買い物依存症の特徴、本当の原因と克服するために必要なこと

買い物依存症の特徴、本当の原因と克服するために必要なこと

[「買い物依存症」の原因と治し方「依存症」の原因と治し方]


 

 今回は、買い物依存症についてまとめてみました。

 ⇒関連する記事はこちら
  「依存症(アルコール等)とは何か?真の原因と克服に必要な6つのこと」 

 

買い物依存症

 

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私たちにとって、「買い物(消費)」とは何か?~自己表現としての消費

  普段、私たちは、スーパーやコンビニ、インターネットなどで買い物をしています。
生活必需品もあれば、おしゃれ、ぜいたく品、スポーツ、旅行などレジャーまで「買い物(消費)」の内容、手段、目的は本当に多様なものです。


 「買い物(消費)」については、経済学、経営学から社会学、心理学まで様々な視点での研究があります。消費とは、単に、モノとお金を交換して物質的な不足を満たすことではありません。私たちにとって消費とは、自己の顕示・自己表現であり、身体の拡張や変化であり、それ自体快楽でもあります。

 生活必需品であっても、例えばお米でも、よいブランドのものを買うと心地よかったり、社会的なステータスを感じます。逆に、あまりにも安いと貧しさから少し胸が痛むこともあるかもしれません。単におなかが膨れれば良いというものではありません。


 洋服などは典型的ですが、おしゃれな服を買うと、途端に自分が何か別のものになったような大きくなったような感覚を感じることがあります。洋服自体が身体が拡張した存在のように感じられます。自分自身の価値そのものが高まったように感じるのです。

 このように、買い物(消費)とは私たちの自己そのものに密接にかかわる行為です。そのため、特に消費社会、自己愛型社会である日本においては、心の悩みが買い物依存症という形で表れやすいのです。

 

 

 

買い物依存症の心理とメカニズム

・脳の報酬系の失調

 買い物依存症とは、依存症の一種です。依存症には大きく分けて2種類あるといわれます。物質依存とプロセス依存です。買い物依存症は、プロセス依存に含まれます。プロセス依存とは、特定の行動を行うことで脳内で快感をもたらし、生きづらさやストレスなどの苦痛を癒すことです。

 依存症全般に共通するのは、脳内の報酬系と呼ばれるメカニズムの失調です。
 私たちは、子どもの頃は我慢ができず、目の前のお菓子と少し先のご褒美を天秤にかけても、我慢ができません。わかっていても目の前のお菓子をとることも多いです。
 これは脳がまだ成熟しておらず、報酬系が短期のサイクルで回っているために起きる行動です。子どもから大人になるにつれて、長期の成果を得るまで我慢をしながら行動をすることを身に着けていきます。
 
 依存症はこれらを逆に回してしまいます。買い物からの快感といった強い刺激が短期で与えられることで、長期の報酬を我慢するということが利かなくなり、徐々にサイクルが短くなり、依存状態へと陥ってしまうのです。

 

 


・未熟な自己治療~乏しいネットワークの結果としての買い物依存

 依存症には、自らが抱える苦痛を目の前にある拙い手段で解消しようという「未熟な自己治療」という側面があります(「自己治療仮説」)。

 人間は強いストレスを被った際、本来はうまくストレスをそらしたり、緩やかに他者に頼りながら解消していきます。しかし、依存症に陥る人は、ネットワークが乏しく、頼る先が自分や目の前の「買い物」しかありません。
 
 緩やかにいろいろなものに頼ってして、場合によっては環境を変えてという普通のスタイルをとることができず、一人で何とかしようと工夫(治療)する果てに、にっちもさっちもいかなくなる、というのが買い物依存症という症状なのです。

 


・ストレス解消の手段としての消費

 自分へのご褒美という口実で、高価な品物にお金を使ってストレスを発散する、という行為をよく耳にします。ストレスの高い職についている人に多く見られます。お酒で発散するといったことと同様に、適度であれば問題とはなりません。

 “依存症”といえるかどうかは、ストレスが去るとそうした行為は軽減、消失するかにあります。依存症の場合は、常に漠然とした苦痛があるために、買い物依存はなくならず、経済的に困窮するまで続くことになります。
 

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買い物依存症の原因とはなにか?

 依存症とは、単一の原因で起こるわけではなく、複数の要因が重なって生じます。
その要因として考えられるものをまとめています。


・養育環境の影響~トラウマや愛着障害

 依存症の要因として最も大きなものは、養育環境の影響です。養育環境の問題は愛着障害(不安定型愛着)を生むことが分かっています。また、長期にわたるストレスにさらされることでトラウマを負うこともあります。

 トラウマや愛着の問題を抱えていると、自己愛が傷ついた状態となり、常に不安やむなしさを抱えることになります。また対人関係がうまくいかないことが多く、依存症に陥りやすくなります。

 ⇒関連する記事はこちら
  「トラウマ、PTSDとは何か?あなたの悩みの根本原因と克服

  「「愛着障害」とは何か?その症状・特徴と治療、克服のために必要なこと


 
・過度なストレスや居場所の喪失 

 職場や家庭などで、自分の居場所を失ったり、過度なストレスにさらされることが原因となることがあります。買い物によってストレスを解消し、自分の居場所を回復しようとするのです。

 


・性格気質(“意志が弱い”ために依存になるのではない)

 依存症に陥る人は意志が弱いのでは?というイメージがありますが、実はそうではありません。むしろ逆で、一般の人よりも意志が強く、真面目で完璧主義で負けず嫌いなところがあります。ただ、対人関係が苦手で自尊心が低いために、うまく人に頼ることができません。さらに、依存症自体は脳の報酬系の失調によって習慣化されますので、意志の問題に関係なく陥る病気です。

 


・消費社会の影響

 社会的環境も影響を及ぼします。現代では消費を誘う広告や、カードなど支払より先に欲望を満たす手段も多く、買い物依存症を生みやすい土壌があります。貧しい社会や社会主義社会などでは買い物依存症は起こりえません。

 

 

 

買い物依存症の症状と特徴

・繰り返される買い物による借金

 買い物をして一時的に苦しさが解消されても、再び襲ってくるために、買い物が繰り返されるようになります。そして、自分の経済的な限界を超えて買い物を行ってしまい、カード、キャッシングなどで借金を抱えてしまいます。

 

 

・否認(病識の欠如)

 依存症の特徴として、自らが依存症であることを否定する、ということがあります。
 依存症の背景には自己愛の傷つきが潜んでいますが 依存症を認めることで「自分はおかしな人間」と見られてしまい、さらに自尊心が傷ついてしまうことを恐れてしまいます。

 

 

・症状の多様さや波

 依存症は典型的な症状ばかりではなく、ケースによってその在り方は様々です。
 ある時はぴたりとやめたり、症状に波があったり、といったこともあります。
 典型的な症状ではないから大丈夫と思っていたら、実は依存症だったという場合もあり、注意が必要です。

 


・他の依存症との併存(クロスアディクション)

 依存症では、他の依存症との併存もしばしば見られます。依存症は、その根本の要因は同じであるため、原因はそのままに依存の対象が変わるといったこともあります。複数の依存症に罹ったり、移行したりすることをクロスアディクションと言います。

 

 

 

買い物依存症を克服するために必要なこと

・自分が買い物依存であり意志の力では解決できない、という自覚を持つ 

 まずは、自分の状態が「買い物依存」という病気であり、意志の力では解決できないことを自覚することが必要です。自覚をする上で大切なことは、自分が悪いと思ったり、ダメな人間だとして反省したりしない、ということです。そうした行動はさらに悪化させてしまいます。“自覚をする”とは、問題が「依存症」という病気のせいであり、自分には問題がないと、自分を免責することでもあります。

 

 

・イネーブリングに注意する

 家族や周囲の人が、心配したり、世話を焼くことで、かえって依存症が継続することを「イネーブリング」といいます。なぜなら、心配される、憐みのまなざしが本人をさらに苦しめ、それを癒すために依存行為を行わせてしまうからです。
 家族や周囲の人は「あなたは大丈夫」と思いながら、適度な距離を置いて本人を支援することが大切です。

 


・不安定型愛着、トラウマをケアする

 依存症の原因において、大きな部分を占めるものが、愛着やトラウマの問題です。
 これまでの養育環境において傷ついてきた自己愛を癒す必要から依存状態に陥ってしまっています。愛着やトラウマのケアについては、専門家の助けが必要になります。

 

 ⇒関連する記事はこちら
  「トラウマ、PTSDとは何か?あなたの悩みの根本原因と克服

  「「愛着障害」とは何か?その症状・特徴と治療、克服のために必要なこと

 


・自助グループに参加する

 買い物依存についてもDAと呼ばれる自助グループが存在します。
 自助グループでは、基本的には当事者たちが言いっぱなし、聞きっぱなしで自分の体験を話すことが行われます。
 

 

買い物依存症3


(参考)

菅原道仁「そのお金のムダづかい、やめられます 脳のしくみを知るだけで、浪費は“自然と”消えていく」
エドワード・J・カンツィアン、マーク・J・アルバニーズ「人はなぜ依存症になるのか」
クレイグ・ナッケン「やめられない心」
M・クーハー「溺れる脳」
渡辺登「依存症のすべてがわかる本」
岡本卓、和田秀樹「依存症の科学」
廣中直行「依存症のすべて」
信田さよ子「依存症」
斎藤学「嗜癖行動と家族」

など

 

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