HSP、繊細さ、感覚過敏、敏感性とは何か?その原因、特徴とケア

HSP、繊細さ、感覚過敏、敏感性とは何か?その原因、特徴とケア

ハラスメント・生きづらさトラウマ、ストレス関連障害

 他人よりも敏感なために生きづらさを感じたり、苦しい思いをしている方はとても多くいます。

 今回は、 医師の監修のもと公認心理師が、HSP(Highly Sensitive Person) 感覚過敏、敏感性についてまとめてみました。

 

<作成日2017.1.4/最終更新日2024.5.27>

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この記事の執筆者

三木 一太朗(みきいちたろう) 公認心理師

大阪大学卒 大阪大学大学院修士課程修了

20年以上にわたり心理臨床に携わる。様々な悩み、生きづらさの原因となるトラウマ、愛着障害が専門。『発達性トラウマ 「生きづらさ」の正体』など書籍、テレビ番組への出演、ドラマの制作協力・監修、ウェブメディア、雑誌への掲載、多数。

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この記事の医療監修

飯島 慶郎 医師(心療内科、など)

心療内科のみならず、臨床心理士、漢方医、総合診療医でもあり、各分野に精通。特に不定愁訴、自律神経失調症治療を専門としています。プロフィールの詳細はこちら

 

<記事執筆ポリシー>

 ・公認心理師が長年の臨床経験やクライアントの体験を元に(特に愛着やトラウマ臨床の視点から)記述、解説、ポイント提示を行っています。

 ・管見の限り専門の書籍や客観的なデータを参考にしています。

 ・可能な限り最新の知見の更新に努めています。

 

もくじ

HSP(Highly Sensitive Person)、感覚過敏、敏感性とは何か?

参考:HSP(アーロンが提唱した”HSP”)とは何か?

HSP(Highly Sensitive Person)、感覚過敏、敏感性の原因、背景

HSP(Highly Sensitive Person)、感覚過敏、敏感性)の特徴

感覚過敏、敏感性の特徴を活かす、ケアする方法

 

 

専門家(公認心理師)の解説

 まず、立場や考え方にもよりますが、経験のある治療者は「HSP」「HSC」という概念には懐疑的な場合が多いと思います。HSP自体は、「感覚処理感受性」として学術的に研究されているものですが、タイプ分けや特別な才能であるといったような俗に流通されているニュアンスはそこにはありません。

 個々人で気質や敏感さに差があることは当然で、それを折り込みながら治療、カウンセリングに取り組むことは大切です。しかし、それは「気質」や「発達特性(発達凸凹)」などと捉えていれば十分であり、わざわざ「HSP」という概念で捉える必要はありません。ある概念を用いることには弊害も多いのです。見立てや概念とは、それによって適切な解決につながるのか、応用や展開の幅が広いことが重要です。展開の幅とは、他の概念や情報ともあわせて検討できるといったことも含まれます。しかし、HSPはそれが独自のものとして他の概念に対して排他的なニュアンスを与えることも大きな問題です。例えば発達障害によるものやその他の悩みにより生じるものが見えなくなってしまいます。反対に、「気質」や「発達特性(発達凸凹)」といったとらえ方であれば、その他の概念も排除することなく、治療を進める中で柔軟に見立てを展開させていくことが可能です。

以上のような懸念も踏まえた上で、活用していく必要があります。

 

 

HSP(Highly Sensitive Person)、感覚過敏、敏感性とは何か?

 感覚が過敏(鈍麻)であるという“症状”を指します。学術的には「感覚処理感受性」として概念化されています。しかし、正規分布で表現される中立的な概念であり、人間のタイプや才能といったことを指すことはありません。

 

 参考:飯村周平「HSPブームの功罪を問う」(岩波ブックレット)

    飯村周平「HSPの心理学」(金子書房)

 

 ※近年耳にするようになった「HSP」は、アメリカの精神科医、エイレン・アーロンによって提唱された独自の概念であり、本記事では、区別しています。

 

・感覚過敏、敏感性の種類

<生物学的、社会的な区分>

・神経学的過敏性

 文字通り、脳や神経、感覚器が敏感であることです。

 

・心理社会的過敏性

 心理面、対社会や対人における不安や恐れの強さなどにおける敏感さです。愛着やトラウマなどによって、過敏性が高まると考えられます。

 

 

<反応による区分>

・感覚過敏:

 特定の刺激に対する過敏さを示すことです。感覚回避とは異なり、回避せずにそれを受容しようとします。注意散漫、多動、身体の不調などを引き起こすことがあります。

 

・低登録(低反応、感覚鈍麻):

 感覚のいき値が少なく、普通であれば反応する程度の刺激にも反応できないことです。味や痛みに気がつかなかったり、呼ばれても反応がなかったり、早い話についていけなかったり、相手の気持ちを察することがうまくできなかったりといったことが生じます。感覚過敏と同居することも多いです。

 

・感覚探求:

 特定の刺激を求める傾向のことです。前庭覚が鈍い子がくるくる回り続けたり、触覚が鈍い子が人にべたべたしたり、といったことがあります。新奇性探求の遺伝気質があり、気分の波がある人が多いようです。

 

・感覚回避:

 苦手な感覚を回避しようとする傾向のことです。環境に気を配り、自分のルールの中で生きていくことをします。

 

 

<感覚器官による区分>

・視覚:

 例えば蛍光灯の光など、普通の人では感じない点滅を感じたり、日光がまぶしいと感じたりする。

 

・嗅覚:

 芳香剤など、普通の人は気にならない匂いも気になる。

 

・触覚:

 背中などを触られるだけでも飛びのくほどの痛みが走ったり、シャワーの水が皮膚に当たるのが針が突き刺さるように感じたりする。

 

・味覚:

 極端に苦手な味があったり、舌触りが苦手な食べ物があったりする。

 

・聴覚:

 ある種の人の声が不快に感じたり、騒々しい場所を苦手に感じたりする。

 

・固有受容覚:

 自分の身体の位置を感じる感覚。自分の背中の感覚がわからなかったり、こたつに入ると足がなくなったと感じたりする。

 

・前庭覚:

 体の傾きやスピードを感じる感覚。まっすぐ立てなかったり、姿勢が悪かったりする。

 

 

 

参考:HSP(アーロンが提唱した”HSP”)とは何か?

 HSP(Highly Sensitive Person)とは、アメリカの精神科医、エイレン・アーロンによって、1996年に提唱された概念です。文字通り、「とても敏感な人たち」ということです。五感のみならず、第六感と言われる直感も含めて他人よりも敏感な人たちのことです。1~2割の方が該当するとされます。
 しかしながら、アーロンが提唱した概念にすぎず、特に精神医学界においてはエビデンスをもって、確立されたものとはいいがたいものです。

 

 そのため、医師やカウンセラーに「私はHSPかもしれません」と伝えても、「敏感なんですね」とは言ってもらえるかもしれませんが、アーロンが提唱した概念のまま取り合ってもらえることは基本的にはありません。

 

 また、確立されていないということは、「HSP」ということにこだわってしまうと悩みの本当の原因から見立てが離れてしまい、より良い治療につながらない恐れもあります。あくまで一つの視点として参考程度にとどめておいたほうが良いようです。

 

・アーロンが提唱しているHSP(Highly Sensitive Person)のタイプ

 アーロンによるとHSP(Highly Sensitive Person)は大きく3つのサブタイプに分けられることが知られています。

・内向的なHSP:HSPの多くが内向的なタイプです。

 

・外向的なHSP:HSPの3割くらいのが該当するとされます。大家族で育った、寮やシェアハウスなど共同生活の経験などがある場合に、他人といることに安心や落ち着きを感じます。ただ、外向的であってもHSPであることには変わりがないために、あまり長時間人と接していると疲弊してしまいます。

 

・刺激を求めるHSP:冒険心に富むタイプで新しい刺激を求めます。ルーチンワークには飽きてしまいます。当然ながら、刺激の影響を受けるので疲弊しやすくもなります。事後に理由なく後悔や自分を責めることもあります。意識して疲弊しすぎないようにバランスをとる必要があります。

 

 

 

 

HSP(Highly Sensitive Person)、感覚過敏、敏感性の原因、背景

 先天的な要因として発達障害、後天的な要因として愛着障害、トラウマ、パニック障害、急性ストレス障害、適応障害(適応反応症)、解離性障害、統合失調症、パーソナリティ障害、甲状腺機能障害、副腎疲労症候群、PMS、神経疾患、内分泌疾患、重金属、薬の副作用などがあげられます。特に発達障害において、感覚過敏は中核的な症状とされます。HSPかどうかを知るには生育歴、家系なども考慮する必要があります。

 

  その人の生来的な気質としか原因がわからないものもあります。ただ、病的な域に達しているものであれば、何らかの発達の凸凹や身体的な要因があると考えられます。

 

 ▶「パニック障害(パニック症)とは何か?その症状を詳しく解説

 ▶「適応障害(適応反応症)とは何か?~その原因を理解する

 ▶「解離性障害、解離性同一性障害とは何か?その原因

 ▶「統合失調症の診断とチェック~症状など7つの視点から

 ▶「パーソナリティ障害とは何か?その原因と特徴を公認心理師が解説

 ▶「境界例、難治性うつ病、人格障害などの意外な原因~甲状腺、副腎疲労など

 

 

・過敏性のメカニズム

・感覚の過剰さ

 過敏性についてはまず、発達的なメカニズムが考えられます。脳は生後8カ月ごろまでに爆発的な成長を見せ、その後、環境に適応するのに不要な回路(配線)は整理されていくことがわかっています。しかし、先天的、あるいは後天的な影響からその整理(刈り込み)が行われていないと、感覚の過敏さやバランスの悪さを生じることになります。

 

・興奮と抑制のバランス 

 神経は興奮しながら感覚を伝えていきますが、興奮と抑制が適度に行われる必要があります。その興奮や抑制がうまくいかずに、感覚過敏(鈍麻)が生じると考えられます。

 

・学習による過敏性(鈍麻)の獲得

 不快な体験や怖い体験があると、NMDA受容体と呼ばれる器官にスイッチが入り、しばらく興奮が続きます。興奮をおさえるGABAやセロトニンの働きが弱いために、過敏性が増強され、感覚のいき値が低くなってしまうと考えられます。反対にある種の感覚を感じにくくなる作用も起きます。

 

 

・感覚過敏と愛着障害やトラウマとの関係

 愛着とは、特定の他者との間に形成される情緒的な絆 のことを指します。通常は、生後半年から1歳半の間に養育者(親)に対して形成されます。鋭敏さが育てにくさにつながったり、ささいなストレスが愛着形成を妨げることが考えられます。理不尽な出来事がトラウマとなり、感覚過敏を生じたり、また、強い敏感さによって、ささいな出来事もトラウマティックな出来事として影響を受けることが考えられます。

 

 安定した愛着の支え(絆)があれば、世界は心地よいものとして感じられ、多少の刺激にも動じることがありません。一方、不安定な愛着を持つ人にとっては自分を守るものがなく、世界は刺激の強い不安定なものと感じられます。

 ▶「「愛着障害(アタッチメント障害)」とは何か?その特徴と症状

 

 トラウマも同様に、意識下にトラウマを抱えている人にとっては平穏な日常も常に危機の状態にあります。震災後の人々がわずかな揺れにも敏感になるように、わずかな刺激にも反応するようになると考えられます。

 ▶「トラウマ(発達性トラウマ)、PTSD/複雑性PTSDとは何か?原因と症状

 

 

・感覚過敏、敏感性と発達障害との関係

 発達障害においては、感覚過敏は基本症状の一つと考えられています。発達障害を持つ人は、脳の神経回路が定型発達よりも多く残存し、それが過敏さを生んでいるのではないか?とするのも。あるいは、発達障害の場合は男性ホルモンが過剰であることに影響を求める「超男性脳仮説」と呼ばれるものなど、いくつもの仮説が示されています。

 

 アメリカの精神科医エイレン・アーロンは、HSPを発達障害とは全く異なる概念として位置づけています。HSPと発達障害とは、他者の気持ちや場の空気への敏感さで区別されるとしています。ただし、現時点でHSPが発達障害などの要因から独立したタイプであるということが裏付けられているとはいいがたいものです。

 ▶「大人の発達障害、アスペルガー症候群とは何か?公認心理師が本質を解説

 

 

参考:アーロンによるHSP概念において原因とされるもの

 HSP(Highly Sensitive Person)は、病気ではなくあくまで気質、素質です。人間に現れる現象は、環境と遺伝との相関で症状が現れるかどうかが決まりますが、HSPについては「不安障害」といったような後天的な精神障害ではなく、生まれ持っての気質とされます。認知や性格の問題ではありません。動物もそうですが、ある一定の割合で敏感な気質を持つ個体というのは生まれます。その敏感さは危機の察知や、創造性として発揮されていたと考えられます。

 

 必ずしも生きづらさとなるわけではなく、環境によって長所ともなれば、短所ともなります。

 

 

 

HSP(Highly Sensitive Person)、感覚過敏、敏感性)の特徴

・生きづらさ、頼るもののなさ、理解されないつらさ

 感覚が過敏であることは直接的な痛み、つらさももたらしますが、より苦しいのは、社会が安全であると思えなかったり、自然体やリラックスを感じにくく、それが深い生きづらさを生みます。安全基地となるような頼る人がいない、「気のせい」「神経質」「わがまま」として理解してくれる人がいない、といった苦しみを感じています。

 

・体調不良

 疲れやすさ、はき気、めまい、頭痛、肩こり、腰痛、しびれ、下痢など。人と接すると極端に疲れてしまう、といったこともしばしば生じます。

 

・イライラや不安

 ささいなことでイライラしたり、不安になったりします。他人のしぐさや態度が気になることがあります。実は本人が気がついていないだけで、LEDや蛍光灯の光のせいだったり、においのせいだったり、といった場合もあります。

 

・対人緊張が強い。人の影響を受けやすい

 人はさまざまな刺激をもたらします。声(聴覚)、スキンシップ(触覚)などに苦手さを感じていると、無意識に人に対して緊張するようになります。人からの影響も受けやすく、言葉を真に受けやすかったりもします。シャーマンのように人からの感情や疲れ、痛みなどをそのまま受け取ってしまうことがあります。

 

・表情の硬く、瞬きが多い

 感覚過敏があると、表情は硬くなったり、能面のようになったりします。また、ドーパミンの影響から瞬きが多くなることも知られています。

 

・ネガティブさや認知のゆがみ

 過敏性があるとネガティブになったり、極端な思考などの認知のゆがみをもたらすことがあります。

 

・関係念慮、関係妄想

 敏感すぎるために人の反応を誤ってとらえてしまうことです。ささいなことで、人を疑ったり、自分が非難されたと感じたり、といったことが生じます。

 

・多動、落ち着きのなさ、不器用さ、パニック

 子どもの場合は感覚過敏が多動や落ち着きのなさ、不器用さ、パニックとして現れることがあります。感覚過敏の原因がわかると改善していきます。

 

・ゲームなどに依存しやすい

 感覚探求の人に多いようですが、安全にコントロールされていて、かつ刺激的なゲームの世界は魅力的で、長時間しても疲れにくく、依存しやすいことが知られています。

 

・創造性や繊細さによって仕事で活躍することも

 感覚が繊細であることは長所ともいえます。調理師やソムリエ、音楽家として活躍したり、動物や植物の飼育などで普通の人では感じ取れないものと感じとれたり、芸術家として活躍したりすることも珍しくありません。普通の会社員としてもその感覚を生かして、活躍されている方もいらっしゃいます。

 

 

参考:アーロンが提唱しているHSP(Highly Sensitive Person)の特徴

・刺激への敏感さ

 光、音、におい、味覚、イメージ、特定の物質など、刺激に対してとても敏感です。どの感覚が敏感であるかは人によって異なります。

 

・人からの影響を受けやすい

 自他の境界が薄く、他者の思考や感情の影響をとても受けやすいとされます。HSPは、良心的であるケースが多く、それも人からの影響も受けやすい原因の一つです。他人から精神的な支配や悪意の影響も受けやすい。また、恋愛においてもより強く巻き込まれてしまいやすい。

・豊かな内的世界を持ち、深く思考する

 豊かな情感と感性を持ち、深く思考します。本や、音楽、絵画、などの芸術を好みます。

 

・直観力が強い

 鋭い直感やひらめきが強く、クリエイティブな職業で活躍する方も多くいます。

 

・自分のペースで行動する

 敏感さゆえに他者からのストレスが強い状況や、複数の仕事を同時にこなさなければならない場面は得意ではありません。ストレスから身を守るために、自分のペースを大切にしようとします。

 

・自尊心が低い

 社会の多数は非HSP(鈍感な人たち)であるため、HSPは評価されず、自分の価値に懐疑的になり、自尊心は低くなる傾向があります。例えば、「繊細すぎる」「内向的だ」というのは、単なる特徴であるにもかかわらず否定的に扱われる経験が自尊心を低くしてしまいます。

 

・自分への要求水準が高い

 HSPは、自尊心が低いために、自らに他界要求を課してしまう傾向があります。頑張って期待にこたえないと好かれないと考えて頑張ってしまいます。

  例えばこのようなことがあります。
  ・常にベストを尽くさなければならない。
  ・自分よりも他人を優先しなければならない。
  ・失敗してはならない。
  ・周囲の人を楽しませねばならない。  
  ・エゴを出してはいけない。
  など

 

・繊細で共感が強いために環境や他人の影響を受けやすい

 HSPはその繊細さや、将来の共感性の高さゆえに、環境や他人の影響を受けやすい傾向があります。そのため、他人の感情を自分のものとしてしまったり、相手を気にしすぎて、自分の本心をうまく表現できない傾向があります。

 

 

 

 

感覚過敏、敏感性の特徴を活かす、ケアする方法

・自らの感覚過敏、敏感性の特徴を知る

 まずは、自らが感覚過敏、敏感性を持っているかどうか、そしてその特徴を知ることが大切です。

・五感(視覚、嗅覚、触覚、味覚、聴覚)について、敏感さや鈍感さがないかどうかをご自身でチェックしてみてください。

 

・対社会、対人関係における敏感さ、鈍感さがないかもチェックしてみてください。
 

 

・環境を調整する(外的環境)

 まず、できることは外部からの刺激の程度を調整する、構造化することです。

・視覚:

 日光が苦手な場合は、遮光カーテンやサングラス(自分が見やすい色の入ったものを選んでください。)、帽子を着用する。照明も蛍光灯や電球は避け、間接照明にしたり、超高機能のあるものを選ぶ、といった工夫を行ってみてください。パソコン、スマホの使用を少なくしたり、テレビのつけっぱなしを減らすことも有効です。パソコンについては、ブルーライトを減らすメガネなどが販売されていますから、そうしたことも試してみてください。

 

・嗅覚:

 芳香剤などにおいのあるものについては、購入前ににおいをチェックしてみてください。家の中でも苦手なものは除くようにしてください。街中ではマスクを着用するなどの工夫も有効です。

 

・触覚:

 着る服は購入前に試着して肌触りをチェックするとよいでしょう。自分でマッサージをすることも過敏さの軽減につながります。

 

・味覚:

 家庭では、調理法を変えてみたり、自分に合う食事を工夫することが大切です。

 

・聴覚:

 騒がしいところは避けたり、家の中であれば、テレビなどの音量は下げる、サッシを二重にするなど音の刺激を減らす努力をしてみましょう。声がうるさい人、大きな人には小さくするようにお願いしましょう。外出時はけん騒を避けるか、イヤーマフ、耳栓やノイズキャンセリングイヤホンなどを着用するなど工夫してみましょう。

 

 

 

・環境を調整する(内的環境)

・愛着やトラウマのケア

 内的環境の調整も大切です。内的環境とは、例えばトラウマや不安定型愛着のことです。頭で記憶された過去の不適切な環境が影響して生きづらさを生んでいることがあります。その場合は、愛着のケア、トラウマケア(ソマティック・エクスペリエンシング・アプローチ、ハコミセラピー、トラウマ解放エクササイズ、ブレインジム、TFT、フラワーエッセンス、その他トラウマケア、など)を受けるなどして、内的な環境を調整することが必要です。

 

 ▶「「愛着障害(アタッチメント障害)」とは何か?その特徴と症状

 ▶「トラウマ(発達性トラウマ)、PTSD/複雑性PTSDとは何か?原因と症状

 

 

・マインドフルネスなどのエクササイズ

 マインドフルネスや呼吸法も有効とされます。自律神経を整えてくれる様です。マインドフルネスと同様であるヨガなどのエクササイズを取り入れてもよいかと思います。

 ▶「マインドフルネスとは何か?~本当の定義、やり方、学び方のまとめ

 

・薬やサプリメントを活用する

 感覚過敏の程度が強い場合は、医師に相談し、SSRIなどを処方してもらうことも効果があります。薬の作用がドーパミン(興奮)を減らし、セロトニンを増やして、感覚過敏を緩和してくれます。

 

 精神科医の神田橋條治氏によると、GABAやエビオス錠などのサプリメントも不安や興奮をおさえるのに効果があるようです(神田橋條治ほか「発達障害は治りますか?」(花風社))。

 

 

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(参考・出典)

エレイン・N.アーロン「ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。」(ソフトバンク文庫)

エレイン・N.アーロン「ひといちばい敏感な子」(1万年堂出版)
長沼 睦雄「「敏感すぎる自分」を好きになれる本」(青春出版社)
イルセ・サン「鈍感な世界に生きる 敏感な人たち」
苑田 純子「敏感すぎて困っている自分の対処法」(きこ書房)
長沼 睦雄「気にしすぎ人間へ クヨクヨすることが成長のもとになる」(青春出版社)

岡田尊司「過敏で傷つきやすい人たち」(幻冬舎)

「Be! 2017年6月号」

飯村周平「HSPブームの功罪を問う」岩波ブックレット

飯村周平「HSPの心理学」金子書房
飯村周平「HSP研究への招待」花伝社

神田橋條治ほか「発達障害は治りますか?」(花風社)

など