解離性障害(解離症群)、解離性同一性障害の症状とチェック

解離性障害(解離症群)、解離性同一性障害の症状とチェック

トラウマ、ストレス関連障害

 医師の監修のもと公認心理師が、解離性障害(解離症群)、解離性同一性障害の症状とチェックについてまとめてみました。

 ※現在のDSM-5-TRでは「解離症群」、解離性同一性障害については「解離性同一症」という名称が用いられています。本記事では、一般に広く知られている「解離性障害」「解離性同一性障害」という名称も併記して解説します。

 

<作成日2016.3.10/最終更新日2026.10.17>

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この記事の執筆者

三木 一太朗(みきいちたろう) 公認心理師

大阪大学卒 大阪大学大学院修士課程修了

20年以上にわたり心理臨床に携わる。様々な悩み、生きづらさの原因となるトラウマ、愛着障害が専門。『発達性トラウマ 「生きづらさ」の正体』など書籍(累計約4万部)、テレビ番組への出演、ドラマの制作協力・監修、ウェブメディア、雑誌への掲載、多数。

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この記事の医療監修

飯島 慶郎 医師(心療内科、など)

心療内科のみならず、臨床心理士、漢方医、総合診療医でもあり、各分野に精通。特に不定愁訴、自律神経失調症治療を専門としています。プロフィールの詳細はこちら

<記事執筆ポリシー>

 ・公認心理師が長年の臨床経験やクライアントの体験を元に(特に愛着やトラウマ臨床の視点から)記述、解説、ポイント提示を行っています。

 ・管見の限り専門の書籍や客観的なデータを参考にしています。

 ・可能な限り最新の知見の更新に努めています。

 

 

もくじ

・解離性障害(解離症群)の症状とチェックする

・正常な体験との連続性と違いからチェックする

・誤診されやすい病気~他の病気との違いからチェックする

 

 →解離性障害(解離症群)の原因やその治し方については、下記をご覧ください。

 ▶「解離性障害(解離症群)、解離性同一性障害とは?その原因」

 ▶「解離性障害(解離症群)、解離性同一性障害の治し方~9つのポイント」

 

専門家(公認心理師)の解説

 解離性障害は、当事者にとっても言語化しづらいためにただ診断基準を並べてもチェックすることにはなりません。具体的な症状や、正常な体験との違い、他の病気との違いの中でチェックすることが実際的です。また、症状の現れ方は一括りができないほどに多様です。部分的に該当し、かつ日常生活に支障が出ている場合には、解離症状が関係している可能性も考えられます。解離症状はさまざまな状態でみられるため、症状が強い場合や長く続く場合には、専門家に相談して他の病気との違いも含めて確認することが大切です。

 

 

解離性障害(解離症群)の症状からチェックする

 解離性障害の症状は、研究者によってさまざまな切り口がありますが、できるかぎり整理してまとめてみました。

ご自身が下記の症状に当てはまるか?チェックしてみてください。

 

<空間的変容>

 空間的変容とは、空間的に自己が二重化している状態です。下記のような症状が見られます。

・離隔(離人症状、現実感喪失、体外離脱)

 離隔とは自分が周囲の世界から分離している感覚をいいます。自分がここにいる、という実感がありません。根底には「存在者としての私」と「まなざしとしての私」がずれている感じ、離れている感じがあります。そのズレを離人症状といい、離人感が強い場合には、自分の身体を外から眺めているような体外離脱感を伴うこともあります。

 さらに、「まなざしとしての私」の前には半透明の薄い膜があり隔たっている感じのことを現実感喪失といいます。世界がスクリーンに映っているように感じられたり、平面的に見えたり、現実のものと実感できなかったりします。

 
・過敏(気配過敏、対人過敏)

 気配過敏とは、自分の後ろ、部屋の中やカーテンの向こう側に人がいるような気配がする、というものです。自分が見られていると感じる被注察感が見られることもあります。気配は自分の外だけではなく、自分の内側にもうひとりの自分がいる、と感じる場合もあります。

 対人過敏とは、人が怖い、人混みが怖いと感じることです。視線恐怖や閉所恐怖症を伴う場合もあります。

 

 

<時間的変容>

 時間的に自己が二重化している状態です。時間の流れに沿って意識が途切れたり、変化する症状です。

・解離性健忘

 解離性健忘は、強いストレスやトラウマと関連して生じることのある解離症状です。自分にとって耐え難い体験や苦痛にかかわる記憶へ、通常の状態ではアクセスできなくなる形で現れます。

 ある一定期間の記憶を忘れてしまったり(限局性健忘)、ある出来事や人物に関連する記憶(系統的健忘)、あるいは全部の記憶を失うこと(全生活史健忘)です。自分にとっての苦悩を切り離して耐え難い葛藤を処理しようとしている状態と考えられます。「健忘の健忘」といい、健忘していること自体を覚えていない、自覚していないこともあります。

 健忘と言っても、記憶そのものが完全に失われたというより、通常の状態ではその記憶にアクセスできなくなっていると考えられます。解離性障害では解離のきっかけになった出来事以降のことを思い出せなくなることが多いとされます。

 

・解離性遁走

 健忘とともに家庭や職場を離れて放浪することです。その期間は、数日から数カ月に渡ることもあります。強いストレスやトラウマによって生じます。統合失調症の場合も遁走が見られますが、被害妄想を伴う点などが異なります。

 

 

・解離性同一性障害(解離性同一症、かつては多重人格障害)

 解離性同一性障害(現在のDSM-5-TRでは「解離性同一症」)では、2つ以上の異なるパーソナリティ状態がみられ、自己感覚や「自分が自分の意思で行動している」という主体性の感覚に大きな不連続が生じます。また、日常の出来事や重要な個人的情報、トラウマ体験などについて、通常のもの忘れでは説明できない記憶の空白がみられます。

 パーソナリティ状態の現れ方には大きな個人差があります。明確に人格が交代するように見える場合もあれば、「自分の中に別の考えや感情が入り込んでくる」「自分がしたことを覚えていない」といった形で体験される場合もあります。

 交代人格のパターンとして日常生活に適応している人格、子ども人格、保護者的な人格、迫害的な人格、攻撃的な人格、身代わり人格、救済者人格などがあります。いわゆる退行とは子どもの人格が前面に出ている状態です。
 ”人格”とは呼ばれますが、記憶が断片的で、思慮が浅く、子供っぽいことが多いとされます。また、本やテレビなどで見たキャラクターを参考にして作られることもあります。

 パーソナリティ状態によって、声や話し方、姿勢、身体感覚、痛みの感じ方などが変化することも報告されています。

 解離性同一性障害の有病率や症状の現れ方には、調査方法や文化による違いが報告されています。ただし、特定の国だけにみられる病気ではなく、DSM-5-TRやICD-11でも正式な解離症として位置づけられています。

 

・転換症状(機能性神経症状症(変換症))

 身体的に疾患がないのに身体症状があるものを転換症状といいます。力が入らない、身体が動かない、震え、けいれん発作のような症状、声が出ない、感覚がなくなる、耳が聞こえにくい、視覚の異常など、神経疾患に似た身体症状がみられることがあります。現在のDSM-5-TRでは「機能性神経症状症(変換症)」として分類されています。

 

  ▶「不眠症・睡眠障害の原因と診断~6つの視点からチェックする」

 

・自己の二重化

 東京女子大の柴山雅俊教授は、空間的変容と時間的変容の2つに分けて捉えています。いずれのケースにも根底には、「自己の二重化」があるとしています。

 

 

<その他>

・幻覚(体感異常、自己像視、幻聴、幻視)

 自分の体の中に虫が這い回っているような感覚がすることを体感異常(セネストパチー)といいます。過去や現在の自分が目の前に見えることを自己像視といいます。頭のなかから声が聞こえる幻聴もとても多いとされます。人影が見えるなどの幻視様体験、考えていることが目の前に浮かぶ表象幻視などがあります。 

 

 

・自動症

  自分の体が自分の意志とは関係なく動くことをいいます。自分の意思とは無関係に身体が動いているように感じる体験を指します。自動書記などの形でみられることがあります。統合失調症の「させられ体験(被影響体験、作為体験)」とも非常に似ています。

 

 

・明確な一つのタイプに分類できない解離症も多い

 臨床では、明確にタイプを分けることができるケースよりも、分類できない特定不能のケースが多いとされます。解離という現象が非常に広範で奥が深いためともいえますし、従来の分類に不備があるためだとも指摘されており、基準の見直しも進んでいます。
 柴山教授は、特定不能のケースこそが解離の中核であり明確なタイプはその周辺に位置するのでは、と述べています。

 

・シュタインバーグやホルメスらの分類

 解離性障害にはさまざまな分類の視点が示されています。アメリカの精神科医シュタインバーグは、解離性障害の中核的な症状として、「健忘」「離人」「疎隔」「同一性混乱」「同一性変容」の5つを置いています。イギリスの心理学者ホルメスらは「離隔」と「区画化」という区分で解離性障害の症状を整理しています。

 

 

・解離を「意識の変容」として捉える臨床的な見方

 精神病理学では、解離の一部を意識状態の質的な変容として捉える見方があります。解離症状が生じている場合、意識はぼんやりした状態にあります。その状態を質的な意識障害といいます。その際、遠近感が曖昧になります。イメージや対象物が迫って来る感じがしたり、遠ざかる感じがしたりします。

 また、しばしば退行がみられますが、これは意識が過去にある状態です。一方、幻覚とは、意識は現在にありながら過去の記憶が現在に投影されている状態です。これらも意識の障害によって生じます。解離が生じている人は、周囲の人から見ても夢うつつでぼんやりしていると感じられてます。

 質的な意識障害には、せん妄やもうろう状態、ガンザー症候群、トランス状態、視野狭窄も含まれます。

 

 

・自傷行為や暴力、自殺など

 解離症状が強い人では、自傷行為や自殺企図などが併存することがあります。強い感情や現実感の喪失に対処するために自傷が行われる場合もありますが、その背景や目的は人によって異なります。声に命令されるような体験が自傷に関係するケースもあります。

 

 現実感を取り戻すために行われることも多いです。また、幻聴にそそのかされて行動することもあります。

 ▶「自傷行為(リストカットなど)の心理と原因~なぜ行うのか?」

 

 

 

正常な体験との連続性と違いからチェックする

 解離に似た体験は、健康な人にもみられます。特に、過敏や離隔は誰にでも起こります。連続的であり、どこからが正常で、どこからが病的かの判断は容易ではありません。 解離性障害との違いは、程度や継続性によって日常生活に支障をきたしているかどうかになります。下記から具体的にチェックしてみてください。

 

・没頭体験

 ・何かに没頭していて、話しかけられたことを覚えていない
 ・集中しすぎて、自分の体から意識が抜けたような感覚を感じた

 

・白昼夢

 ・ぼんやりととりとめのないことを考えている

 

・体外離脱体験

 ・寝ている時の金縛り
 ・寝ている時に自分の体から意識が抜けたような感覚を感じた

 

・イマジナリーコンパニオン

 想像上の友だち(イマジナリーコンパニオン)は子どもにみられることのある正常な発達上の現象で、それ自体は病気ではありません。成人にもみられることがありますが、記憶の空白や強い離人感など他の解離症状を伴い、生活に支障がある場合には専門家への相談が参考になります。

 

・幻視

 ・人影や幽霊など見えないものが見える
  ※子どもでは、想像、夢、入眠時・覚醒時の体験などによって、実際にはないものが見えたと話すことがあります。これだけで解離症と判断することはできません。

 

・その他

 ・暗いところが怖い
 ・鏡が怖い
 ・後ろが怖い

 ・誰もいないのに人がいるような気がする
 ・想像や空想をめぐらせる
 ・自分を客観的に見る

 ・相手の考えが何となくわかる

 ・デジャブや予知夢を経験したことがある
 ・リアルな夢を見たことがある

 など

 

・解離性障害(解離症群)のチェック

 「解離体験尺度(DES:Dissociative Experience Scale)」「子ども版解離評価表(CDC,Version 3.0:The Child Dissociative Checklist)」「青年期版解離体験尺度(The Adolecent-DES,Version1.0)」が パトナム『解離-若年期における病理と治療』(みすず書房)に掲載されています。※DESは解離体験の程度を把握するためのスクリーニング尺度であり、得点だけで解離症や解離性同一症を診断するものではありません。

 

・構造的解離理論

 2006年にオノ・バンデアハートらによって発表された理論です。ジャネなどの理論に基礎を置き、解離の在り方を心身両面で包括的に捉えています。トラウマと解離を理解するための臨床理論の一つとして知られています。

 

 

 

誤診されやすい病気~他の病気との違いからチェックする

 解離症状は、統合失調症、うつ病、境界性パーソナリティ症、PTSD、パニック症、発達症など、さまざまな精神疾患でもみられることがあります。そのため、一つの症状だけで区別することは難しく、記憶の空白、自己感覚の不連続、現実検討、発症時期、生育歴、トラウマ歴、症状の経過などを総合して判断します。

 

1.統合失調症との違い

 統合失調症と解離症では、幻聴、現実感の変化、自分の考えや行動が自分のものではないように感じる体験など、似た症状がみられることがあります。そのため、一つの症状だけで両者を区別することはできません。以下は、臨床上、鑑別の参考になることがある特徴です。

 

 まず、現実との距離の取り方に違いがみられることがあります。統合失調症では、幻覚や妄想を現実の出来事として強く確信することがあります。一方、解離症では、「現実ではないと分かっているが、そう感じてしまう」「自分の中で起きている感じがする」といった形で、体験との間にある程度の距離が保たれることがあります。

 ただし、これは絶対的な違いではありません。解離症でも現実検討が大きく揺らぐことがありますし、統合失調症でも自分の体験を疑ったり、「おかしいかもしれない」と感じたりする人もいます。

 

 幻聴の内容や体験のされ方も、鑑別の手がかりになる場合があります。解離症やトラウマ関連の幻聴では、過去に言われた言葉、加害者の声、特定の人物の声など、過去の体験や記憶と結びついた内容として聞こえることがあります。また、本人が「誰の声か分かる」と感じている場合もあります。

 一方、統合失調症でも特定人物の声として聞こえることはあるため、「誰の声か分かるか」「頭の中から聞こえるか、外から聞こえるか」といった一点だけで区別することはできません。むしろ、声が過去のトラウマや特定の状況とどの程度結びついているか、症状がどのような経過をたどっているかを見ることが重要です。

 

 解離症では、特定の状況や対人関係と症状が強く連動することがあります。ある場所、人間関係、記憶、強いストレスなどをきっかけに、離人感、現実感の消失、幻聴様の体験、人格状態の変化などが急に強くなることがあります。

 統合失調症でもストレスによって症状が悪化することはありますが、妄想や幻覚、まとまりのない思考や行動、陰性症状など、精神病症状全体の持続性や経過も含めて判断します。

 

 また、統合失調症では、古典的に特徴的とされてきた精神病理的な体験がみられることがあります。たとえば、自分の考えが他人に伝わってしまうと感じる「思考伝播」、周囲の出来事に突然特別な意味があると確信する「妄想知覚」などです。こうした体験が明確に持続している場合には、統合失調症をより慎重に検討します。

 一方、解離症では、通常のもの忘れでは説明できない記憶の空白、自己感覚や主体性の不連続、特定の状況に応じた人格状態の変化、強い離人感・現実感の消失などが重要な手がかりになります。

 ただし、統合失調症と解離症は完全に排他的なものではなく、両方の症状がみられる場合もあります。そのため、実際の診断では、現在の症状だけでなく、生育歴、トラウマ歴、発症時期、症状の経過、記憶の空白、現実検討の状態などを総合して判断する必要があります。

 

 ▶「統合失調症の診断とチェック~症状など7つの視点から」

 

 

 

2.うつ病

 解離症でも、抑うつ気分、意欲低下、不眠、身体的不調などがみられることがあり、うつ病を併存することもあります。一方、記憶の空白、強い離人感、自己感覚の不連続などが目立つ場合には、解離症状についても評価する必要があります。

 うつ病と解離症は排他的なものではなく、両方が同時にみられることもあるため、症状全体と経過から判断します。

 

 ▶「うつ病を本当に克服にするために知っておくべき16のこと」

 ▶「うつ(鬱)病とは?なぜなるのか~原因を正しく理解する10のポイント」

 

 

3.境界性パーソナリティ障害

 境界性パーソナリティ障害(境界性パーソナリティ症)と解離症は、自傷行為、感情の不安定さ、対人関係の問題、離人感や記憶の曖昧さなど、共通する症状がみられることがあります。また、境界性パーソナリティ症では、強いストレス時に一時的な解離症状が現れることもあるため、両者の鑑別が難しい場合があります。

以下は典型的な臨床像を比較したもので、すべての人に当てはまるわけではありません。

 

 境界性パーソナリティ症では、人とのつながりを強く求める一方で、見捨てられることへの不安が強くみられることがあります。相手を強く求めたり、しがみついたりする一方で、期待に応えてもらえないと感じると、強い怒りや失望が生じることがあります。相手を理想化したり、反対に急に否定的に捉えたりするなど、対人関係が大きく揺れ動くこともあります。

 一方、解離症では、人間関係そのものから距離を取る形で自分を守ろうとする人もいます。過去の対人トラウマや強いストレスを背景に、人に頼ることを諦めたり、感情を切り離したり、相手との心理的な距離を保とうとすることがあります。そのため、外から見ると冷静で淡々としていたり、感情が乏しいように見えたりすることもあります。

 

 感情の表れ方にも違いがみられることがあります。境界性パーソナリティ症では、怒り、不安、悲しみ、見捨てられ不安などの感情が比較的強く表面に現れることがあります。

 解離症では、強い感情がそのまま表に出るのではなく、逆に感覚が麻痺したようになったり、「何も感じない」「自分が何を感じているのか分からない」といった状態になる場合があります。ただし、解離症でも強い感情が現れることはあり、境界性パーソナリティ症でも感情を抑えている人はいるため、この違いも絶対的なものではありません。

 

 他者への期待の持ち方にも、典型的には違いがみられることがあります。境界性パーソナリティ症では、「分かってほしい」「見捨てないでほしい」「自分を支えてほしい」という期待が強く現れることがあります。

 一方、解離症では、過去の対人関係で傷ついた経験から、「人に頼っても仕方がない」「人に近づくと危険だ」と感じ、関係そのものから退くことがあります。これは、単に人を嫌っているというより、人との関係から自分を守るための距離の取り方と考えられる場合があります。

 

 自傷行為についても、背景にある心理は一人ひとり異なります。境界性パーソナリティ症では、強い感情を調整するため、見捨てられ不安や対人関係の混乱の中で自傷が起こることがあります。解離症では、現実感を取り戻す、感覚の麻痺から抜け出す、強い解離状態を調整するなどの目的で自傷が行われることがあります。

 

 ただし、これらも明確に二分できるものではありません。境界性パーソナリティ症と解離症が併存することもありますし、同じ人の中で複数の心理的な役割を持って自傷が行われることもあります。

 鑑別上とくに重要なのは、解離性同一症などでは、自己感覚や主体性の明確な不連続、通常のもの忘れでは説明できない記憶の空白、人格状態の交代などがみられることがあるという点です。

 そのため、単に「感情的か冷静か」「人にしがみつくか距離を取るか」だけで判断するのではなく、対人関係のパターン、記憶の空白、自己感覚の変化、トラウマ歴、症状の持続性などを含めて総合的に評価することが重要です。

 

 

 

4.パニック障害や強迫性障害

 解離性障害も常に不安を感じていたり、動悸や不快感などが見られることがあります。
 しかし、パニック障害や強迫性障害と違い、解離症では離人感や現実感の消失、記憶の空白などがみられる場合があります。

 

 ▶「パニック障害とは何か?その本当の原因と克服に必要な5つのこと」

 ▶「強迫性障害(強迫症)とは何か~診断基準とチェック」

 

 

 

5.摂食障害

 解離性障害では過食や拒食がしばしば見られます。臨床的には、食行動が強い感情やストレスへの対処として機能しているケースもあります。

 

 ▶「摂食障害とは?拒食・過食の種類と原因~7つのポイント」

 

 

 

6.発達障害(アスペルガー症候群)

 ASDやADHDなどの発達症では、感覚過敏、注意の偏り、記憶や時間感覚の問題などが、解離症状と似て見えることがあります。また、発達症のある人がトラウマを経験し、解離症を併存することもあります。

 鑑別では、幼少期から一貫して発達特性がみられたか、記憶の空白や自己感覚の不連続があるか、症状が特定のストレスやトラウマと関連して現れるかなどを確認します。

 ▶「大人の発達障害、ASD(アスペルガー症候群)とは何か?公認心理師が詳しく解説」

 

 

 

 →解離性障害(解離症群)の原因やその治し方については、下記をご覧ください。

 ▶「解離性障害(解離症群)、解離性同一性障害とは?その原因」

 ▶「解離性障害(解離症群)、解離性同一性障害の治し方~9つのポイント」

 

 

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(参考・出典)

細澤仁「実践入門 解離の心理療法」(岩崎学術出版社)
柴山雅俊「解離性障害」(筑摩書房)
柴山雅俊「解離性障害のことがよく分かる本」(講談社)

岡野憲一郎「多重人格者」(講談社)
岡野憲一郎「解離性障害」(岩崎学術出版社)
岡野憲一郎「続 解離性障害」(岩崎学術出版社)
岡野憲一郎「新外傷性精神障害」(岩崎学術出版社)

F・パトナム他「多重人格障害-その精神生理学的研究」(春秋社)

パトナム『解離-若年期における病理と治療』(みすず書房)

F・パトナム「多重人格障害―その診断と治療」(岩崎学術出版社)

みきいちたろう『発達性トラウマ 「生きづらさ」の正体』(ディスカヴァー携書)

など