悩みの原因や解決方法

家庭内暴力、DV(ドメスティックバイオレンス)とは何か?本当の原因と対策

[「家庭内暴力」の原因と治し方「ドメスティック・バイオレンス」の原因と治し方「ひきこもり」の原因と治し方悩みの原因や解決方法]


 家庭内暴力やDV(ドメスティックバイオレンス)は、家庭の中で行われるために、その実像は外からは見えづらいものです。また、当事者でもメカニズムはなかなか理解しずらく、対策も難しいものです。
 今回は、家庭内暴力、DV(ドメスティックバイオレンス)についてその本当のメカニズムと対応策についてまとめてみました。
 よろしければご覧ください。

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家庭内暴力、DV

 

 

 

家庭内暴力とDV(ドメスティックバイオレンス)について

 家庭内暴力とは文字通り家庭の中で行われる暴力全般が含まれますが、
 一般的に、「家庭内暴力」とは、子が親や家族に暴力をふるうことであり、「DV(ドメスティックバイオレンス)」とは、夫(妻)が配偶者や家族に暴力をふるうことを指します。通常、別々の問題として取り上げられます。しかし、精神科医の斎藤環氏は「DVも家庭内暴力も基本的なメカニズムは一緒」と述べているようにメカニズムは共通するところが多いです。

 DVでは、暴力のことを「バタリング」、加害者を「バタラー」、被害者(妻)については「バタードウーマン」などと呼ばれます。
 加害者は男性だけとは限りません。女性が暴力をふるう場合も少なくありません。DVでは加害者の4割弱が女性、家庭内暴力では2割が女性であるとされます。
 DVは、認知件数で平成26年で約5万9千件発生しており、年々増加しています。家庭内暴力は、認知件数で年間約2千件弱発生しています。

 

 

 

暴力とは何か?

 暴力とは、まさに身体などに攻撃を加えることもそうですが、暴言、叱責、説教など精神的な暴力も含まれます。被害者の証言からは、精神的な暴力のほうが影響が大きいことがわかります。
 
 暴力暴言の容認、状況の決定権の独占、(加害者が男性の場合)男性優位の意識がDVにおいては特徴的です。さらに、必ず自らの行為の正当化が行われます。被害者の欠点やミスをあげつらい、暴言、暴力をふるいます。例えば、家事の不備、子育ての不備、性格上の欠点、過去の経歴、親や友達の問題、など。
 被害者は、自分の不備を理由にされるので、罪悪感を抱かされて、加害者に責任があることがわからなくなります。よくても、引き分けの乱戦に持ち込まれてしまいます。第三者が介入しても「どちらも悪い」とされてしまうこともあります。
 
 また、周囲の知人に悪評を流して社会的に孤立させたり、経済的な自立を阻んだり、といった狡猾な方法をとられることもあります。
 

 →参考となる記事はこちらをご覧ください。

 「あなたの苦しみはモラハラのせいかも?<ハラスメント>とは何か

 

 

 

暴力が生まれるメカニズムとサイクル

 端的に言えば、家庭内での暴力とは、不全感から脆弱な自我を守るために、力を用いて家族をコントロールしようとすること、その責任を家族(配偶者)の態度のせいだと思い込むこと(正当化すること)と言えます。その背景には、男性によるDVであれば男尊女卑の思想なども正当化を後押しします。

 バタリングの研究の第一人者であるダットンも「虐待者が、自己像を維持し、満足するために虐待が繰り返される」としています。

 DVの場合は成人ですから、その正当化の方略は巧み(原因を作り上げて相手に罪悪感を持たせたり)であり、また、家庭の外ではおとなしく紳士であることも多いために、DVを受ける側は原因が自分にあると強く思わされたり、対応が難しくなります。

 家庭内暴力(子どもから家族へ)の場合は、成長する中で抱える不全感、現在と将来への不安を家族にぶつけているといえます。

 


1.養育環境等の背景

<DV(ドメスティック・バイオレンス)>

DVの加害者の特徴として、養育環境について
ダットンは、
 ・父親からの拒絶の感情、穏やかな感情の欠如
 ・父からの心理的、肉体的な虐待
 ・母からの拒絶の感情
が大きな要因ではないかとしています。

その他、
 ・夫婦喧嘩などの目撃
 ・関係性のストレス
も影響を与えます。
  近年注目されている愛着形成の不全も重要な要因として考えられます。そうしたことが、パーソナリティの歪み(幼さ)を生みます。

 →参考となる記事はこちらをご覧ください。

 「「愛着障害」とは何か?その症状・特徴と治療、克服のために必要なこと

 


<家庭内暴力>

 子どもが親や家族に暴力をふるう原因は、成長の中で抑圧された様々な感情が家庭という閉鎖された関係の中で暴力となって表れる、ということになります。どうしようもない状況について適切な解決策が示されないことへのフラストレーションを、力で家族をコントロールすることで「なんとかしてほしい」と訴えている、ある種の退行と考えられます。

 その背景にあるものは、いくつかの観点からとらえる必要があります。

 

・社会

 その時代の社会の風潮や価値観など。例えば、かつては受験地獄のような学歴信仰や、近年では過度なコミュニケーション力重視の風潮などは、子どもの不全感に影響します。

 

・家族

 支配的な親、過干渉な親というだけではなく、親が子どもの発達段階に適した対応ができなかったりすることが大きな要因として考えられます。「聞き分けのよい子」、反抗期がない「よい子」も要注意です。例えば、親の考えや価値観を素直に受け入れてきた。自発性を重んじすぎて子どもを社会に導くことや壁になることができずに、結果として子どもが抱える不全感をうまくくみ取れないまま蓄積されることがあります。
 また、よくある家族像として、面倒見のよい母親と無関心な父親との組み合わせで、はた目には面倒見は良いが子どもが抱える具体的な問題解決をサポートする機能が欠けたままということも大きな原因となります。

 →参考となる記事はこちらをご覧ください。

 「<家族>とは何か?家族の機能と機能不全

 

(参考)感情の社会化

 人間にはポジティブな感情もあれば、ネガティブな感情(怒り、嫉妬、恨み、悲しみ、嫌悪、など)もあります。ネガティブな感情もそれ自体悪いものではなく、人間にとっては必要なことです。子どもは、感情を言語化し、対象化されていくことで、感情を安全なものとして自らコントロールできるようになります(「感情の社会化」)。例えば、むずかっている子供に対して、「嫌なの?嫌なのね~」と共感してくれる言葉かけをされることで、自分自身でもこの気持ちは「嫌ということなんだ」と分かるようになります。しかし、親自身も感情をうまく処理、許容できておらず、子どものネガティブな感情にイライラしてしまったり、「わがままね」「いい子にしておきなさい」と感情を抑え込むようにしてしまっていると感情は社会化されなくなってしまいます。その結果、感情をコントロールできずに暴力などに現れやすくなることが考えられます。

 


・学校

 学校で学業や人間関係うまくいかないなど。学校は「中間集団全体主義」といじめを研究する社会学者が指摘するように、過度に密着した関係を強要されるところでもあります。また、学習のスタイルも個人差もあるため、うまく勉強についていけなくてストレスを抱えることもあります。学校にもつまづきの要因はたくさんあります。

  →参考となる記事はこちらをご覧ください。

 「いじめとは何か?大人、会社、学校など、いじめの本当の原因

 

・友人

 学校や地域での友人関係は、社会性を身に付けるための大切なものです。
 しかし、最近では、スクールカースト、友だち地獄という言葉があるように、子どもの世界も権力や序列が覆うとても「政治的な」世界です。
 また、「友だちはたくさん作らないといけない」「一人でいるのは良くない」といった圧力も強いため、友人は喜びであると同時に、実はかなりのストレス源でもあります。


・本人

 基本的に、暴力をふるう子供に特徴的なものはなく、ごく普通の子どもです。
 思春期は性ホルモンによる肉体や精神の変化、アイデンティティ確立のための葛藤、進学・就職などさまざまな問題が起こります。ざわめきや葛藤にさいなまれる年代です。そのため、普通にしていても現在や将来について葛藤を抱えやすいものです。特に子どものあふれるようなエネルギーは、モチベーションでもあり、攻撃性でもあります。
 問題があることが問題ではありません。周囲から解決のサポートが得られないことが問題となります。

 

(参考)発達障害などが原因であるケースも

 アスペルガー障害、ADHD,学習障害などが原因となって癇癪を起すなど、家庭内暴力を二次的に起こしてしまっているものです。重い症状は乳幼児健診でチェックされますが、グレーゾーンの場合は気づかれずに、本人が環境に適応できずストレスを抱えることがあります。

→参考となる記事はこちらをご覧ください。

大人の発達障害の本当の原因と特徴~様々な悩みの背景となるもの

 

家庭内暴力、DV

 


2.不全感を生む環境、きっかけ

 不全感を生む環境としては、斎藤環氏は「密室化した家族関係」を挙げています。いじめのメカニズムでも同様のことが指摘されています。過度に密着した共同体(家庭や学校、職場など)では、群生秩序と言い市民社会のルールから閉じたローカルな秩序が生まれて、それがいじめの原因となるとされます。モードが切り替わったように不全感からくるイライラを「ムカつく相手」にいじめとしてぶつけるようになります。
 家庭内の暴力でも同様に、密室化した環境では、外では許されないことがローカルルールとして強制され、暴力となります。

  →参考となる記事はこちらをご覧ください。

 「いじめとは何か?大人、会社、学校など、いじめの本当の原因

 

<DV(ドメスティック・バイオレンス)>

 家庭の外で市民社会のルールが及ぶところでは加害者は紳士的にふるまいますが、実は内心では不全感の根を抱えています。家庭は、本来は安全基地として自らの存在自体を認めて、守られる空間である一方で、他者同士が共同生活を営む空間でもあります。家族と家でも別々の人間であり、価値観も異なります。すべてを受け止めてくれるわけではありません。夫や父親(妻、母親)としての役割も求められます。配偶者も自分の人生やプライベートがあります。
 相手には完全に安全基地を求めながらもそのようにはならず、些細なことから嫉妬や見捨てられ不安を強く感じるようになります。自らの存在が否定されたような恐れから自分を守ろうとする動きが起きます。そのため、家庭という密室化した空間で自分の不全感を癒すためのローカルな秩序を作り出して、そこで配偶者を支配し、力でコントロールするようになります。

 

<家庭内暴力>

 子どもが行う家庭内暴力も基本的には同様です。背景には、「よい子」であることを強いられてきたことや思春期にみられる劣等感や不全感があります。子どもが抱える問題について、適切な解決が示されないことから、「退行」して力で親や環境をコントロールしようとします。家庭の外では暴力をふるうことは基本的にはありません。

 →参考となる記事はこちらをご覧ください。 

 「ひきこもり、不登校の本当の原因と脱出のために重要なポイント

 

(参考)“家庭”という閉鎖的な無法空間

 家庭という空間は、市民社会のルールが及びにくい場所です。また、近代化以前に比べると家族の内外を隔てる壁は高く、その中で何が行われているのかは外からは見えづらく、外部が介入することができません。
 かつてであれば、近所の子どもたちが子守をしたり、近所の人が子どもの扱いについて立ち話で少し触れるだけでも、
バランスを取る力があったものが、今は家庭の中に口出しすること自体がかなり立ち入った行為であるとみなされてしまいます。この密着した、閉鎖された空間自体が不全感を後押しすることになります。

 

 

3.暴力と正当化(相手に罪悪感を植え付けて、支配する)

<DV(ドメスティック・バイオレンス)>

 加害者は身体的、精神的に暴力をふるいますが、その原因を「家事の不徹底」「先に傷つく言動をしてきた」「お前が俺を怒らせる!」など相手のせいとします。
 また、被害者もその正当化を真に受け、自身にも問題があると思わされています。そうして、相手に罪悪感を植え付けて相手をコントロールしようとします。DVとは、暴力のみならず罪悪感を受け付けて支配することも含んで成り立っています。加害者もその正当化を真に受けていますから、加害者意識や病識がないことが多く、むしろ自分こそ被害者であるという意識が強いことも多いです。
 罪の意識があってもDVのサイクルの中で正当化が生じて、再び相手のせいにしてしまうなどが起こります。そのために治療が続かずに、改善の取り組みをとても難しいものにしています。

 

<家庭内暴力>

 家庭内暴力においても、本来は発達、成長の過程での問題を解決してほしい、自分の現状を何とかしてほしい、ということが本旨ですが、上手くくみ取ってもらえずに、代わりに、親(家族)を奴隷化して、暴力やいろいろな無理難題を押しつけようとするのです。

 


4.後悔や反省、あるいは無反省

 加害者のタイプによるが、暴力について全く意に介さない場合もあれば、その後猛烈に反省して、後悔し、詫びて、被害者を見舞い、更生すると誓う場合もあります。相手の慈悲にゆだねようとします。そのため、被害者は相手を何とか助けなければという気持ちにさせられ、ある種の共依存状態(「歪んだ絆」)になることがあります。家庭内暴力でも、反省や後悔や罪悪感が生まれます。

 反省しているからと言って、症状が改善するわけではなく、単なるサイクルが起きているだけです。

 


5.繰り返し

 しかし、現実には改善されず、また、2~4を繰り返すことになります。

 

 

 

 

暴力を行いやすい人の特徴

<DV(ドメスティック・バイオレンス)>

 ・自尊感情が低い
 ・他人の評価に依存する
 ・自分の行動を正当化、他人のせいにする。
 ・嫉妬深い
 ・二重人格のように態度が変わる
 ・男尊女卑的な価値観(男性の場合)


<家庭内暴力>

 攻撃的、衝動的であるなどの特徴はなく、ごく普通の子どもが行います。

 →参考となる記事はこちらをご覧ください。

 「ひきこもり、不登校の本当の原因と脱出のために重要なポイント

 

 

家庭内暴力、DV

 

 

 

かつてはDV(ドメスティック・バイオレンス)、家庭内暴力の原因ではないかと考えられていたもの

<DV(ドメスティック・バイオレンス)>

・脳の異常なのか?

 かつては脳の異常やてんかんなどに原因が求められた時代がありました。しかし、現在では脳の異常に暴力の原因を求める説は否定されています。

 

 

・遺伝的な性格気質によるものか?

 DVや家庭内暴力については、粗野で暴力的な人が行うというようなイメージに反して、おとなしく、紳士的な人も多いなどから、性格気質に原因を求める説については根拠がないものとされています。

 


・アルコールなど物質の影響か?

 社会のイメージでは、暴力の原因にはアルコールによる酔いがあるのでは?とするかもしれません。しかし、実際はアルコールは原因ではないとされます。アルコールを飲んで暴力をふるうケースもありますが、本当の構造としては加害者が抱える不全感が原因でそれを解消する“手段”としてアルコールと暴力がある、ととらえたほうが適切です。

 


・男尊女卑などの思想的な偏りによるものか?

 フェミニズムなどの立場から、男尊女卑などの思想的な背景により説明されることがあります。しかし、同時代のすべての男性がそうではないということや、同性愛間でも暴力があり得ることなどからすると、十分な説明力を持っているとはいいがたいです。
 別の例でみるとわかりやすいですが、いじめにおいても歪んだ差別意識が主な原因ではありません。差別的な行動はあくまで不全感を解消するための手段として用いられます(つまり、いくら人権教育をしてもいじめは根絶できない)。

 DVについても同様に、不全感が暴力となって表れる際に、その時代にある男尊女卑の思想、態度をまとって表現される、ととらえたほうが妥当です。思想的な偏りは、原因というよりは、表現手段や不全感の増幅装置という役割を果たしているといえます。

 


・社会的な学習理論

 社会的な学習とは、親などが暴力をするさまをまねて、自分も暴力をふるう、ということです。これも、単純に模倣されるということはないのではないとされています。
 どちらかというと、暴力を目撃するなどしたり、不自然な養育環境が背景となり、見捨てられ不安など不全感を喚起されやすくなっていると考えられます。

 

 

・養育環境(不安定な愛着、トラウマ)

 暴力に至る要因について最も可能性があるものが、養育環境に要因を求めるものです。DV研究の第一人者であるダットンは、・父親から辱められた体験、・母親との不安定な結びつき、・虐待の3つの要素が同時的に絡み合うことが加害者となる可能性を作りうるのではないか、としている。
 不安定な愛着やトラウマは、パーソナリティのゆがみ、未熟さ、見捨てられ不安を生むことがわかっています。

 

 →参考となる記事はこちらをご覧ください。 

 「「愛着障害」とは何か?その症状・特徴と治療、克服のために必要なこと

 「トラウマ、PTSDとは何か?あなたの悩みの根本原因と克服

 「パーソナリティ障害の特徴とチェック、治療と接し方の7つのポイント

 

 

 

”依存症”としての暴力

 DVを「暴力嗜癖」と呼び、ある種の依存症とみなす立場もあります。
 依存症との異同は下記の部分です。

 →参考となる記事はこちらをご覧ください。 

 「依存症(アルコール等)とは何か?真の原因と克服に必要な6つのこと

 

<同じ点>

・不全感や見捨てられる不安などが原因

 背景に不全感などが想定される点などは依存症もDVも同じです。

 

・メカニズムの共通性

 暴力を行う際に脳内で麻薬のような物質が分泌されると考えられます。不全感などの苦しみを癒す効果や、仕事であれば努力の果てに得られるものである報酬(状況のコントロール、支配)を、短期で得られることで脳内の報酬系システムにゆがみを生じさせます。こうしたことからDVも依存症と似たメカニズムがあるのではないかとされます。

 

・徐々にエスカレートする

 依存症においてアルコールやギャンブルの量が徐々に増えるように、DVにおいても、徐々にエスカレートする傾向があります。

 

・病識の欠如、否認や矮小化、責任転嫁

 自分の行っていることはDVではない、大したことはない、相手が悪い、とすることがあります。

 

・わかっていてもやめられない

 依存症と同様に、DVでも本人が自分が行っていることがおかしいとわかっていてもやめることができません。
 


・嘘で他人を操る

 依存症ではアルコールなど欲しさに嘘をつくようになります。
 DVでも、ごまかしたり、相手を支配するために嘘をつくことがあります。

 

・予測できない環境

 いつ暴力が起こるのか予測がつかない不安定な環境を作ります。

 

・家族の役割の決めつけ

 依存症においては、依存症患者のために家族の役割が歪んでしまいますが、DVにおいても自分に都合の良いように家族の役割を押し付けます。

 

・回復しそうになっても、また元に戻ってしまう

 DVには症状にサイクルがあり、自らの問題を認めて更生に取り組む時期もありますが、多くの場合またすぐに戻ってしまいます。

 


<異なる点>

・底つきがない(起こりにくい)

 依存症の場合はエスカレートする先に、精神的、肉体的、社会的な破たんが必ず起こりますが、DVの場合は、加害者も巧妙に隠そうとするために、必ずしも底つきが起こるわけではありません。

 

・効果が低減しない

 アルコールや薬物の場合、使用するごとに効果は低下していきます。同じ効果を得るためには量を増やす必要があります。しかし、DVの場合はそうした低減は見られないとされます。

 

・被害者と加害者は、「共依存」というわけではない

 アルコール依存においては、その家族は依存症患者が依存するのを助ける共依存のような状態にあることが多いとされます。しかし、DVの場合は必ずしもその定式は当てはまらないとされます。ただし、「歪んだ絆」と呼ばれるような暴力された側が加害者に対して歪んだ形で愛着を持たされるような状態は起こる場合があります。

 

 

 

DV(ドメスティック・バイオレンス)の加害者のタイプ

・周期的に感情が爆発するタイプ

 DVには、緊張の高まり-暴力-反省、というサイクルがあることが知られていますが、それが見られるのが典型的なタイプです。さながら二重人格のように、優しい時は配偶者を思いやる人間ですが、感情を爆発させるときは別人のように暴力的になります。そして、しばらくすると、反省をして優しくなりますが、また怒りを爆発させと周期的に繰り返します。

 

・抑制的、回避的なタイプ

 自分の感情を過剰にコントロールするタイプで、自分でも何が原因でイライラしているのかがわからないです。
フラストレーションは絶えずありますが表に現れないままに蓄積され、突然、暴力となって表れます。
 完璧主義で、相手を過剰に支配しようとしたり、あるいは反対に、相手に対して距離を置き、回避的であったりします。
 暴力の方法としては、精神的な虐待や、妻を社会的に孤立されたり、自立を阻んだり、といったことが見られます。

 

・サイコパスなタイプ

 被害者の感情や苦痛、暴力が生む結果への想像力の欠如。過去の問題への反省の無さ。暴力を行っている時も内心は冷静であるなどの特徴がある。

 

家庭内暴力、DV

 

 

暴力への対処法

<DV>

 DVは、まずは、被害者側が身の安全を確保することであり、加害者へのケアとは別に考える必要があります。加害者の治療・更生は被害者側や家族の仕事ではありません。あくまで加害者自身の問題であり、専門家に任せることが基本です。
 DVはサイクルがあり、被害者が反省したり優しくなる時期があっても、それもDVのサイクルの一つです。その状況に同情してDVのある環境にとどまっていはいけません。
 病識を持つことが難しい問題のため、個別のカウンセリングなどではなかなかケアの俎上に乗りにくい問題です。

 

1.被害者は、基本的には、公的な相談窓口に相談する

 DVは、2001年にDV防止法が施行され、公的な機関に窓口ができ、支援が提供されています。
 地域にある、配偶者暴力相談支援センター、女性相談センター、保健福祉センター、警察署の生活安全課、法務局の女性の人権ホットライン、弁護士会が行っている電話相談などにまずはご相談ください。
 ※緊急の場合は、警察に通報することもためらうべきではありません。

 ただ、公的機関の支援は、基本的に被害者の支援であり、避難場所の提供、離婚を前提とした手続きが行われます。

 

2.離婚をせずに、家族の再生、加害者の更生を望む場合

 次項にもあるように、民間のメンズカウンセリングなどを提供する団体にまずは相談してみましょう。

 ただし、上にも書きましたように、加害者の問題は加害者の責任です。加害者の世話を焼き・支援するために自身や家族が暴力を受け続けたり、生活が制限されるということはあってはいけません。

 

3.加害者側の支援について

 民間のメンズカウンセリングなどを行う団体が提供するグループワークに参加することが有効です。

 


<家庭内暴力>

 家庭内暴力は、成長の過程で抱える課題解決をサポートする機能の欠如、閉じられた環境、などが原因とされます。そのための機能を回復すること。環境を変えることが必要になります。
 ただ、親子だけでは悪循環に陥って、堂々巡りになっていますから、多くの場合、専門家の助けを借りることが求められます。
 


 1.子どもの成長や、家庭内暴力(ひきこもり、不登校など)を理解するために関係する書籍を読む

 悪循環にある時に必要なことは、「これまでと同じことをしない」ということです。そのためには、メカニズムを知ることが必要です。
 下記のような本が参考になります。
  二神能基「暴力は親に向かう いま明かされる家庭内暴力の実態」
  山中 康裕「親に暴力をふるう子どもの心がわかる本」
  斎藤環「「ひきこもり」救出マニュアル実践編」

 

2.専門機関に相談する

 子どもを専門とする臨床心理士などのカウンセラーや、公共の相談機関などにご相談されることをお勧めします。児童相談所、大学が開設している心理教育相談室、精神保健福祉センターなど地域の窓口でご相談ください。


3.暴力が激しい場合

 ケガをするほどの激しい暴力の場合は、警察への通報もためらうべきではありません。一時的に親が別のところで生活するなど、避難することも有効です。避難すると、後悔や怒りなど様々な感情が湧きますが、最後はもはや暴力が通用しないというあきらめを感じます。そこで、悪循環を断つきっかけを得ることができます。

 

 

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(参考)

 ドナルド・G.ダットン「なぜ夫は、愛する妻を殴るのか? バタラーの心理学」
 レノア・E・ウォーカー「バタードウーマン 虐待される妻たち」
 ランディ・バンクロフト「DVにさらされる子どもたち 加害者としての親が家族機能に及ぼす影響」
 ランディ・バンクロフト「DV・虐待加害者の実体を知る あなた自身の人生を取り戻すためのガイド」
 豊田正義「DV-殴らずにはいられない男たち」
 信田さよ子「加害者は変われるか? DVと虐待をみつめながら」
 味沢道明「DVはなおる」
 田中信市「家庭内暴力 嵐をのりこえるために」
 大河原美以「怒りをコントロールできない子の理解と援助 教師と親のかかわり」
 二神能基「暴力は親に向かう いま明かされる家庭内暴力の実態」
 山中 康裕「親に暴力をふるう子どもの心がわかる本」
 斎藤環「「ひきこもり」救出マニュアル実践編」

 

 

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