容は、不登校のきっかけによる分類となっています。

 基本は、発達障害や精神疾患によるものを除けば、タイプ分けというよりは、起きている症状やきっかけから様子を捉えることで十分でしょう。

 分類とは、あくまで解決しやすくするために便宜的に行うものです。

 

 

 

ひきこもり、不登校の原因~多要因によって引き起こされる現象

 様々なニュアンスはありますが、ひきこもりは単一の原因によって引き起こされる問題ではない、とされます。

また、原因といっても、
「問題が起きる一番最初のきっかけ」を指す場合もありますし、
「現在の問題状況を長引かせている要因」を指す場合もありますし、
「解決のために有効なポイント」を指す場合もあります。
それぞれが異なることもしばしばです。いずれにしても、単一ではありません。

 

厚生労働省のガイドラインでも、下記としています。
「ひきこもりという用語は病名ではなく、あくまで対人関係を含む社会との関係に生じる現象の一つをおおまかにあらわしている言葉です。また、それが生じる原因には『いじめ』『家族関係の問題』『病気』などが挙げられることがありますが、一つの原因でひきこもりが生じるわけでもありません。生物学的要因や心理社会的要因などのさまざまな要因が絡み合って、ひきこもりという現象が生じています。」

 

 多要因によって生じているということは、引きこもりだけではなく、その他の社会的な問題、心の悩みとされるものについても同様で「生物-心理-社会の分化統合モデル」といったように多要因で問題を捉えることが一般的です。

 

(参考)不登校、ひきこもりは、親のせい?育て方のせい?

 不登校やひきこもりは、「親のせい」「育て方のせい」ということがどうしても気になるところです。昨今は、子どもが罹る病気や問題について親が原因とする説は多くのケースで否定されています。不登校やひきこもりについても、親の関わり方、育て方が直接的な原因とする短絡的なとらえ方は否定されています。

 


社会的なひきこもり、不登校のきっかけ

・学校、職場でのトラブル

 具体的には、教室、部活、職場などのいじめや体罰、ハラスメント、あるいは、学業、仕事について行けないなどのトラブルがきっかけになるもの

 

・学校、職場の雰囲気に合わない

 明確なトラブルはないが、学校や職場の環境に適応できないことがきっかけになるもの

 

・心理的なきっかけが原因

 特に理由はないが、無気力など、職場や学校にいけなくなるもの。かつては、スチューデント・アパシー、モラトリアム といった概念で捉えられていたものです。思春期はアイデンティティの確立期で敏感で不安定なもので、明確な理由がなく、本人にとってもなぜだかよくわからないことも多いです。

 

・その他

 文科省の分類では、遊び・非行によるものがありますが、上記3つの結果として生じるものでもありますし、ここではその他としています。

 


ひきこもり、不登校が長引く要因

・ひきこもり、不登校の悪循環を生む「ひきこもりシステム」

 精神科医の斎藤環氏がまとめた考えですが、ひきこもりとは「ひきこもりシステム」と呼ばれる、不健全な状態によって支えられています。
 通常、私たちは社会、家庭、個人が健全に接点を持ち、それぞれの領域を守りながら関わっているものです。しかし、社会、家庭、個人が上手くコミュニケーションを取れなくなると、それぞれが持つ私たちを助けるはずの力が“ストレス”となり悪循環を引き起こします。その悪循環を「ひきこもりシステム」と斎藤氏は呼んでいます。

 例えば、このようなことです。

 社会とは、私たちが自己実現を果たしていくための活動の場であるわけですが、ひきこもりになるとその社会で期待されている在り方、「働かなければならない」といった規範がストレスとなってのしかかります。そのストレスを避けるために個人や家族も社会との接点を持たなくなります。また、家族からも「いつまでそんなことをしているんだ」としてお説教や激励という形でストレスを掛けられることで家族と個人との接点もこじれてきます。そうして本人には様々なストレスがのしかかり悪循環となり、ひきこもりが遷延化してしまうことになるのです。
 このような意味では、ひきこもりは、個人と家族、社会が関わるシステムの問題といえるのです。

 

 

・世間の常識へのとらわれ

 「学校に行かなければいけない」「仕事に行かなければいけない」「普通に生きることができない人は落伍者だ」といった世間の常識へのとらわれ、ということがあります。
 これは、本人にもありますし、親や先生、支援者にもあります。私たちに強く内面化されています。
 親は「良い親でなければならない」というプレッシャーを感じていることがありますから、「不登校やひきこもりは自分の責任」として、その焦りがさらに子どもに向かうということも起こります。
 こうした囚われがあると、本当に解決すべき問題に焦点が当たらずに、「学校に行く=行かない」といった本質的ではないことが問題となり、長引く要因となります。

 


・サポートすべき環境(家庭)が機能していない

 子どものひきこもりの場合は発達途上のため、周囲の大人がサポートをして、解決へと導いていく必要があります。しかし、そのサポートが適切に機能していない場合、問題はこじれます。

 多くの場合、親が考えるサポートとは、叱責や激励に終止します。その前提には、「厳しくしなければ、子どもは甘えるものだ、怠けるものだ」といった考えも根強くあるのかもしれません。はじめは見守っていたのに、「いいかげんにしろ!」「いつまで甘えているんだ」といって、叱責やプレッシャーを与えてしまうこともあります。

 家庭の機能というものは様々なものがありますが、一番大きな機能は「安全基地」である、ということです。安全基地とは、ただ「存在」を受け止めてくれるところということです。現実には家庭がそのようになっておらず、世間をそのまま持ち込んで、批判ばかりが行われていることも珍しくありません。

 家族の機能のもう一つは、「社会で生きていくための導きや支えの提供」です。家族は社会へのつながりをつくり、支えとなるものです。しかし、それらが機能せず問題解決能力を失ってしまうと子どもははしごを外されたようになり、家から出たくても足場がないために出ることができなくなってしまいます。外側からはしっかりしているように見えても、問題解決能力のない(失っている)家族というのは珍しくありません。

 

 ひきこもりとは、このままでは潰れてしまうかもしれないストレスに対して、ひきこもりという手段で避難しているということです。そのため、ひきこもりのサポートとは、学校や職場に戻るにせよ、ただ「元に戻る」という選択肢はなく、同じ問題を受けないような工夫を一緒に考える、あるいは環境が適さない場合は、別の進路に変更することに取り組むことなのです。

 しかし、多くの場合、避難先の家庭が安全基地ではなくなり、子どもは家庭から自分の部屋へと、もう一段階ひきこもるようになります。長引くひきこもりというのは、社会からのひきこもり、“安全基地”ではない家庭からのひきこもり と、二重にひきこもりが発生しています。
 対応のまずさが重なると親子の関係がこじれてしまい、二者関係で身動きが取れなくなり、機能不全に陥ってしまいます。

 ⇒「<家族>とは何か?家族の機能と機能不全

 

 
・ひきこもりという状態や失われた時間への負い目

 ひきこもりは、ひきこもりのきっかけとなった問題もストレスですが、「ひきこもり」という状態自体が負い目となって苦しめます。特に、ひきこもりの当事者は、普通であることを過度に意識したり、働かなければならない、という常識を強く内面化していますから、余計に負い目を感じてしまっています。さらに、ひきこもりが長期化した場合、失われたと感じられる時間への負い目も生まれます。

 それらがさらに問題をこじれさせることになります。

 


・できなくなった行動の過大視

 普通にできているときはなんでもないことでも、できなくなると途端に難しいことのように感じられます。「通学」「就職」といったことも、できてしまえばなんともないことですが、できなくなるとできている人が偉く思えたり、できない自分がダメな人間に思えたりします。

 また、あらためてそれらの行動に取り組むことへの恐れや不安も過剰に感じられるようになり、解決を難しくします。

 

 

 

<二次的症状>

 二次的に生じる精神障害状態がひきこもりのさらなる長期化を生む場合があります。
 

・対人恐怖 

 いじめなどでひきこもりになった場合などに生じます。いじめなどがない場合でも、家にいることで対人関係に不安を感じるようになります。

 

・強迫性障害

 強迫症状が見られることが多く、完璧に整理しないと気がすまない、清潔にしていないと気がすまない、といった本人の強迫観念や行為に家族も巻き込まれることがあります。

 ⇒「強迫性障害を克服するために知っておきたい9つのこと~原因、症状、チェック

 

・不眠、昼夜逆転

 生活が不規則になることで、昼夜逆転したらい、リズムが乱れて不眠が生じることがあります。

 

・退行

 家族に依存した生活をする中で、「幼児返り」が見られるようになります。年齢よりも幼い行動や考えが見られます。

 

・家庭内暴力

 本人が焦りや不安を暴力という形で家族にぶつける場合があります。

  ⇒「家庭内暴力、DV(ドメスティックバイオレンス)とは何か?本当の原因と対策」 

 

・被害関係念慮

 近所の人が自分のことを悪く言っている、といった被害妄想です。

 

・うつ状態

 気分の不安や落ち込みが見られることもあります。うつ病とは異なり、移ろいやすいことがあります。

 

・希死念慮、自殺企図

 死ぬことを考えたり、自殺を試みたりといったことも生じます。

 など

 

ひきこもり脱出のイメージ

 

 

 

ひきこもり、不登校を解決するために

 ひきこもりや不登校の解決は人間同士の関わりですから、細かな部分では、相手の状況や性格にあわせて様々な対応があり、一様ではありません。
 例えば、説得や叱責というのは基本的には問題をこじらせる原因になりますが、相互に信頼が築けていれば、叱責が後押しとなって解決する、あるいは半ば強制的に合宿に連れ出したことが良くなるきっかけになる、といったことはあるかもしれません。
 ただ、当然ながら、そうした例を全てに一般化することは危険です。多くのケースでは単にこじれて終わりになります。


 
 ひきこもり、不登校の解決は特殊ではなく、人の関わり方の基本が詰まっているといえます。

基本とは何かというと、

 ・人間とは環境に強く規定される存在です。
 ・誰もが自分を認めて欲しいと考えていて、信頼してくれない人に囲まれていては動けません。
 ・人はそれぞれ独立した人格を持っているため、他人は思い通りには動かない。ただ、相手を尊重して信頼が築ければ、非常にスムーズに進むことが多いです。
 ・解決は、その人のペースで進みます。
 ・その人には本来人生をたくましく生きる力があります。
 ・一方で、誰もが多くの人に依存して人生を歩んでいるため、関係が悪循環に陥ると周囲のサポート無しには回復は難しくなります。
以上のようなことです。仕事や家庭などの関わりでは基本とされることばかりです。

 

 ひきこもりや不登校の解決が難しくしているのは、私たちを呪縛している常識というものの力であるといえます。家庭という場において、いかに私たちが様々な常識や規範を内面化して囚われているか、が浮き彫りになります。常識の呪縛から解き放たれると、問題解決の糸口は自然と見えてきます。

 

(参考)ひきこもりとは治すべき問題なのか?

 ひきこもりを、個人の個性的な生き方として、あるいは創作的な価値があるとして尊重すべき、あるいは治療の対象とすべきではない、という意見はあります。ただ、最終的には、下記の3点によってそうした見解は支持されていません。
 
 ・ひきこもりとは、本人が積極的に選択したというよりは、否応なく陥った状態であり、本人もその状態が望ましいと考えていないこと
 ・ひきこもりは、本人から見ても無為と感じられているケースが多いこと
 ・自然解決が望めないケースがほどんど。本人も何らかの介入、解決を望んでいるということ


厚労省のガイドラインでも、
「ひきこもり状態に在る子どもや青年がすべて社会的支援や治療を必要としているわけではないという点です。例えば、慢性身体疾患の療養過程で家庭に長くとどまる必要のある事例や、家族がそのような生き方を受容しており、当事者もその考えであるため社会的支援を必要としていない事例の場合、少なくとも当面は支援を要するひきこもり状態とはならないということを承知しておくべきでしょう。」となっているように、ひきこもりの状態が必要なプロセスとして承認されている場合は、そのままで良いかもしれません。

 ただ、当事者の体験談でも、「時間が無駄だった」「もっと早くに社会に連れ出して欲しかった」といった意見も見られますので、まずは、解決に動くことを第一選択として、本人の状態を知る中で、ひきこもりをある生き様として捉えるといったことが適切です。

 

 

<主に初期に必要な対応>

 ひきこもりの初期への対応というのは、不登校に対しても同様になります。家庭を安全基地として、失った自信を回復して、不安を解消して、元気を取り戻すことが大切です。

 

・「学校に行くこと」「働きに行くこと」といったことは脇において考える

 ひきこもりや、不登校への対応で大切なのは世間の常識をまずは脇に置くことです。 ひきこもりという状態に罪悪感を感じたままでは、問題はこじれるばかりで解決には繋がりません。「勉強が遅れる」「出来る限り早く学校の戻さないと」といった心配も全て脇に置く。

 

 

・解決を急がない

 解決とは子どもが元気になることであり、その先には登校や就職も見えてきます。解決を急がないことは、基本中の基本です。

 

 

・放置しない

 ひきこもりや不登校は、放置していても解決することはありません。
 「子どもの自主性を信じてひたすら待つ」といったことは現実には難しいです。子ども自身も決定に慣れておらず、どうして良いかわからない状態で困っていることが多いです。そのため、適切な支援を行う必要があります。

 

(参考)統合失調症の予兆を見逃さない

 統合失調症は思春期に生じることが多いとされます。統合失調症でも家にひきこもるようになります。鑑別は大変難しいのですが、いわゆるひきこもりらしくない奇妙さがある場合、例えば、妄想や幻聴、空笑がみられる、奇妙な姿勢で部屋にいる、といった場合。ひきこもりであれば自分を理解してほしいということから人を避けますが、そうした人とのかかわりを渇望せず、単に毒気を避けるように人を避けるような場合は、すぐに医師に相談して、診断を受けるようにしましょう。統合失調症は対処が遅れると、回復しずらくなる病気で、早めの対処が重要です。

⇒「統合失調症の症状や原因、治療のために大切なポイント

 

 

・まずは、本人と話をしてみて、本人が持つ不安な気持ちや葛藤に共感する

 本人は、不安や葛藤などさまざまな感情を抱いています。何が原因かを考えるよりもさきに、まずその気持ちに寄り添うことが大切です。
  

 

・話を聞く際には評価や判断を挟まない。100%子どもの味方になる

 話を聞く際は評価や判断を挟まないことです。まず聞いてあげること。
 その際は、100%味方になることが大切です。私たちの思考の癖として「喧嘩両成敗」という観点が染み付いて閉まっているケースがありますが、「あなたにも問題があるから」といった捉え方は、子どもにも伝わり、問題をこじれさせる元となります。

 

 

・子どもを信頼する

 子どもには、ちゃんとこの状況を乗りきれるチカラがあると信頼することもとても大切です。「この子は放置したら甘えてしまい、ダメになる」と考えていては、その気持が子どもをくじけさせます。

 

 

・「原因」を深く探ろうとするより、解決するために何が必要か?という視点で耳を傾ける

 私たちは、「原因⇒結果」という考えで物事を捉えてしまっていますが、原因というのはたくさんあり、本人も自覚できていないことも多いのです。もちろん、原因がシンプルな場合は良いですが、多層的な場合は原因ばかりを探っていても建設的な解決に結びつかないことも多いのです。「解決枠」といいますが、「解決するためには何が必要か?」という視点で耳を傾けることは大切です。

 

 

・コミュニケーションをしっかり取り、安心できる環境を提供する

 家庭という場の一番大切な機能は、「安全基地」であることです。
 学校や職場も評価がついてまわり、存在をそのままで承認してくれることは他の場所では得られないものです。家庭が本当に安心できる場かどうかは確認しましょう。

 

 

・子どもに自信を持たせる

 不登校やひきこもりは、不安を感じたり、自信を失うようなことを経験してきているということです。傷ついて、家で心を休めている状態でもありますから、子どもの良いところを再確認し、褒めて自信を持たせることがとても大切です。

 

 

・子どもを元気になることが支援のゴール 

 支援のゴールは子どもが元気になることです。登校や就職をゴールとしないのは、そこを考えると、どうしても焦りが出てきて無用なストレスが加わってしまうことです。元気になれば、その上で様々な対応が可能になります。まずは、元気にすることに注力することです。

 

 

<長期化している場合>

 長期化している場合、社会-家族-個人の関わりが上手く機能せずに、いびつな「ひきこもり」システムが形成されているということが背景にあります。いびつといっても、家族が原因ということではなく、個人も家族も悪循環の中に巻き込まれて機能不全を起こしている、ということです。
 第三者の支援も受けながら解決していくことが不可欠となります。


・家族と社会との接点を回復する

 長期化している場合は、家族の関係が膠着して悪循環に陥っていることが考えられます。膠着した状態から抜け出すためには第三者の支援、介入が不可欠になります。
 親自身も、ひきこもりという問題を隠して世間の目から避難しているという場合もあります。
 まずは、親自身がひきこもりという問題について社会との接点を回復することです。そのためにも、親だけでまずは専門の支援窓口に相談に行くことをおすすめします。

 

 

・専門家にも魔法の解決方法があるわけではない

 専門家は問題の枠組みを明らかにして、筋道をつける役割があります。
 家に来て、子どもを連れだしてくれる救世主がいるわけでもありませんし、魔法の解決方法があるわけではありません。長引いている問題は、家族も参加して粘り強く取り組む必要があります。

 

 

・支援者にも様々なスタイルがあるため、自身でも情報を収集するなどして適切な支援を判断することが大切

 支援者もどういった取り組みで望むかはスタイルがあります。子どもと一番多くの時間を過ごしているのはやはり家族です。直接関わるのは家族です。お子さんにとってどういった関わりが必要なのかについて、親自身も学び、判断していく必要があります。

 

 

・段階によって適切な支援は異なる

 ひきこもりは、不安を和らげ、自信を回復する段階、社会との接触を取り戻す段階、進学や就職を行う段階など幾つかの段階がありますが、その段階ごとに適切な支援は異なります。支援者も得意な分野がありますから、段階に合わせて都度適切な窓口を選択することが必要です。

 

 

・親戚や祖父母、兄弟は支援者にはなりえない

 ほとんどのケースで、親戚や祖父母、兄弟が介入しても良い効果は見られません。世間の常識やしがらみを持ち込むだけで無用なストレスとなりかねません。兄弟も、特に同性の場合は恨みをかったりということも起きますから、兄弟はかかわらず自分の道を進むことが大切です。

 

 

・個人と家族との接点を回復する~普段からコミュニケーションをまめに取る

 相手が拒否しているような場合でも、メモや少しの声掛けなどでマメにコミュニケーションをとる必要があります。
 ダブルバインドといいますが、コミュニケーションには意識のものと無意識のものとがあります。声掛けしながら、心のなかでは皮肉を込めていたり、批判的な気持ちを持っていると伝わってしまいます。素直な関わり方を心がけることが大切です。

 

 

・家族も成長する必要がある~あらためて常識やこだわりを脇に置く

 不登校、ひきこもりを長引かせる大きな要因の一つに、内面化された常識があります。「学校に行かなければならない」「就職しなければならない」「良い大学に行かなければならない」といったことです。
 こうしたことは、問題の本質に目を向けることを妨げ、本人や家族の焦燥感ばかりを高めることになります。
 本人の不安や葛藤を解決しなければならないのに、家庭=世間となって、本人を圧迫してしまっていては解決は見込めません。あらためて常識やこだわりは脇に置くことが不可欠で、そのためには家族も成長する必要があります。

 

 

・正攻法で関わる

 子どもを操るような関わり方は逆効果になります。目につくところに進学や就職に関するパンフレットを置く、と言った行為など、いやらしい関わり方はこじらせる原因となります。あくまで正攻法で正直な関わり方が大切です。

 

 

・本人の成熟をサポートすることが必要

 長期化したひきこもりの場合は、本人の成熟を待つ姿勢が必要になります。この場合の成熟とは、対人関係での傷つきや、学業、仕事での挫折や不適応を癒やし、肯定的に消化することと、不安などを取り除くこと、同じようなストレスに対する免疫の獲得と、自信を回復し、今後の人生への力へと転換することです。こうしたことは人生を生き抜くために必要なことばかりです。

 

 

・受容とは、言いなりになることではない

 これはひきこもりだけに限りませんが、相手を受容すると言っても、言いなりになることではありません。安定して関わることです。無用な謝罪を要求されたり、無理難題を言われてもそれに従う必要はありません。むしろ、そうした安定した対応こそが、相手の落ち着きを生みます。また、無理難題とは「自分の気持ちを理解してほしい」という気持ちの現われであることが多いため、気持ちを理解してあげることが大事です。

 

 

・「待つ」とは、親側の環境や体制を整えること

 カウンセラーや支援者から、「待ちましょう」と言われる場合は、何もしなくて良いのではなく、多くの場合で周囲のサポート環境が整っていない、ということを表しています。そのため、何もしないのではなく、家庭の環境を整えるなど親自身も支援する側として成長することが必要だということになります。
 

 

・ケース別の細かな対応については、書籍を参考になさると良いでしょう

  斎藤環「「ひきこもり」救出マニュアル」
  斎藤環「「ひきこもり」救出マニュアル実践編」 
  丸山康彦「不登校・ひきこもりが終わるとき」
  小林高子「不登校になったら最初に読む本」
  菜花俊「不登校から抜け出すたった一つの方法」
  森田直樹「不登校は1日3分の働きかけで99%解決する」

 などは参考になります。

 

 

 

ひきこもり、不登校の相談窓口

<ひきこもり>

 最も身近な支援窓口としては、各地にある保健所になります。精神保健福祉士による面談や、家族会の案内などを受けることができます。

 各自治体によって、心の健康センターや、発達障害のための支援センター、就労支援センターなどがあり、状況に応じて相談することができます。

 NPOに相談する場合は、サポートのスタイル、費用をオープンにしているかどうか、また、自らの団体だけで案件を抱え込まず、必要に応じて他の機関を連携する意識があるかどうか、最初に確認することが大切です。
 

<不登校>

 在籍している学校が相談窓口になりますが、対応が十分ではない場合などは地域の教育センターや教育相談所で相談を受付けています。また、教育支援センターでは、不登校児童生徒に対する通所指導(カウンセリング,教科指導,体験活動など)を行っています。不登校についても児童相談所,保健所,精神保健福祉センター等で相談を受け付けています。

 

 

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(参考)

厚生労働省「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」
荻野達史ほか「「ひきこもり」の社会学的アプローチ」
井出草平「ひきこもりの社会学」
田中俊英「「ひきこもり」から家族を考える」
池上正樹「大人のひきこもり」
宮淑子「ひきこもり500人のドアを開けた!」
斎藤環「ひきこもりはなぜ「治る」のか?」
斎藤環「「ひきこもり」救出マニュアル」
斎藤環「「ひきこもり」救出マニュアル実践編」
斎藤環「社会的ひきこもり」

磯部潮「不登校を乗り越える」

丸山康彦「不登校・ひきこもりが終わるとき」
小林高子「不登校になったら最初に読む本」
菜花俊「不登校から抜け出すたった一つの方法」
森田直樹「不登校は1日3分の働きかけで99%解決する」

 

 

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