悩みの原因や解決方法

心の健康に影響する不眠症・睡眠障害~原因とチェック、克服のための10のポイント

[「睡眠障害・不眠・過眠」の原因と治し方悩みの原因や解決方法]


 

 「なかなか寝つけない」「夜中に目が覚める」といった症状は、様々な要因によって引き起こされます。精神障害に付随する症状としてもしばしば生じることがあります。単に眠れないといった場合でも対応方法はそれぞれ異なります。

 今回は、心の健康に影響する睡眠障害、不眠症についてまとめてみました。

 

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睡眠障害

 

 

私たちはなぜ眠るのか?~睡眠の目的

睡眠の機能

 睡眠とは、これまでは活動性が低下した消極的な状態だととらえられてきました。しかし、最近の研究では、睡眠をつかさどる脳の機能があることが分かり、積極的な活動として睡眠が捉えなおされています。

 

睡眠には2つの機能があるとされます。

 1つは、地球の自転に合わせて、活動に適さないときは休み、エネルギーを蓄える。
 2つは、脳を休ませて、神経伝達物質のバランスを整え、心身のダメージを修復する。

 このように睡眠とは、心身を休めて、コンディションを整える役割があります。

 不眠が続くと、コンディションが乱れ、うつ病などの精神障害の発症を誘発したり、逆に精神障害の症状として睡眠に問題が現れたりします。精神障害とまでは言えない「悩み」についても、十分な睡眠をとると、悩みの記憶やそれにまつわる感情が処理されて、悩みの解消を促進します。

 睡眠は心の病を予防したり、病からの回復を促進するためにも非常に重要なものです。

 


睡眠のメカニズム

 睡眠とは、体内時計のリズム×起床からの時間(睡眠負債)によって決まることが分かっています。例えば、睡眠のメカニズムに反して夕食後に昼寝をしているようであれば、眠ることができないのは当然のことです。うまく寝ることができても、寝つきが悪くなったり、予定外の時間で目覚めたり、といったことが起きます。

 現代人は、社会活動が24時間化する中で本来の生体的なリズムとは異なるスタイルの生活を強いられたり、パソコンやスマホ、テレビ、電灯など夜間でも昼間のような光を浴びて生活しています。現代の生活は、生体的なリズムがとても乱れやすい状況にあります。意識でこの時間に眠りたいと思っていても、生体のリズムと食い違えば〝睡眠障害”を引き起こします。


・体内時計のリズム

 体内時計は、長期、中期、短期の3つのリズムでバランスがとられています。
 3つのリズムとは下記のものです。

 ・概日リズム 
  24時間+α の周期で回る体内時計であり、夜になると眠くなるもの。

 ・概半日リズム
  半日周期で回る体内時計であり、昼過ぎと夜中過ぎに眠くなるもの。

 ・超日リズム
  90分おきに眠気がやってくるもの。
  入眠の際に、眠気が強い時とそうではないときがあるのはこのためです。

 

 

・睡眠負債

 睡眠負債とは睡眠を誘発する睡眠物質が溜まった状態です。起きている間に徐々に蓄積されていきます。いわゆる寝だめが有効ではないのは、睡眠負債に貯金がという機能がないからです。最後に起床してからの時間から長くなると、それだけ睡眠物質が蓄積されて、眠りやすくなります。

 

・レム睡眠とノンレム睡眠

 睡眠中は、レム睡眠とノンレム睡眠とが60~90分ごとに交代しながら睡眠が続きます。
特に深い睡眠を徐波睡眠といいます。ノンレム睡眠に始まり、レムとノンレムを交互に繰り返しながら、徐々に睡眠は浅くなっていきます。レム睡眠では交感神経と副交感神経が交互に活発に活動し、脳は活発に活動する一方で、体は完全に弛緩しています。
 一方、ノンレム睡眠では副交感神経が優位になり、脳は休息している一方で、少ないですが寝返りを打つなどの体の活動は生じています。

 それぞれの機能は完全には明らかにされていませんが、健康の維持や長期記憶の形成に作用していると考えられています。


 

(参考)睡眠物質とは何か?
 生体内に備わっている物質のうちに、睡眠に強く関与している物質を睡眠物質と呼びます。
 免疫・炎症関連物質であるプロスタグランディン、サイトカインやプロラクチン、神経ペプチド、ウリジン、ヌクレオシド、グルタチオン、などが知られています。 

 

睡眠障害

 

 

 

ライフサイクルと睡眠の傾向

・子ども時代

 子どもの不眠も実は多く見られます。睡眠相の後退で夜型になるためや、概日リズム障害によるものが多いとされます。朝起きれなくなったり、日中の集中力の低下につながります。活動量が高まり、衝動的、多動的な状態が見られることもあります。
 幼児のころは12~14時間、小学校でも11時間、思春期で8時間程度は睡眠を必要とします。

 睡眠に関連する症状として、夜驚症や睡眠時遊行症(夢遊病)などが見られることがあります。 多くの場合、成長とともに自然と収まっていきます。

 

・成人時代

 概半日リズムの影響で夕方まではぼんやりしていても、8,9時以降になると活動的になることがあります。そのため、夜型になりがちで、日中の眠気、集中力の低下につながり、不眠の原因となります。通常成人は7~8時間は睡眠を必要とします。

 短時間の睡眠で熟睡できるショートスリーパーの人もいるため、睡眠時間は人によって異なります。また、朝型か夜型かは幼いころからその傾向が決まっているとされます。

 

・高齢者時代

 概半日リズムの働きが弱まり、これまでは活動的になっていた夜中の時間帯がなくなることで睡眠相が早くなります。さらに、睡眠を維持する機能が低下するために、朝早く目が覚めるようになります。実は必要な睡眠時間は若いころとそれほど変わらないことがわかっています。高齢者になると睡眠薬の副作用の影響も強くなるため、できるかぎり生活習慣を整えて睡眠障害を予防、解決することが必要になります。

 

 

睡眠障害とは何か?

 睡眠障害とは、睡眠にまつわる悩みのことで、大きくは不眠症、過眠症、概日リズム障害などに分かれます。不眠症は、入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠障害などいくつかの症状があります。
 日本人の場合、2割が不眠に悩んでいるとされますから、とても大きな問題です。適切な睡眠時間は人によっても異なります。そのため、睡眠障害かどうかは本人が問題とするかどうかにもよります。

 

睡眠障害の症状

 「眠れない」と一言にいっても、様々な症状が見られます。症状ごとに対策は異なりますので、自分がどの症状なのかを知ることが大切です。

 

・寝つきが悪い(入眠障害)

 実験によると自然状態では、入眠に2時間はかかるのが普通とされます。そのためすぐに眠れないからと言って不眠だとは限りません。30分~1時間以上寝付けずに本人が苦痛を感じている場合は、睡眠障害が疑われます。

 

・夜中に目覚める(中途覚醒)

 夜中に目が覚めること自体は人間の正常なメカニズムとする実験結果もあり、必ずしも悪いものではありません。また、加齢によっても中途覚醒の回数は自然に増加するため、年齢や状況によって判断が必要になります。若い人で2回以上目が覚める場合は睡眠障害が疑われます。強いストレスが続いている場合も眠りが浅くなり、目が覚めることが増えます。

 

・夜中に目が覚めた後に眠ることができない(早朝覚醒)

 起床予定の時間の2時間以上前に目が覚めるような場合は睡眠障害が疑われます。これも加齢によって症状が増えるものです。睡眠相の前進による場合、うつ病などでノンレム睡眠が短くなる場合、躁状態や、イベントなどを控えて気分が高揚しているときなども早く目覚めることがあります。

 

・朝起きることができない

 若者にも多く見られますが、睡眠リズムの乱れなど睡眠障害が疑われます。


 

・良く寝てるのにすっきりしない/日中の眠気が強い/居眠り(熟眠障害)

 十分な時間眠っているにもかかわらず、睡眠不足を訴える場合に睡眠障害が考えられます。ストレスや精神疾患などで眠りが浅い状態が続いたり、呼吸関連睡眠障害なども疑われます。客観的には寝ていても本人が気が付かない逆説性睡眠障害もあり得ます。

 

睡眠障害

 

 

睡眠障害、不眠の悪影響

睡眠障害、特に不眠になると心身に以下のような悪影響を及ぼすとされます。

・神経伝達物質の不足


 私たちは、セロトニンを初めとする神経伝達物質によって、脳内の活動が保たれています。しかし、不眠が続くことで、神経伝達物質が枯渇してしまい、感情をコントロールできなくなるなど感情や思考が正常に機能しなくなります。神経伝達物質の不足はうつ状態など精神的に不安定な状態を誘発します。

 

・脳や身体のダメージの蓄積

 不眠が続くことで、疲労を抑えるためにストレスホルモンが分泌され続け、成長ホルモンが抑制されます。
 脳に蓄積されたダメージが細胞新生によって修復されずに、脳の萎縮、骨や筋肉の成長の阻害などが見られるようになります。脳の中でも特に理性をつかさどるとされる前頭前野、記憶に関連する海馬、気分のコントロールを行う前部帯状回の機能低下が見られるようになります。

 人間の場合は、不眠の実験を行っても死ぬことはなく、どうしても必要になれば立ったままでも睡眠状態に入ります。しかし、動物の場合は、不眠状態に置き続けると死に至ることが分かっており、不眠は様々な悪影響を及ぼすことが考えられます。

 

 

 

睡眠障害と心の健康の関連とチェック

 睡眠障害については、下記のような違いがあります。下記の基準に基準に当てはまるかどうかをご自身でチェックしてみてください。

 

1.ストレスによる一過性のものではないか?確認する。

  薬の服用や明らかな身体症状がなく、ストレスとなる要因があり、短期で収まるケースが該当いたします。


<一過性不眠>

 1~数日にわたるもの。原因が明らかなストレスによって引き起こされるもの。
 仕事や家庭でのストレスや昼寝のし過ぎ、時差など、基本的にストレス因が除かれれば回復します。

 

<短期不眠>

 2,3週間にわたるもの。一過性不眠のより重度なもの。仕事や家庭での大きな出来事(転職、仕事での失敗、身内の不幸、健康上の問題など)。ストレス因が除かれると時間とともに次第に収まっていきますが、うつ状態など精神障害へと移行する場合もあります。

 

 上記のように短期間で不眠が解消した場合は、一過性、短期の不眠となります。しかし、3週間以上不眠が続く場合は、精神障害によるものではないかを疑い、精神障害などの誘発を予防するためにも睡眠外来、精神科などに相談することが必要です。

 


<長期不眠(慢性不眠)>

2.薬の影響や身体疾患の影響かどうかを確認する。

 ・薬の副作用によるもの

  現在、何か薬を飲んでいる場合は、その副作用で、昼間の眠気などを起こしていないか確認することが必要です。かかりつけの医師に相談して、症状、副作用の緩和をご相談ください。

 

 ・身体疾患によるもの

  下記のような身体疾患がある場合に各疾患の症状によって睡眠障害に陥る場合があります。高血圧、心疾患、消化器疾患、呼吸器疾患、甲状腺疾患、腎疾患、肝疾患、慢性疼痛疾患(リウマチなど)、アトピー性皮膚炎など、各疾患に伴う痛み、かゆみなど身体症状によって睡眠が妨げられることで生じます。

 


3.精神障害、精神疾患による睡眠障害を疑う。

 次に、精神障害によるものではないかを区別する必要があります。明らかに寝不足なのに眠れない場合は精神疾患によるものが疑われます。


 ・うつ病

  うつ病では、日常生活が行えないほどに抑うつ的になり、意欲低下、食欲不振、不眠が見られます。うつ状態になると不眠は必ず生じます。深い睡眠が減少し、レム睡眠が増えるため、寝つきが悪い、夜中に目が覚める、熟睡した感じがしない、夢ばかり見る、朝早く目が覚めて再度眠ることができなくなる、といった状態が特徴的です。若年者のうつ状態の場合は過眠が見られることがあります。睡眠時無呼吸症候群や概日リズム睡眠障害でもうつ状態になることがあります。身体疾患や薬物によってもうつ状態になることがありますから、専門医に鑑別してもらう必要があります。うつ病に見られる症状が現れている場合は、睡眠障害の解決のためにはうつ病の治療が必要になります。

  ⇒「うつ病の真実~原因、症状を正しく理解するための10のこと

 

 ・双極性障害

  双極性障害では、躁状態の時は活動的になるため睡眠が短くなり、うつ状態の時は過眠になります。双極性障害、特にⅡ型は自分ではなかなか気がつきません。過去に仕事や勉強で調子の波があったといった場合は双極性障害を疑う必要があります。

  ⇒「双極性障害(躁うつ病)の治療と理解のために大切な4つのポイント

 

 ・統合失調症

  統合失調症は独特な予兆が見られます。自生体験、妄想などの症状がないかどうかを確認する必要があります。初期や急性期には気分が冴えて眠れなくなる、中途覚醒、熟眠障害が生じます。消耗・休息期では寝てばかりという状態になります。早期に治療し、睡眠を十分にとることがその後の予後を良くすることにつながります。

  ⇒「統合失調症の症状や原因、治療のために大切なポイント


  
 ・摂食障害

  栄養不足などによって不眠症が生じることがあります。

  ⇒「摂食障害とは何か?拒食、過食の原因と治療に大切な7つのこと

 

 ・不安障害/パニック障害

  不安に伴い不眠が生じることがあります。特に昼間の不安が持ち越されるために入眠障害多く見られます。パニック障害の場合は、パニック発作が夜間に生じることを恐れて不眠症になるということがあります。

  ⇒「パニック障害とは何か?本当の原因と克服に必要な5つのこと

 

 ・適応障害

  一時的な不眠が見られることがありますが、ストレスが除かれると回復します。

  ⇒「適応障害とは何か?~本当の原因、症状とその治療で大切なポイント

 

 ・PTSD/ASD

  フラッシュバックによって悪夢を見ることが多いため、中途覚醒が見られて目覚めた後に強い不安を感じたり、寝覚めが悪くなる、あるいは、過覚醒による不眠、過緊張の反動で日中の眠気が見られることもあります。

  ⇒「トラウマ、PTSDとは何か?あなたの悩みの根本原因と克服

 

 ・ADHD

  多動や生活リズムの乱れなどで不眠や朝起きることができない、といったことが生じます。
  ⇒「大人の発達障害の本当の原因と特徴~様々な悩みの背景となるもの

  
 ・認知症

  認知症によっても睡眠障害が発生します。睡眠が不規則になる不規則型睡眠リズム障害や昼夜逆転などが見られることがあります。高齢者は副作用が強く出る恐れがあるので(ふらつきによる転倒などのリスク)、睡眠薬ではなく生活習慣の改善で対応します。

   ⇒「境界例、難治性うつ病、人格障害などの意外な原因~甲状腺、副腎疲労など

 


4.精神障害に関連しない、いわゆる不眠症、過眠症を疑う。


 ・認知やストレスによるもの

  ・精神生理性不眠症

   眠れないことを過剰に意識して、緊張しすぎて寝付けなくなったり、夜中に目覚めたりするもので、不眠症の代表的なものの一つです。慢性不眠の2割を占めています。

 

  ・逆説性不眠症

   十分な睡眠がとれているにもかかわらず、不眠を訴える症状です。検査を行い、十分な睡眠をとれていることを自覚することが大切です。睡眠はとれているために睡眠薬は不要です。

 

 ・生活習慣や睡眠リズムの乱れによるもの

  ・不適切な生活習慣や環境による不眠

   睡眠時間の乱れや、夕方以降の昼寝、カフェイン、飲酒、テレビやスマホなどの環境からの刺激など生活習慣や環境に起因する不眠です。

 

  ・概日リズムの乱れによる不眠

   睡眠時間の乱れに生体リズムの調整が追い付かないために生じる不眠です。夜間も働くような交代勤務者(ドライバーやパイロット)、引きこもりや長期休暇で昼夜逆転している、老人で極端に睡眠時間が早くなってしまっている場合などに起ります。昼間に強い光を浴びることや、薬物をうまく利用して生体リズムを整えることが最も有効な治療法になります。

 

  ・呼吸関連睡眠障害

   肥満などにより気道が塞がれて生じる睡眠時無呼吸症候群など、十分な睡眠を取ることができずに、日中に眠気に襲われたりします。2歳前後の子どもでも、気道閉塞によって生じることがあり、発育不良を起こすことがあります。呼吸中枢の不調で生じる中枢性睡眠時無呼吸症候群もあります。

 

  ・むずむず脚症候群

   高齢者に多い症状で、足の裏や太ももにしびれ、痙攣、痛みを感じて、むずむずと足を動かし続けることによって生じます。詳しい原因は不明ですが、明らかな身体の異常はなく、脳内での鉄分の不足によるものではないかともいわれています。薬物治療や湿布などによって治療が行われます。

 

 ・その他

  ・突発性不眠症

   特にきっかけはなく、子どものころから不眠が続くケース。先天的に睡眠に関するシステムに不調があることが原因とされます。生活習慣を整えたり、睡眠への囚われを和らげることが有効です。依存性の少ない睡眠薬を用いることもあります。

 

 

<過眠症>

 過眠に陥るメカニズムはよくわかっていませんが、脳の覚醒の機能がうまく働かないことで生じるのではないかと考えられています。

 ・双極性障害や非定型うつ病

  双極性障害のうつ状態や非定型うつ病では、過眠が見られることがあります。

 

 ・突発性過眠症

  遺伝性の疾患で、たっぷり寝ても寝足りずに、一日9、10時間と眠ってしまう症状です。


 ・ナルコレプシー

  日中、急に眠気に襲われて寝てしまうという病気です。600人に1人の割合でみられる珍しい症状です。オレキシンという脳内物質が欠乏することで生じます。睡眠発作によって突然眠りに落ち、30分以内に目が覚めることが多く、入眠時に幻覚を見たり、体の力が抜ける、麻痺するといった症状が見られます。立ったままでも膝が崩れて寝てしまう、ということが起きます。中枢刺激剤など薬物療法によって治療が行われます。

 

 ・クレイネ・レビン症候群

  1年に何度か20時間近く寝てしまうもので、欲望のコントロールが効かなくなり、大食や性欲過剰などが見られます。

 

 ・概日リズム障害による過眠

  概日リズムの乱れによる過眠です。睡眠リズムが乱れているために結果として日中の眠気が強くなり朝起きれなくなるなどの症状が見られます。昼間に強い光を浴びることや、薬物をうまく利用して生体リズムを整えることが最も有効な治療法になります。

 

 ・感染症や薬物などによる過眠

  風邪などにかかると免疫システムの働きで普段よりも睡眠を求めるようになるため、日中眠く、いつもより長い睡眠を欲するようになります。服薬している場合は副作用によっても眠気や過眠が起きます。

 

(参考)睡眠障害の診断の方法

 まず基本的には問診によって明らかにします。睡眠日誌などを用いて明らかにすることも多いです。また、アテネ不眠尺度、エップワース眠気尺度、ピッツバーグ睡眠質問票、ポリグラフ、アクチグラフ、血液検査などが使用されます。

 

 

 

睡眠障害を克服する10のポイント

 精神障害による睡眠障害の場合は、精神障害の治療を行う中で睡眠障害を治療する、ということが基本になります。しかし、精神生理性不眠症などに適応される解決の方法は、精神障害のケースでも有効です。


1.睡眠のメカニズムを理解する

  睡眠がどのようなメカニズムで生じているのかを知ることが大切です。新書など簡単な本を一冊読むことがおすすめです。メカニズムが分かれば、適切な形に習慣を調整することが可能になります。


2.睡眠、不眠へのとらわれを和らげる

 睡眠を過大視するのではなく、眠たくないなら眠る必要がない、というくらいに睡眠を軽く捉えて、明かりは暗くして、音楽や読書など静かな活動をして過ごすことが大切です。

 また、必要な睡眠時間も人によって異なります。必ずしも7時間である必要はありません。起床時間や睡眠時間にこだわる必要はありません。一時的に睡眠時間が少なくても、人間にはそれに耐える力が備わっています。

 

3.自分の睡眠の実態を知る

 自分の睡眠の実態がどのようになっているかは、わかっているようでわかっていないことが多いです。人間は印象的なことは記憶していますが、それ以外のことは忘れてしまいます。客観的なデータを並べてみることで実態が明らかになります。

 睡眠日誌、睡眠表を作成してみることで自分の睡眠の実態がどのようになっているのかがわかります。思っているよりもリズムが乱れていたり、不必要なタイミングでカフェインを摂取したり、刺激的な環境に身を置いていたりします。実態が分かると適切な入眠のタイミングがわかり、改善につながります。

 

4.生活習慣を見直す

 生活習慣を見直すというと説教臭くて、それよりも意識や薬の力で治したいと思うかもしれませんが、人間は生体リズムや環境の力には抗うことはできません。不眠の多くは背景に生活習慣の乱れが潜んでいます。また、20代では大丈夫だったことも、30代、40代では当然ながら生体リズムも変化して適切ではないことも多いです。人生の変化に合わせた変化も必要です。

 睡眠は入眠起床時間だけではなく、起床したら日の光を浴びることや、特に午後から夕方には適度な運動を行うことも大切です。また、睡眠の数時間前にはカフェイン、アルコールなどは採らない。入浴も早めに済ませて、パソコンやスマホなども控える、といったようにして、睡眠を妨げる環境要因を取り除いていきます。
 カフェインについては、自分自身で思っている以上に過敏な場合もあります。午後以降にカフェインを摂取しただけで眠れなく人もいます。
 アルコールも深い睡眠を妨げ、中途覚醒を起こしやすく、耐性によって徐々に酒量が増えてしまうことになります。
 
 さらに、昼寝をしていたりしないかどうか?11時ごろに眠気が襲ってきているのに、夜更かしして0時以降に寝ているといった場合は明らかに睡眠のリズムを逃しています。
 また、休日だからといって、夜更かししたり、寝だめをすることも不眠を招く要因となります。
 睡眠のリズムが適切かどうかを見直すことが大切です。


5.昼寝は3時前まで、20~30分程度とする

 昼寝をする際は、夜の寝つきが悪くなるため、午後3時までに行い、深い睡眠は避け、20~30分程度とすることが大切です。

 

6.環境を調整する

 電灯の明るさ、カーテン、寝具、寝間着など睡眠にとって適切かどうかを見直すことも重要です。日中カーテンを閉め切って、日に当たらないような状態も睡眠のリズムを妨げることになります。
 習慣は”場”にも紐づけられます。寝室は眠ること以外には使用しないようにしましょう。


7.習慣を作る

 入眠へのルーチンを決めることで、条件反射的に睡眠へとスムーズに移行することができます。入眠前の行動は、リラックスができる活動をいくつか決めておくとよいでしょう。


8.あえて、早く起きて睡眠時間を短くしてみる

 睡眠時間のリズムを整える際に、入眠時間を意識して変えることはなかなか難しいものです。かえって寝つきが悪くなることもあります。その場合は、起きる時間をあえて早くしてみましょう。起床時間をコントローすることは比較的容易です。
 あえて早めに起きて睡眠時間を短くすると眠気が強くなるため、次の入眠の際に入眠しやすくなり、不眠症の改善につながります。


9.眠れないときは、あえて眠らずに過ごすことも有効

 眠れないときは無理せず、一度リセットして、読書などをしながらのんびり過ごすことも大切です。
 また、眠らずに目を閉じて横になっているだけで、脳や身体は休息モードに入って回復することが分かっています。


10.睡眠薬の力を借りる

 睡眠薬がある、ということで睡眠へのプレッシャーも軽くなり、睡眠が改善することがあります。お守り代わりにうまく使うことは有効です。依存性の高いものは避けるようにしましょう。

 ただ、生活習慣はめちゃくちゃなままに睡眠薬で簡単に睡眠をとるということは心身に負担をかけ続けることを容認することになりよいことではありません。あくまで、環境調整などを行う中で活用することが大切です。
  
 うつ病などの精神障害、精神疾患などで眠れない場合は、睡眠薬の力を借りてしっかりと睡眠をとり脳内物質やホルモンのバランスを整えることが必要になります。 

 

 

医療機関について

 漫然と睡眠薬を続けるということを避けるためにも、できれば専門の睡眠外来を受診したほうが良いでしょう。概日リズム障害やむずむず脚症候群、特にナルコレプシーが疑われる場合は専門の医師にかかることが必要です。睡眠時無呼吸症候群などはいびき外来などが専門となります。

 

 

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(参考)

内村直尚「プライマリ・ケア医のための睡眠障害」
睡眠障害の診断・診断ガイドライン研究会編「睡眠障害の対応と治療ガイドライン」
主婦の友社編「不眠症・睡眠障害みるみるよくなる100のコツ」
櫻井武「睡眠障害の謎を解く」
岡田尊司「人はなぜ眠れないのか」
菅原洋平「あなたの人生を変える睡眠の法則」
丹野義彦編「臨床心理学」
山下格「精神医学ハンドブック」

 

 

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