悩みの原因や解決方法

摂食障害とは何か?拒食、過食の原因と治療に大切な7つのこと

[「過食」の原因と治し方「拒食」の原因と治し方「摂食障害」の原因と治し方「依存症」の原因と治し方悩みの原因や解決方法]


 

 過度に体重を制限したり、過食がやめられなくなったり、など多彩な症状を見せる摂食障害。女性に顕著に見られる症状です。「ダイエットのし過ぎ」など誤解も多いです。
 今回は摂食障害についてまとめてみました。

 

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摂食障害とは何か

 簡単にいえば、「痩せていることにしか自分の存在価値を見いだせない」という心の病です。

 身体の疾患ではなく精神的な要因による病気と考えられています。体重をコントロールすることで、自分の価値や人生への不安を緩和させようとします。
 拒食のみ、過食もあり、など様々なタイプがありますが、基本的にはコインの裏表のように同じ病と考えられています。

 

摂食障害のイメージ2


摂食障害の歴史

 摂食障害(Eating disorder)は、拒食症として認識されることからスタートしました。
拒食症に関する記述は、1689年が初とされます。「消耗病」という名称でした。日本でも、江戸時代に「不食病」「神仙労」という拒食症に相当する病気についての記述があります。
 1873年に「神経症性無食欲症」という名称がつけられるようになります。
 1930年頃までは、シモンズ病(新陳代謝が低下し著しくやせる病気)と混同され、下垂体の病気とされていました。
 社会的に問題になるほどまで増加したのは、冷蔵庫が普及した1950年代のアメリカでした。

 過食症についても以前からそういう症状があることは知られていましたが、明確に捉えられるようになったのは、1979年のことです。

 1980年のDSM(米国精神医学界の診断マニュアル)で「摂食障害」という概念が登場します。

 かつては「思春期やせ病」と呼ばれていたように、10代、20代の中流家庭の女性がかかる病でした。昨今は幅広い家族環境で見られ、30代、40代の患者も増えています。

 


摂食障害の種類

 基本的に、「やせたい病気」ですが、幾つかのタイプが存在しています。

 

「拒食症」(神経性食欲不振症/神経症性無食欲症:anorexia nervosa:AN)

 摂食障害に該当し、体重が標準の85%以下の場合。

 「制限型」(ANR):いわゆる拒食のみのケースです。
 「むちゃ食い/排出型」(ANBP):過食も見られるケースです。

 

「過食症」(神経症性過食症/神経症性大食症 bulimia nervosa:BN)

 過食症状があり、体重が標準の85%以上ある場合。単なる食べ過ぎなどとは異なります。「やせたい願望」から、反動で過食を行います。スイッチが入ると取り憑かれたように食べ始めて、嘔吐などによって終わるものです。

 「排出型」(BNP):嘔吐や下剤、浣腸の乱用があるケースです。
 「非排出型」(BNNP):代償行為はないが、絶食や過度な運動はあるケースです。


「特定不能の摂食障害」(eating disorder not otherwise specified:EDNOS)

 「むちゃ食い障害」(BED):体型や体重へのとらわれがそれほどない症状です。しかし、過食には罪悪感があります。体重は標準内。代償行為はないが、それ以外は過食症と同じ症状。

 その他:体重は標準の85%以下だけど生理はある人、過食の頻度が基準を満たさないものです。嘔吐や下剤の乱用、チューイング(食べ物を飲み込まずに吐き出すこと)を続けている場合なども含まれます。

 

 

摂食障害の患者数

 1998年の調査では、年間の有病率は、拒食症は12,500人、過食症が6,500人、特定不能の摂食障害が4,200人となっています。9割が女性で、拒食症は10代で、過食症は20代での罹患が多いとされます。摂食障害による死亡率は日本では7%となっています。自殺も多く、精神障害の中でも最も致死率の高い症状です。

 


摂食障害のチェック

以下に該当する場合に摂食障害とされます。

 

 □年齢と身長から計算される正常体重の最低限(85%)以上を維持することを拒否する。

 □体重が不足している場合も、体重が増える肥満への恐怖がある。

 □自分の体重や体型の感じ方の障害。自己評価が体重や体型に過剰な影響を受けている。または現在の低体重の重大さを否認する。

 □女性の場合、3回以上続けて月経がない。
  (ホルモン治療を受けて生理がある場合は、無月経とみなす)

 □過食については、週2回以上、3ヶ月続く場合に診断される。

 

 

 

 

摂食障害の原因

発症のきっかけ

 ほとんどのケースで思春期に発症します。拒食症は、思春期で価値観が多様化して人間関係が難しくなる中、人生がコントロールできなくなった不安、従来のやり方が通用しない不安や自信の無さを解消し、安心感と達成感を得るために生じます。自分の体重をコントロールすることで、絶対の安心や自信を得ようとします。基本的に、「自己への不信や不安の病」という性格があります。
 
 一方、過食は、2つのケースが存在します。
 一つは、拒食の反動で生命維持のために生じます。栄養が不足している状態を補うために身体から突き動かされるように過食がやめられなくなります。
 もう一つは自分を嫌いと思う気持ちが蓄積されて、人に振り回されるもやもやを解消するために生じるタイプです。後者は「対人関係におけるもやもや」が特徴です。

対人関係の問題のイメージ

 

発症の背景

・遺伝的要因

 他の精神障害と同様に、摂食障害には遺伝的要因(体質)が存在します。もちろん、遺伝だけで発症するかどうかが決定するわけではなく、環境要因と影響しあって決まります。セロトニンや、脳由来神経栄養因子、オピオイドに関する遺伝子との関連が指摘されています。
 女性に圧倒的に多いことから、性別もリスク要因として挙げられています。

 

・性格気質

 摂食障害にはよく見られる性格気質があります。

 ・自分で努力するタイプ
 ・人に頼ることが苦手
 ・自己主張が苦手(特に周りの人へのお願いなどは苦手)
 ・不安の強い人
 ・環境の変化への柔軟性の欠如(セットシフトの困難さ)
 ・全体を見渡すことが苦手(セントラルコヒアレンスの障害)
 ・好奇心が強い人は過食に陥りやすい
 ・保守的で慎重な人は過食にはなりにくい
 ・拒食症の人は石橋を叩いて渡るタイプが多い

 

・文化的背景

 現代における、痩身を美とする風潮や健康志向からのダイエットなど「痩せていること=善、美」とする情報にあふれています。そうしたことが摂食障害にも影響している、との指摘があります。

 

・家庭、学校、職場の環境

 両親の不和や不適切な養育などが摂食障害の一因になるとの指摘があります。嗜癖モデルでは、依存症は家族関係の病であるとされます。

 家族や友人からダイエットや容姿へのネガティブなコメントや過度な期待が発症のきっかけになることがあります(からかわれ体験)。
 
 学校や職場での人間関係での否定的な体験、挫折経験が背景となることがあります。

 また、部活やスポーツ選手で体重を維持することが求められる競技(バレエ、体操競技、陸上競技など)で、摂食障害に陥る危険性が指摘されています。

 

・トラウマ/愛着障害

 海外では、摂食障害の3~5割に性的虐待の被害経験があるとされます。
 全てのケースではありませんが、トラウマ、あるいは愛着障害は摂食障害の背景として考えられます。
 特に過食を伴うタイプには、トラウマの関与が指摘されています。
 ⇒参考となる記事はこちら
  「トラウマ、PTSDとは何か?あなたの悩みの根本原因」
  「「愛着障害」とは何か?その症状・特徴と治療、克服のために必要なこと」


・発達障害(パーソナリティ障害)

 過度のこだわりや、対人関係がうまくいかない、など摂食障害の背景には発達障害が潜んでいることがあります。発達障害様状態は、愛着障害やトラウマによるものなど後天的な要因でも生じることがあります。
 ⇒参考となる記事はこちら
  「大人の発達障害の本当の原因と特徴~様々な悩みの背景となるもの」

 摂食障害は、自己愛的なパーソナリティ障害である、との見方もあります。昨今は、精神医学にも発達障害の観点から見直しが進んでいます。
 パーソナリティ障害とは実は発達障害のことではないか、とも指摘されています。世の中の価値を痩せていることに収斂させて人生や対人関係の問題に対処しようという極端な精神状態は、先天的にせよ後天的にせよ発達の未熟さということが背景として潜んでいると考えられます。

 

・依存症や強迫性障害との関連性

 摂食障害については、依存症の一種とする考え方(嗜癖モデル)、強迫性障害の一種とする考え方(強迫性スペトラム障害)、境界性パーソナリティ障害から説明しようとする考え方などさまざまなものがあります。
 特に、過食や嘔吐などは、その苦しさから爽快感が得られるなど、依存症に近いものではないかと考えられてきました。
 ただ、アルコールやギャンブルと違い、過食は必ずしも本人が望んで行っているわけではないことなどから、摂食障害全体を説明できるかについては、疑問ともされます。
 ⇒参考となる記事はこちら
  「依存症(アルコール等)とは何か?真の原因と克服に必要な6つのこと」

 

 

摂食障害のイメージ3

 

 

 

症状の経過

 ケースによって経過は様々ですが、典型的な流れ経過をまとめてみました。

 

 まず、思春期に発症することが多く、思春期に特有の不安定な心性が発症の前提となります。それは、急激に人間関係が難しくなったり、価値観の多様化、アイデンティティの確立、親からの自立の時期と重なるからです。その時期には通常は、友人や先輩、先生、親などから適切なサポートを受けて荒波を乗り越えていくものですが、不安定な愛着、トラウマ、気質など幾つかの条件から乗り越えることが難しい場合に、絶対的な自信、安心を得ようと「痩せる」ということに価値を見出すようになるのです。

 

 拒食の初期は、自信がつくため爽快になり、明るく活発になることが多いです。不安な環境を乗り越える手段を自分で獲得したという感覚があるわけですし、実際に痩せることで達成感を得ることが出来ます。痩せていることに不都合を感じないことも多く、病識は欠如していることが多いのです。 特に、自分が太っていると感じているため(ボディイメージの障害)、さらに拒食に取り組み続けます。


 しかし、徐々に「痩せ」への願望は恐怖症へと変わっていきます。痩せることによって、達成感を得るのではなく、義務感と恐怖を感じるようになります。
 

 拒食が進みすぎて痩せていってしまうと、反動として過食が生じるようになります。痩せ過ぎの状態に対して危機を回避するための自然な身体の衝動です。拒食の人は、回復期にも過食になることも多いとされます。

 しかし、本人は不安から逃れて絶対の自信を得るために行っている拒食の「失敗」として感じられるため、過食している自分に罪悪感や絶望感、無力感、敗北感、惨めさを感じるようになります。
 過食とは、身体から沸き起こる食衝動によって、ある種の解離状態になって、我を忘れて食べてしまいます。食欲以外の要因によって食べることが「過食」ですから、本人に喜びはありません。

 

 過食による敗北感をリセットしようと、代償行為を行います。嘔吐などは、その苦しみからすっきりした感覚を持つことが出来ますが、長続きせず、特に痩せすぎると嘔吐も難しくなってきます。過食になると、食べ物を入手するために万引きなど問題行動が見られるようにもなります。

 

 拒食は自分が望んだ自己コントロールの結果ですが、過食は自己コントロールできないものであるため、過食の発症をきっかけに医療機関を訪れるケースは多いです。拒食のみの場合は、本人が治療の必要を訴えることはありません。体重の減少や問題行動などを見て家族などが医療機関への受診を勧めて来るのです。
 
 家族は、本人を叱責したり、説得したりしますが、効果はありません。本人は病気との認識がないこともありますし、そもそも病気の本体は「自信のなさ、不安、不信」にあるため、拒食は本人にとって「自己治療の手段」であり、浮き輪とも言えるものです。拒食は存在意義そのものです。 

 その手段を奪われることに激しく抵抗する、否認することは当然といえます。そのため粘り強く、摂食障害の身体に及ぼす影響を伝えながら、本人の根底にある自信の無さや不安に寄り添うことが必要です。


 身体への影響としては栄養失調や代謝の不良もありますが、嘔吐によって歯を失ったり、不整脈による突然死や自殺なども起こります。
  

 徐々に自己愛を育めるように環境を整えて、精神的な支えが生まれるようにサポートをしながら、健康な体を維持するために必要なケアを行っていき、回復していきます。

 

 あるときは拒食で、ある時は過食が見られというように、症状は変化していきます。過食、拒食の症状の行き来自体は、同じ摂食障害の中の程度の問題のため、重大な意味はありません。

 過食のみ、拒食のみなどの場合のほうが治りやすいとされます。

 ほとんどんケースで思春期に発症し、7割は早期に回復していきます。しかし、最近は慢性化するケースも増えてきています。

 


併発する病気

・うつ病

  うつ病を併発していると、抑うつ的、早朝覚醒、食欲がなくなったりします。
  抑うつ状態とうつ病とは異なりますので、区別する必要があります。

  ⇒「うつ病の真実~原因、症状を正しく理解するための10のこと

・気分変調性障害

  自分のネガティブな性格をなんとかしようとして、摂食障害に陥ることも多いです。

  ⇒「双極性障害(躁うつ病)の治療と理解のために大切な4つのポイント

・社交不安障害 

  対人関係の問題から生じるために、症状がとても類似しています。

  ⇒「対人恐怖症、社交不安障害とは何か?真の原因、克服、症状とチェック

・強迫性障害

  ⇒「強迫性障害を克服するために知っておきたい9つのこと~原因、症状、チェック

・身体醜形障害

 

・パニック障害

  ⇒「パニック障害とは何か?本当の原因と克服に必要な5つのこと

 など

 

 

 

摂食障害の特徴

<メインとなる症状>

痩せ願望・肥満恐怖 

 痩せることを強く求め、標準体重よりも低いにもかかわらず、少しでも体重が増えることに強い恐怖感をもっています。

 

・ボディイメージの障害 

 自身が痩せていることを認識していません。逆に太っていると認識し、自分の外見を否定的に捉えています。

 

・食行動の異常 

 多彩な行動があります。全く食べない場合もあれば、特定のものを食べない。食べるタイミングが決まっている、など。チューイングや、食べずに部屋に食べ物を溜め込む食物貯蔵なども見られます。

 

・過食

 過食も多彩な症状がありです。家では食べないが、外ではいっぱい食べる。お菓子ばかり食べる。こっそり隠れて食べる。家族に買いに行かせる、など

 

・無月経

 栄養が少なくなった状態で生じる生体防御反応と考えられています。身体の自然な反応ですから、無理に薬で戻さなくても構いません。拒食が治ると正常化していきます。体重が戻っても生理が戻らない場合は、産婦人科にかかるよいでしょう。

 

・パージ/代償行為

 特に過食が見られる場合は自発性嘔吐、下剤や浣腸の使用、極端な運動・ダイエット、絶食が行われます。
 

 

<派生、あるいは背景となる症状>

<精神的な症状>

・病識の欠如 

 自分が摂食障害であるという認識を持っていないことが多いです。特に拒食の場合は病識の欠如が多く見られます。これは、本人が不安に対処しようとして始めた行為であることと、症状が進むと低栄養によって判断がつかなくなるということも病識の欠如の原因です。過食が見られるようになると、自分の意志によらない症状であるため、病識をもち、医療機関に駆け込むことがあります。

 

・完璧主義

 摂食障害の患者は小さい頃から完璧主義の傾向があり、きっちりとしていて、優等生が多い。

 

・対人関係の障害

 対人関係を築くことが苦手で、対人不信があります。成長する中で培われた対人関係における問題や、発達障害なども疑われます。

 

・他者の不在

 本人にとっては自分の中だけで完結するような孤独の中で痩せることに取り組んでいるような感覚があります。実際、摂食障害に陥ることで人間関係も少なくなって、心から信頼できる人は限られるようになります。

 

・抑うつと不安

 肥満への不安以外にも対人関係への不安や、抑うつ、自己嫌悪や無力感が生じることがあります。

 

・自尊心の低下

 摂食障害の背後には自尊心の低下があるとされます。過食の場合は、過食行動や嘔吐など代償行為によって自尊心をさらに低下させています。

 

・症状による縛られ感

 摂食障害の症状が進むことで、決まったものを食べないといけない、という義務感、強迫感が生じます。

 


<身体的、行動面での症状>

・まきこみ

 人に食べさせたがったり、人の食べ物を気にしたり、人が自分よりも食べないと不安になったりすることがあります。 

 

・過活動

 拒食で痩せ過ぎの場合に生じるもので、せかせかと動きまわったり。一日に何度も体重計に乗ったりします。 

 

・問題行動

 摂食障害には万引きが良く見られます。摂食障害の6割が経験するとされます。過食になる際に生じるとされ、欲しいものを我慢できなくなってしまうために起きるとされます。過食症の排出型の患者に多いとされます。

 

・運動強迫

 強迫的に運動を続ける。

 

・自傷行為

 摂食障害では自傷行為も多く、約3割が経験するとされます。

 ⇒「リストカット、自傷行為の本当の心理、原因・理由とその対応

 

・日常生活での制限、対人関係での制限

 他人と食事ができなくなることで交友範囲が狭まったりなど様々な制限を受けるようになり、背景にある対人関係の障害がさらに促進される事にもなります。

 

・骨粗しょう症

 無月経によって、骨粗しょう症にもなりやすくなります。思春期であれば身長などの発育が遅れることになります。

 

・睡眠障害

 栄養が少なくなることの影響のためか、睡眠が浅くなります。睡眠薬もあまり効果がありません。

 ⇒「心の健康に影響する不眠症・睡眠障害~原因とチェック、克服のための10のポイント

 

・低代謝による「寒さ」

 代謝が下がり低体温になるため普通以上に寒く感じることがあります。

 

・低栄養による倦怠感

・血糖値の低下や、肝機能障害、不眠などの影響で倦怠感を感じることがあります。

 

・死亡のリスク

 不整脈による突然死や自殺などがあげられます。全体の7%で見られます。

 

・その他

 貧血、肝機能障害。感染症のリスクの増大。便秘。脱毛。脳の萎縮。集中力の低下。吐きだこ。嘔吐の際の胃酸で歯が溶けて失われる。

 

 

 

摂食障害の克服、治療のために必要な7つのこと

 摂食障害は身体や行動に症状が現れますが、“摂食の障害”ではなく「不安、自己不信」を特徴とする心の病です。根底にある、不安を解消していくことが必要になります。
 
 そのポイントを纏めてみました。

 

 1.摂食障害は「こころの病気」と捉える。

 摂食障害とは、”摂食の障害”ではなく、不安や自信の無さを主とする「こころの病気」です。本人の人格や意志の問題ではありません。病気であるという認識を本人も家族も持つことが大切です。本人を責めたりする必要はありません。摂食障害を本人の個性として擁護する考え(プロアナ)もありますが、基本的に病として捉えることが必要です。

 その際、人格の問題など本人を異常だとはとらえないことです。自分は人格に問題があると周囲から思われて安心が得られるはずがありません。摂食障害は、本人が環境によって否応なくそうした状態に陥っていることを理解して関わることが大切です(問題が外にあると適切に理解することを、外部化といいます)。

 

 2.本人の自信のなさ、不安に寄り添い、安心を提供する。

 摂食障害は、自信の無さや無価値観、人生をコントロール出来ないという不安や、対人関係のモヤモヤから生じています。克服のためには、根底にある不安を解消することが必要になります。
 その不安というのは、単に気のせいや本人の思い込みといったような軽いものではありません。本人にとっては寄る辺なき不安に襲われています。本当は周囲に頼ったりして、自己愛を育てていくわけですが、それが困難になっているのです。
 そこへ、無理に叱責したり、説得したり、強引な治療をすることは泳げない人から浮き輪を奪うようなものです。無理に治そうとしたり、医療機関を受けさせるよりも、安心させることが大事です。
 不安が、愛着障害やトラウマから来ている場合は、トラウマ治療も有効です。

 

 3.「痩せること」以外に安心できること、自信が持てるものを見つける。

 摂食障害は、不安から「痩せていることにしか」価値を見いだせない、自信が持てないという症状です。そのため不安を解消すると同時に、痩せていること以外に価値を見いだせるようにすることが必要です。

 

 4.症状をコントロールしようとしない。

 拒食や過食についてコントロールしようとしたり、周囲が注意しても全く意味がありません。拒食や過食は、未熟な自己治療として生じているともいえます。それらがあるから、生きていることが出来ている、とも言えるわけです。症状は、摂食障害の根本が解決していけば自然と回復していきます。症状には目を向けず、根底にある不安などの問題に寄り添うことが大切です。

 家族や治療者も症状について答えたり、患者と同じ土俵に乗らない様にすることが大切です。説得を試みたり、脅したり、不安にさせたりすることは避けなければなりません。
 ※実際の治療には様々な方法があります。


 
 5.病気についてしっかりと説明し、治療するかしないかは本人の判断に委ねる。

 パンフレットや書籍などで摂食障害とは何かを伝えて、病識の醸成を促すことが大切です。
 その上で、このままの状態で良いこと、悪いことを書き出してもらい、良いことが多ければそのまま経過を見て、悪いことが多ければ治療を受けるかどうかを確認して、その上で治療に取り組むことが大切です。

 

 6.治ること、治った後のことを過度に期待し過ぎない。

 治す、ということに過度にこだわることは回復の妨げとなります。痩せていたとしても、その人なりに社会生活を送ることが出来る、幸せを見つけることが出来る状態が目標とすることが適切で、一方的な価値観を押し付けることは有益ではありません。拒食、過食を完全になくすことを目的にしてしまうとむしろ回復は遅れます。

 特に周囲が治ったあとに、難関大学への合格や有名企業への就職、結婚、など過度に期待がある場合も回復の妨げとなります。焦らず、粘り強く、治らなくても良い、といったくらいの感覚で取り組むことが大切です。

 

 7.環境を調整する。

 家族や、学校、職場でも正しい認識をもち、ストレスを除くことはとても大切です。もし、ストレスの多い職場や学校なのであれば、異動や転職、転校を考えることも必要になります。

 


治療方法

・薬物療法

 摂食障害は心の病ですが、摂食障害そのものを治す薬というものはありません。過食などの結果で生じつ抑うつ状態や併存するうつ病などには抗うつ剤を投与します。過食などの衝動を抑えるためにSSRIが有効とされていますから、場合によっては薬物療法も補助的に用いられます。
 ただ、過食は、拒食の結果生じている身体の正常な反応ともいえます。そのため、過食を薬で抑えるということが有効かどうかは本人の状態などを見ながら慎重な判断が必要です。

 

・精神療法

 摂食障害では、基本的に精神療法が主になります。行動療法、認知行動療法、対人関係療法、トラウマ療法(FAP療法など)があります。

 

 行動療法とは、目標を達成したらそれに応じて行動制限を弱めたりといった学習を利用した方法です。認知行動療法は非常にポピュラーですが、認知を変えていくものです。対人関係療法は、重要な他者との関係を焦点に当てて取り組んでいきます。特に過食に対して効果があるというエビデンスが上がっています。

 

 治療者によって対応方針には差があります。いずれの方法を取るにしても、表面的な認知や行動の修正ではなく、本人の自信のなさ、寄る辺のない不安といったものを解消して、自己愛を育んでいく必要がある、ということは共通しています。

 

参考)入院が必要なケース

 著しく痩せていたり、栄養が低下している場合、低体温、脱水症状など身体に陥っている場合などは、入院を検討する必要があります。特に標準体重の75%以下になると様々な不調が現れます。
 入院が必要な場合でも、強制的ではなく、しっかりとした説明による本人の理解を促すことが入院後の治療をスムーズにします。

 

 

 

 ※サイト内のコンテンツのコピー、転載、複製を禁止します。

(参考)

日本摂食障害学会「摂食障害治療ガイドライン」
滝川一廣・小林隆児・杉山登志郎・青木省三=編「そだちの科学25号 摂食障害とそだち」
富澤 治「裏切りの身体-「摂食障害」という出口」
松木邦裕「摂食障害というこころ」
水島 広子「焦らなくてもいい!拒食症・過食症の正しい治し方と知識」

水島 広子「摂食障害の不安に向き合う」

 

 

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